ギリシャラブ|20世紀の欧米文学をポップスに落とし込む

京都のロックバンド・ギリシャラブが新作CD「(冬の)路上」を、志磨遼平(ドレスコーズ、毛皮のマリーズ)監修のレーベル・JESUS RECORDSからリリースした。文学作品や絵画からインスピレーションを受けて作られるという、物語性のある歌詞やノスタルジックなサウンドで、音楽ファンはもとより、志磨やトクマルシューゴなどアーティストからも注目を集めている。

今回、音楽ナタリーでは天川悠雅(Vo)にメールインタビューを実施。本作に込めた思いや、志磨との制作エピソードなどを聞いた。

取材・文 / 小林千絵

デーモン・アルバーンに強く影響を受けた

──まずはバンドの結成の経緯と、バンドメンバーについての紹介をお願いします。

2014年に地元の友達の取坂(直人 / G)と結成しました。2017年の初めに(山岡)錬(G)と中津(陽菜 / Dr)が入って、ベースのハヤシ(ケイタ)くんとやり始めたのが9月くらいなので、今のメンバーになってから3、4カ月経ったところです。

──天川さんがすべてのソングライティングをご担当されているとのことですが、最初に触れた音楽はどのようなものでしたか?

ギリシャラブ

親が聴いていたDeep Purpleやジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリックスなど、1960~70年代の、いわゆるギターヒーローがいるようなバンドはよく聴くともなく聴いていました。でも、あんまり自分のソングライティングにそれが反映されているという気はしませんね。

あとはThe Beatlesや、The Carpentersも、よくカーステで聴いていました。そういえば、小学校の途中までは家の車でCDを聴けなかったので、カセットで聴いてましたね。

──天川さんが影響を受けた音楽はどのようなものですか? その音楽のどのようなところが琴線に触れたのかも教えてください。

あらゆる音楽から影響を受けていますから、1つに、あるいはいくつかに絞ってお答えするのが難しいのですけれど、初めて自覚的に「自分もこういうことがやりたい」と思わされたのはBlurです。

はじめはリリックにおいておよそキャラクターの描写のみに終始する手法に、ついでデーモン・アルバーンの(Blurに限らない)活動全般の越境性に、強く影響を受けました。一時期はほぼ完全なロールモデルとして見ていたほどです。

──文学のような歌詞も印象的です。歌詞を書くうえで影響を受けたのはどのようなものですか?

20世紀の欧米の文学です。今作に限って言えば、いずれも高校生のときに読んだ、トーマス・マンの「トニオ・クレーゲル」、マルグリット・デュラスの「モデラート・カンタービレ」をそれぞれ読み直し、その内容を踏まえたうえで曲を書いていきました。

ギリシャラブ「(冬の)路上」
2018年1月17日発売 / JESUS RECORDS
ギリシャラブ「(冬の)路上」

[CD]
1728円 / JRSP-005

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収録曲
  1. からだだけの愛
  2. モデラート・カンタービレ
  3. ブラスバンド
  4. ペーパームーン
  5. どういうわけか
ギリシャラブ「(冬の)路上」発売記念LIVE
  • 2018年2月18日(日)東京都 新宿red cloth
    <出演者>
    ギリシャラブ / Gateballers / Gi Gi Giraffe
  • 2018年2月25日(日)京都府 ネガポジ
    <出演者>
    ギリシャラブ / カネコアヤノ / 折坂悠太(合奏)
ギリシャラブ
2014年に京都で結成されたロックバンド。メンバーチェンジを経て、現在は天川悠雅(Vo)、取坂直人(G)、山岡錬(G)、中津陽菜(Dr)、ハヤシケイタ(B)の5人で活動している。文学作品や絵画からインスピレーションを受けて作られる物語性のある歌詞やノスタルジックなサウンドで人気を博している。2015年に1stミニアルバム「商品」を、2017年3月にフルアルバム「イッツ・オンリー・ア・ジョーク」を発表。2018年1月に「(冬の)路上」を、志磨遼平(ドレスコーズ、毛皮のマリーズ)監修のレーベル・JESUS RECORDSからリリースした。