ナタリー PowerPush - グッドモーニングアメリカ

メジャーデビュー前夜、明かされるバンドのドラマ

たなしんのキャラを生かすために

──そういう意味でも、平野さんと再会できて本当によかったよね。

渡邊 そうですね。客観的な意見を、筋を通して話してくれますし。

金廣 あと、さっきも言ったように毎回ライブするたびにブレていたんですけど「少なくとも1カ月2カ月はスタンス変えたらあかんで」って言われたのはすごい覚えていて。それで「とりあえず1カ月やってみてダメだったら考えよう」っていうスタンスでやり始めてから、どれが自分たちに合ってるやり方なのかをちゃんと選ぶことができるようになって。そういうやり取りで、グドモの芯ができていった感じですね。

渡邊 そうだね。1stの「空ばかり~」を出してから、2ndミニアルバムの「ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ」(2011年7月リリース)までの間くらいで、ライブでも曲作りでも「グッドモーニングアメリカとしてどうか」っていう考え方にやっとみんながなれてきたと思います。

──たなしんが今のキャラクターになったのもその頃?

たなしん(B, Cho)

たなしん 俺が覚えているのは、「あっ、良い音楽ここにあります。」のレコ発だったかな。そこで平野さんが「サングラスかけたらいいんちゃう」って(笑)。

金廣 それで俺ら「絶対ヤっす」って拒否ってたよね(笑)。

たなしん 結局かけたけどね(笑)。ライブももちろんですけど、それ以外でも何か楽しんでもらいたいと思っていて。それで金髪にしたり、派手な衣装を買ってみたりとか。

渡邊 それがどんどんエスカレートしていった感じですね。

平野 当時の彼らは、曲がいいのはわかるけど、ギターロックの人らってみんな曲いいし、みんな歌うまいし、みんな男前やないですか。ハッキリ言って、突出して勝てるところがなかったんですよ、僕から見たら。だから、絶対たなしんのキャラを生かすべきだと思ったんですよ。それまでこのキャラがプラスに作用していなかったのは、バンドがちゃんとした演奏をできていないところを、たなしんがMCでリカバーしようとしていたからで。そうなると、お客さんは同情の目でしか見なくなるんですよ。でも、これからバンドが生き残っていく上でたなしんのキャラを絶対残しておくべきだと。だから、バンドの悪いところを直していく。そうすれば、たなしんが生きてくるっていう方向だったんですよ。

──それで実際そうなれたんだ。そこから今に至る流れが加速してくわけでしょ。

グッドモーニングアメリカ

渡邊 「空ばかり~」がリード曲になったりとか、自分たちの意見と周りの意見が食い違う部分もあったりして、「大丈夫かな?」って確信が持てないところもあったんですよ。でも俺たちにはあとがなかったし、言われたことをやるしかなかった。そうしてたら、ちょっとずつ動員が増えて、結果が付いてきたんです。「ウォールペーパー~」から3rdミニアルバム「輝く方へ」(2012年5月リリース)にいくあたりでは、自信も少しずつ付いてきて。

金廣 日本語でやり始めてから、前のほうがよかったという意見も多かったんですけど。2ndのレコ発でNorthern19に出てもらったときに、(笠原)健太郎が「グドモいいね! 最高だよ!」って、あのポジティブでピュアな感じで言ってくれて。やってることは間違ってないんだなって思えたんです。平野さんからの助言もいっぱいもらってたから、それを実行していけばいいんだって。TOTALFATとかも、そのくらいの時期から「いいね」って言ってくれたり。

紆余曲折を経て

──昨年2月には主催イベント「あっ、良いライブここにあります。」をO-EASTで開催して。このイベントを大成功させたのはかなり大きなトピックになりましたよね。

渡邊 その前に「COUNTDOWN JAPAN 11/12」に出られたのもデカかったですね。平野さんとやるときに「俺らもTOTALFATとかBIGMAMAみたいにフェス出たいっす! どうしたら出れますか?」って言ったら「甘い」って言われて(笑)。「君たちの周りのバンドがたまたま出てるけど、あれは日本でトップ100に入るバンドが出るイベントやで。そんな簡単に出れん。甘い」って。確かにTOTALFATやBIGMAMAは友達だから身近に感じていたけど、普通に考えたらそうだよなって。でも実際に彼らは出てるから、やっぱり出たいという思いがあって。それで話し合って、それに向けて逆算して動いて、狙い通り出れたので。そこでも間違ってないんだって思えたし。そこからO-EASTにもつながっていきましたしね。

