子供も大人も楽しめるマッキー節

──そんな槇原さんの気持ちを受けて、花澤さんはどのような思いでレコーディングに挑んだんですか？

テーマ的には、自分の中のちょっと暗い部分も秘められたものなんですけど、そこはあまり意識しすぎず、元気に前向きに歌うようにしました。

──歌詞を文字だけで見ると、サウンドの明るさや元気さとは裏腹に、けっこう寂しい印象がありますね。

そうなんですよ。しっかりとメッセージが込められていて。ちっちゃい子にはそこまで深く考えずに楽しく歌ってほしいんですけど、「レイトン」は大人向けにも作られていて、一緒に観ているお母さんやお父さんには違って響くんじゃないかなと思います。

──メロディにはマッキー節を感じさせつつも、ちゃんと花澤さんらしい雰囲気に仕上がっている印象です。

まずは佐橋さんと一緒に仮歌を録りながら「どのぐらい槇原さん成分を残したらいいんだろう？」「ここのこぶしは生かしたいよね」という話をしました。「気付くたびに」のこぶしはかなりこだわって録りました。「ちょっとこぶしが足りないなあ」とか言いながら（笑）。細かいニュアンスを考えているうちにどんどんできあがっていった感じで。プリプロの段階で細かく打ち合わせたので、レコーディングはスムーズでした。

ワンカットで踊る「大丈夫」MV

──サビはマイナーコードでグッと切なくなるけど、全体の印象は切なくなりすぎていないですし、ミュージックビデオではめちゃめちゃ楽しそうに踊っていますね。

ラッキィ池田さんの振り付けで、めちゃめちゃ楽しい映像になりました。曲を作ってる段階ではあんなに楽しいMVになるとは予想してなかったですけど。

──1つの部屋でダンサーと掛け合いをする内容ですが、あれはワンカットですよね？

はい。今回はジャケットのデザインを、れもんらいふの千原（徹也）さんにお願いしたんです。れもんらいふのデザインはずっと素敵だなと思っていて、いつかいいタイミングでお願いできたらと思っていて。MVも千原さんからの提案なんです。

──ダンスをメインにしたMVは初めてですよね。

はい。今、地球ゴージャスの舞台（参照：柚希礼音らがたどり着くのはユートピアか？地球ゴージャス「ZEROTOPIA」開幕）でいっぱい歌って踊っているので、ダンスも全然抵抗なくできました。ダンサーさんとの撮影は楽しかったし、何より撮影がすごく早かったのがよかったです。明るいうちに帰れました（笑）。

──ワンカットとは言え、何度も撮影しますよね。何回目でOKになったんですか？

撮ったのは3回で、2回目がOKテイクになりました。サビのダンスは難しくないと思うので、ライブではみんなにも踊ってもらえたら楽しいんじゃなかろうかと思います（笑）。

──子供にも覚えやすいダンスを意識したんじゃないかなと思いますし、子供限定イベントとかあるといいですよね。

あー、いいですね！ いいなあ。やりたいなあ。

佐橋マジックで完成した「夏のしおり」

──カップリングには前作に引き続き、花澤さん作詞、佐橋さん作編曲というタッグによる新曲「夏のしおり」が収められています。

曲は佐橋さんから早めにいただいていて、ずっと歌詞を考えていたんですけど……舞台のリハも本番もあったので、全然歌詞が思い浮かばなかったんです。歌詞を考える時間は確保していたんですけど、浮かんでこない。そんなときに佐橋さんからいろいろヒントをいただいたりして。「俺はなんとなく、“夏のしおり”っていうワードが浮かんできたんだよね」と言われて、それをキーワードに歌詞をちょっとずつ考えていきました。プリプロの段階ではワンコーラス分しかできていなかったんです。でも、佐橋さんと「ここからどう展開させていこうかねえ」と話していたら一気にできました（笑）。佐橋さんマジックでしたね。「こことここを入れ替えたら、2番もできるんじゃない？」みたいに軽くアドバイスをくださるんですけど、それが的確で。

──日本の音楽シーンの第一線で活躍してきた佐橋さんならではの、百戦錬磨の経験が成せる技なんでしょうか。

ホントそうだと思います。で、肝心なところは「香菜ちゃんが考えて」ってちゃんと誘導してくださるんです。