ナタリー PowerPush - HaKU

2013年のアンセム完成 フロントマン辻村有記が舞台裏解説

ずっとロックキッズでありたい

──「光」は辻村さんにとってもHaKUにとっても、原点の楽曲と言えそうですね。ちなみに辻村さんはどんな19歳だったんですか?

えーと、無我夢中でしたね(笑)。今も無我夢中なんですけど、そのときは何もわからない若造だったんで。そこから社会を知り、いろんな経験をして……でも、音楽はめちゃくちゃ聴いてました! 音楽自体は小6くらいのときからずっと聴いてたんですよ。まずB'zに衝撃を受けて、その後ラッキーなことに洋楽の素晴らしさを知る機会があって。そこからさらに重いほうに行って……。“速弾き命”だったんですよね、その頃は(笑)。ひたすら速い曲を聴いてましたね、ホントに。

──さっきの“溺れる”話じゃないけど、周りの人に心配されなかった?

あ、されました(笑)。中3の頃にデスメタルにハマって……。この話を詳しくすると長くなっちゃうんですけど、英語でも日本語でもなく、呪文を歌うバンドを聴いてたことがあって。そのときは家族にちょっと心配されたし(笑)、自分でも「これ以上進むと、戻れなくなる」って思って。そこからR&Bだったり、生音のヒップホップを聴き始めたりして、どんどん幅が広がってたんですよね。

──オルタナティブロックやダンスミュージックにも詳しいし、ホントに幅広いですよね。

それが武器になってると思うんですよ。アレンジのアイデアにしても、これまで聴いてきた音が辻村有記というフィルターを通して、オリジナルの音楽につながっているので。それは財産だなと思いますね。……僕、CDが大好きなんですよ。バイトで一生懸命に貯めたお金を持って、試聴機の前に7時間くらいいたこともあったし(笑)。ジャケ買いとかも楽しかったですねえ。もちろんハズレもあるんですけど、いろんな音楽を聴き込んでるからこそ、楽曲の良い部分、ダメな部分を言えるんじゃないかなって。「このアルバムはいい」とか「これはダメだ」とか、もっと言い合いたいんですよね。ずっとロックキッズでありたいっていう願望もあるし、自分たちがCDのジャケットにこだわっているのも「CDを大事にしたい」と思ってるからなんです。

“ワールドワイド”が合言葉

──最後に2013年のビジョンについて聞かせてもらえますか?

皆さん同じだと思いますけど、飛躍の年にしたいというのが前提ですね。去年たくさん種を蒔かせてもらったので、それが芽を出して、花が咲くところまでいければいいな、と。どんどん攻めたいですね、ホントに。まあこのシングルを1月に出すということ自体、「今年は攻める」と宣言しているようなものですけど(笑)。全力でがんばって、2013年の12月にどうなっているかを楽しみにしたいと思います。

──メンバー全員で共有している目標ってあるんですか?

海外に向けても発信していくということかな。去年マレーシアでライブをやらせてもらったんですけど、それがめっちゃ良かったんですよ。僕自身、洋楽が大好きだったし、他の国の人たちが自分たちの音楽をどんなふうに聴いてくれるのかすごく興味があって。“ワールドワイド”が合言葉になってますね、最近。

HaKU 「masquerade」 MV (short ver.)

HaKU(はく)

2007年に大阪で結成された辻村有記(Vo, G)、藤木寛茂(G)、三好春奈(B)、長谷川真也(Dr)からなるロックバンド。関西地区を中心にライブ活動を行い、辻村の独特のハイトーンボイスや、エレクトロサウンドを生音で構築するこだわりが注目を集める。2009年1月に初音源「WHITE LIGHT」を、同年11月にミニアルバム「BREATH IN THE BEAT」をリリースする。その後は着実にリリースを重ねるとともに、ライブも全国展開。2011年2月には東京と大阪で初のワンマンライブを開催する。2012年9月にマレーシアで初の海外ライブを行い、10月にアルバム「Simulated reality」でメジャーデビューを果たした。2013年1月にメジャー1stシングル「masquerade」を発表。