ナタリー PowerPush - グッドモーニングアメリカ

メジャーデビュー前夜、明かされるバンドのドラマ

このままじゃヤバい、何かを変えなきゃ

──そこからペギくんが加入するまでにどういう流れがあったんですか?

渡邊 たまたま同じライブを観に来てたり、ペギが前にやっていたバンドのライブを観に行ったりしていて、わりと仲良くしていたんです。俺はその当時から「あのドラムすごいな」ってずっと思ってたんですよ。裸で叩くし、髪をブンブン振り回してるし、なんか野獣みたいだけど、華があって面白いなって。ただ、そのバンドは解散しちゃっていて。解散後も、ペギは東京でバンドやりたくて(メンバーを)探してるっていう話を聞いていて。そういえばと思って連絡してみたんです。吉祥寺に飲みに行って「俺ら今こういう状態なんだけど、1回スタジオだけでも入ってみない?」って。

──ペギくんはその話をどういうふうに受け止めたんですか。

ペギ(Dr, Cho)

ペギ(Dr) もちろんfor better, for worseも知ってたし、グドモの2枚のデモも聴いていて。めっちゃカッコいいなと思ってました。デモをもらったときはドラマーが抜ける話なんてなかったんですけど「このバンドで叩けたら面白いだろうな」ってちょっと思ってたんですよね(笑)。それくらい音源がよかった。だから話を聞いたときは「マジか!」と思って(笑)。二つ返事で引き受けました。

──ペギくんも加入して現在の体制になった当初はどんな感じだったんですか?

渡邊 最初は大変でした。バンドの考え方や話し合いの仕方にも、ぐっそんイズムがまだ抜け切れてない部分が多少あって。

金廣 しかもそれまでとは真逆のタイプの、自己主張の強いドラムが入ってきたからね。スタジオに入っても音がデカいし。どうやってもシンバルの音がマイクに乗るんだよ(笑)。

渡邊 そのあたりから、とにかくライブ活動を精力的に始めました。明確じゃなかったんですけど、なんとなく「このままじゃヤバい」っていう感覚がバンドの中にあって。新しいメンバーも入ったし、何かを変えなきゃって。とりあえずライブをやって、いろんな人の話を聞こうと。

金廣 まずペギに慣れようっていうのもあったしね。そのくらいから、田中もまたBuntaと住み出したし(笑)。そういうのもあって、バンドの雰囲気が徐々によくなってきたというか。生産的な話し合いができるようにはなっていったんです。「じゃあ今回のライブはこういうふうにしよう、次のライブは……」って。でも、毎回ライブで違うことをやって、違う人から違うアドバイスをされて、それに従ってたからブレブレでもあって。

再びKick Rock MUSICとの出会い

──そこからバンドの方向性はどう定まっていったんですか?

渡邊幸一(G, Cho)

渡邊 ペギが入って少し動き始めてくらいから、あるメーカーの人が(ライブを)観てくれてたんですね。それで「事務所を探してきたらCDを出させてあげるよ」って話になったんです。でも、事務所なんて知り合いいないしなあって思ってたときに、Kick Rock MUSICで一緒だったSECRET 7 LINEっていうバンドのライブを観に行ったら、たまたま平野さんがいたんです。「まだ現場に出てるんだ!」っていうことにテンションが上がっちゃって。だって、偉い人だったらちょっと顔を出して、最後にバンドにテキトーなアドバイスをして帰る人ってよくいるじゃないですか。そうじゃなくて、ライブの初めから終わりまでずっと観ていて、帰りはフライヤーも配っていて。for better, for worseのときのスタンスと、まったく変わってなかったんです。その姿勢に感動したしやっぱり信頼できるなと思ったので、事務所の件を平野さんに相談してみようと。それで「よかったら俺たちに力を貸してくれませんか」ってお願いしたんです。

