ニューシングル「Stay with me」について

──東京女子流のニューシングル「Stay with me」も“旅立ち”をテーマにした、この季節にぴったりな1枚になりましたね。年始の“アーティスト東京女子流”宣言を経ての最初の作品ということで、皆さんにとって大きな旅立ちの一歩になるのかなと。

山邊　今年の春を切り替えのポイントと考えて、3月いっぱいまではアイドルフェスなどのイベントでお誘いいただいたものは全部出て、お世話になった皆さんに感謝の気持ちを伝えることにしました。新曲の「Stay with me」では私がメンバーを代表して作詞させてもらったんですけど、初めてなのでやっぱり不安もありました。自分がいいと思っていても、ファンの皆さんが納得できる内容じゃないといけないと思ったので。先に公開した歌詞やミュージックビデオを観た女性のファンの方から「共感できるところがいっぱいある」って言ってもらえたり、同い年の方から「私も今年高校卒業なので気持ちがよくわかります」というコメントをたくさんもらって、今は少し安心しています（笑）。

──山邊さん自身の高校卒業と女子流のターニングポイントが重なって、心情を表現しやすかったのでしょうか。

山邊　そうですね。私は自分の親友のことを思い浮かべて書きましたけど、皆さんはそれぞれ大事な人を思いながら聴いてもらいたいです。

──今回は山邊さんでしたが、メンバー自身が楽曲制作に携わるという新たな試みについて、ほかの4人はどう思いましたか？

新井　突然「今回は未夢が作詞をやるから」という話になって、みんな「え？」って。

小西　状況を把握できなかったよね。作詞すると決まってから未夢の不安そうな様子がすごく見えて、できあがるまでは楽しみな気持ちと心配な気持ち両方でした。

──なんで今回は山邊さんだったんでしょうね？

中江　やっぱり私たちの中で一番お姉さんだし、高校卒業のタイミングだから今回のテーマについて書くには一番ふさわしかったんだと思います。

新井　私がこの曲を最初に聴いたのは、地元の宮城から東京に戻る新幹線の中だったんですけど、なんだか寂しい気持ちになってウルッときました（笑）。でも、これを私がメインボーカルとして歌うなんて考えられなくて、すごく不安で。歌入れのときは未夢ちゃんにも細かく指示をもらいながら、ちゃんと対応できるようにがんばりました。

──例えばどんな指示を？

新井　いろいろあったんですけど……難しかったのは、Dメロの盛り上がるところで「あぁちゃん（小西）みたいに柔らかく」（笑）。イメージはできるんですけど、難しくて苦戦しました。

──カップリングの「A New Departure」は昨年の「HARDBOILED NIGHT」（2014年7～11月に東京・赤坂BLITZで行われたマンスリー公演。参照：東京女子流、多彩な“通番外”ライブ＆衝撃のハードボイルド最終章）から生まれた曲で、アナログ盤のみでリリースされていましたが、ここで改めてCD化と。“旅立ち”のコンセプトにふさわしい、明るいフィリーソウル風の楽曲ですね。

小西　「HARDBOILED NIGHT」では毎回新曲を発表したんですけど、最後がこの曲だったのは意外でした。最後だけすごい明るいなあって（笑）。でも「HARDBOILED NIGHT」のストーリー自体が前を向いて進んでいく終わり方だったので、このさわやかな曲調はすごくぴったりだったなと思います。

山邊　女子流はダークな楽曲が多いので（笑）、ライブでは終盤を明るく盛り上げる新しい定番曲になりつつあります。でもリリースはアナログ盤だけだったから、まだこの曲を知らない人は多いと思うので、CDになるのはすごくうれしいですね。私たちの新しい部分が見られる曲だと思うので、どんどん広めていけたらなって思います。

──もう一方のカップリング曲「加速度」は女子流のスタンダードというか、ベースの効いたダンスチューンですね。

新井　そうですね。けっこう素早い感じで。

──素早い（笑）。

中江　確かに歌詞も曲調も「女子流だな」って感じがしますね。女子流の魅力が詰まっている曲だと思うので、早く皆さんに聴いてもらいたいです。

山邊　サビのキーが高いから、ライブで踊りながら歌うのはけっこう大変かも。

──今作にはさらに、去年の12月にリリースされたシングル「Say long goodbye」のアカペラ音源が入っています。これは本来リミックス企画用のトラックですけど（参照：東京女子流リミックスコンテスト、グランプリ作品は正規音源化）、5人のハーモニーだけを聴くことができる音源としても面白いですね。

中江　5人でコーラスを重ねるという新しい挑戦をした曲なので、じっくり聴いてもらえるのはうれしいですね。皆さんから届くリミックスも、あのバラードがどんなアレンジになるのか楽しみです。

東京女子流のこれから

──アーティスト宣言を経て、これから東京女子流は少しずつ変化していくのだと思いますが、今の心境はいかがですか？

新井　やっぱり今は不安な気持ちもありますけど、みんなでいろんなことを考えながら、確実に前に進んでいけたらいいなと思っています。

庄司　具体的にこういうふうに切り替えていこうとはまだ考えていなくて。でも今回未夢が作詞に挑戦したように、自分たちから発信できるものをどんどん増やしていきたいです。まずは1人ひとりのパフォーマンスレベルを上げることが大事だと思うので、基礎を固めることを目標にがんばっています。

中江　今は彩乃がピアノを練習していて、未夢もギターを始めたんですよ。そうやってそれぞれ楽器の演奏を覚えていくのはいいなと思いますね。

山邊　ギター、大変なんですよ……。今、指の皮がコチコチになっていて。ちゃんと演奏ができるのはまだまだ先だと思うんですけど、楽器を覚えることで曲への理解も深まるかもしれないので、がんばって続けていきたいです。

小西　私もピアノだけで弾いてみたときに気付く曲のよさがあるんですよね。「Stay with me」も今練習してるんですけど……めっちゃいいんですよ（笑）。弾いていてすごく楽しいです。