──あとは「輝く方へ」と「餞の歌」(2012年10月リリース)の2曲がバンドの名前と音楽性を広めましたよね。

金廣 「COUNTDOWN JAPAN 11/12」へ向けて動いてたときに、震災が起こったことによって2ndとして出そうと思っていた「ミサイルをぶちかましてぇな」が出せなくなったんです。本当はそのあとに恋愛三部作のひとつとして「餞の歌」を出そうとしていたんだけど、その流れがすべて白紙になった。そこからやっと出せたのが去年の10月で。

──そして今年に入って、「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2013」への参加があって、いよいよ1stフルアルバム「未来へのスパイラル」でメジャーデビューすると。

金廣 今はチームとして、団結して同じ方向に向かっていけてると思います。今までの集大成じゃないですけど、やりたいことも、やらなきゃいけないことも、ちゃんと全部詰め込めた作品が作れたし。

ペギ(Dr, Cho)

──TOTALFATやBIGMAMAも含めて、彼らの背中が見えてきたような感じもあると思いますけど。

渡邊 スリーマンやりたいですね。俺らが腐らず続けてこれたのも、彼らによるところは少なからずありますから。少なくとも俺はそう。悔しい思いもたくさんした。

金廣 それはひとつの夢というか、目標ではありますね。「開いてく、届けていく」っていう核をブラさずに、彼らと一緒に今後も地面を固めていきたいというか。

──バンドの歴史を振り返って、どうでしたか。

渡邊 なんか、いろんなことがあったなあ(笑)。

金廣 本当、いろんな経験ができてよかったと思います。今ここにいれているから。ここにいなかったら、ムダな時間過ごしたなって思うかもしれないけど。

たなしん 確かに、それはそうだね。

金廣 そんなたくさんの思いが詰まった「未来へのスパイラル」を、皆さんぜひよろしくお願いします(笑)。

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未来へのスパイラルツアー2013

  • 2013年7月11日(木)千葉県 千葉LOOK
  • 2013年7月12日(金)茨城県 水戸ライトハウス
  • 2013年7月23日(火)新潟県 新潟GOLDENPIGS BLACK STAGE
  • 2013年7月24日(水)群馬県 前橋DYVER
  • 2013年9月4日(水)兵庫県 神戸太陽と虎
  • 2013年9月5日(木)香川県 高松DIME
  • 2013年9月7日(土)広島県 広島Cave-Be
  • 2013年9月8日(日)愛媛県 松山サロンキティ
  • 2013年9月13日(金)宮城県 仙台MACANA
  • 2013年9月20日(金)福岡県 福岡CB
  • 2013年9月22日(日)熊本県 熊本Django
  • 2013年9月23日(月・祝)大分県 大分club SPOT
  • 2013年9月28日(土)大阪府 梅田CLUB QUATTRO(※ワンマン)
  • 2013年9月29日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO(※ワンマン)
  • 2013年10月5日(土)東京都 Shibuya O-EAST(※ワンマン)
メジャーデビューアルバム「未来へのスパイラル」/ 2013年5月8日発売 / 日本コロムビア
初回限定盤
初回限定盤 [CD+DVD] / 3200円 / COZP-766~7
通常盤 [CD] / 2800円 / COCP-37940
CD収録曲
  1. ファイティングポーズ
  2. キャッチアンドリリース
  3. タイムスリップしたみたいに
  4. 未来へのスパイラル
  5. ロールプレイングゲーム
  6. 突破していこう
  7. 風で高く舞い上がれる程
  8. たった6文字じゃ
  9. あなたに逢えて
  10. バンバンガンガン
  11. 下らない毎日が
  12. 餞の詩
初回限定盤DVD 収録内容
  • 「輝く方へリリースツアーファイナル」@渋谷CLUB QUATTRO 2012.09.30
  1. だけど不安です
  2. ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ
  3. 光となって
  4. 言葉にならない
  5. 心臓抉って
  6. 空ばかり見ていた
  • MUSIC VIDEO「輝く方へ」
グッドモーニングアメリカ

グッドモーニングアメリカ

金廣真悟(Vo, G)、渡邊幸一(G, Cho)、たなしん(B, Cho)、ペギ(Dr, Cho)による4人組バンド。2001年に前身バンドfor better, for worseを結成し、2007年より現在のバンド名に変更。for better, for worse時代は英語詞だったが、バンド名変更を機に日本語詞へと切り替え、サウンドもよりポップさを増す。2008年より現在の編成で活動を開始し、自主企画の開催やリリースを積極的に行う。2012年冬には初のワンマンツアーを成功に収める。2013年5月、1stフルアルバム「未来へのスパイラル」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。