平野 ぶっちゃけ、最初はそんなにやりたくなかったんですけどね(笑)。でも、メーカー側はマネージメントができる窓口が欲しいっていうことだったから。僕はバンドのことを知ってるし、嫌いじゃないから、やってみてもいいですよって。逆に、乗っかるくらいの気持ちでスタートしたんですよ。そしたらそのメーカーが規模を縮小して、リリースの話自体が頓挫してしまったんです。でも、バンドはすでにレコーディングの準備をしていたんですよ。で、どうすんねんってなって。向こうはできないって言ってるし……じゃあもう、うちから出すしかないよなと(笑)。でも時代が時代だし、ただCDを出しても売れないやろうなと思ったんで、とりあえずコンピを作った。それが「あっ、良い音楽ここにあります。」(2010年8月リリース)なんですね。これは、最初に僕と彼らがつながったV.A.「PUNK ROCK SOUNDTRACKS」をそのままギターロックバージョンにしただけなんです。ただ、バンドのチョイスとかは僕は全然わかんないんで、彼らに丸投げしましたけど(笑)。

──それがジワジワ反響を呼んだんですね。

渡邊 いろんなバンドを巻き込めたのは大きかったですね。そのあとに1stミニアルバム「空ばかり見ていた」(2010年10月リリース)をリリースしたんです。

金廣真悟(Vo, G)

金廣 最初、「空ばかり~」のために作っていた曲が7曲くらいあったんですけど、レコーディング直前の1カ月前くらいに「この曲は普通のギターロックだ、これじゃ売れない」と思って。原点回帰して、メロコアみたいな2ビートを入れたキャッチーなサウンドを日本語でやってみようと。当時2ビートは完全に拒絶していたんですけど、スタジオで合わせたら「お? いいじゃん」って思えたので。それでサウンドとか、作り方とか意識も全部変えました。for better, for worseでやってたような作り方とか、そういうのを意識して、1カ月前からアルバムを作り直したんです。でも正直、俺は「空ばかり~」は入れたくなかったんです。おまけみたいな曲だったし。でも平野さんが「これ推し曲でしょ」って。

渡邊 メンバー全員が「なんで?」って思いました。自分たちだけで決めていたら、絶対にあれはリード曲にならなかった。あとあと考えると本当によかったと思いますけどね。グドモといえば、っていう曲になったし。

メジャーデビューアルバム「未来へのスパイラル」/ 2013年5月8日発売 / 日本コロムビア
初回限定盤
初回限定盤 [CD+DVD] / 3200円 / COZP-766~7
通常盤 [CD] / 2800円 / COCP-37940
CD収録曲
  1. ファイティングポーズ
  2. キャッチアンドリリース
  3. タイムスリップしたみたいに
  4. 未来へのスパイラル
  5. ロールプレイングゲーム
  6. 突破していこう
  7. 風で高く舞い上がれる程
  8. たった6文字じゃ
  9. あなたに逢えて
  10. バンバンガンガン
  11. 下らない毎日が
  12. 餞の詩
初回限定盤DVD 収録内容
  • 「輝く方へリリースツアーファイナル」@渋谷CLUB QUATTRO 2012.09.30
  1. だけど不安です
  2. ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ
  3. 光となって
  4. 言葉にならない
  5. 心臓抉って
  6. 空ばかり見ていた
  • MUSIC VIDEO「輝く方へ」
グッドモーニングアメリカ

グッドモーニングアメリカ

金廣真悟(Vo, G)、渡邊幸一(G, Cho)、たなしん(B, Cho)、ペギ(Dr, Cho)による4人組バンド。2001年に前身バンドfor better, for worseを結成し、2007年より現在のバンド名に変更。for better, for worse時代は英語詞だったが、バンド名変更を機に日本語詞へと切り替え、サウンドもよりポップさを増す。2008年より現在の編成で活動を開始し、自主企画の開催やリリースを積極的に行う。2012年冬には初のワンマンツアーを成功に収める。2013年5月、1stフルアルバム「未来へのスパイラル」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。