ナタリー PowerPush - GOOD4NOTHING

一番俺ららしいパンクロック

今の俺、「ロンドン・コーリング」のジョー・ストラマーみたいちゃう?

──収録曲についてお伺いしますが、1曲目の「BROKEN RADIO」は初期パンクっぽいムードですよね。

U-tan ですね。THE RAMONESやTHE DAMNEDっぽいニュアンスはあるかも。

──レゲエチューンの「Summer Ends」のイントロの叫び声は、まるでジョー・ストラマーのようですよ。

U-tan

U-tan プリプロのときに声出したら、「あれ、今の俺、『ロンドン・コーリング』のジョー・ストラマーみたいちゃう?」って(笑)。だったら「このままジョー・ストラマーでいったれ」という感じでこうなりました。

──「Moving Forward」もギターの音色がTHE CLASHっぽい。

TANNY 俺ら、元々SEX PISTOLSやTHE CLASHが大好きなんですよ。最初に影響受けたのって初期パンクだし。音源はもちろん、ジョン・ライドンの自伝とか読み漁りました。

U-tan 中学生の頃にな。

TANNY メロコアはスケボーやり始めてからなんです。スケボーやり始めて、よりスピード感のあるサウンドを聴くようになって。でも初期パンクは今も大好きですね。ツアー車の中では今でもピストルズとかかけてますもん。

U-tan 初期パンクはやっぱり落ち着くんですよね(笑)。

──今作では制作時にそういった自分たちのルーツを意識しましたか?

TANNY それはないです。でもロックって積み重ねですよね。初期パンクがあって、初期パンクを聴いたやつらがメロコアをやり出して。俺らもその積み重なったつながりの端っこにはいるつもりなんで。だから自分らのルーツが無意識のうちに出てたらすごくうれしいですね。ロックの積み重ねの中の一部になれた気がして。

オールディーズとかもめっちゃ好き

──あと印象的だったのが「Tell it」。この曲は展開が凝ってますよね。

U-tan これはMAKKIN(B)が作った曲で。イレギュラー投手っていうかな、いっぱいは投げないけどたまに投げてくるのがめっちゃいい球っていう。俺らが必死にたくさん曲作ってるのに、こいつはちょっとだけ作って採用みたいな(笑)。

──あと最後の「Out of the wall」は50'sっぽいキュートな曲ですよね。

TANNY

TANNY オールディーズとかもめっちゃ好きなんですよ。俺は幼稚園の頃から親父にオールディーズばっかり聴かされてて。こっちはガンダムとかガッチャマンの曲を聴きたいのに。親父は「これがガッチャマンや」ってオールディーズかけてたんですよ(笑)。

U-tan 俺は「スタンド・バイ・ミー」のサントラとかも好きですね。グッとくる。

──こういう切ない曲が最後なのも珍しいですよね。

U-tan 映画の終わりみたいな、エンドロールが流れてるようなイメージがあって。

──曲順もいいですよね。前半から中盤が勢いあって後半は広がっていく。

U-tan 曲順は全く悩まなかったんです。僕が直感でこの順番にして、みんなもOKって言って。びっくりするほどすんなり決まった。

TANNY 2回に分けたレコーディングだったから、アルバム全体が俯瞰できて、やっている間に曲が適材適所になっていったんちゃう? あと曲作りの段階でハードル上げたから、出来上がった曲はどこでもOKっていう(笑)。

若い頃はカッコつけてたけど、自分ららしくないって気付いた

──真面目と笑いのバランスがいいですよね。王道感あるけど、実はツッコミどころ満載な感じ(笑)。

TANNY やっぱりひねくれてるんですよ。直球に見せかけて変化球、みたいな。

U-tan 直球投げたふりして変化球だったり暴投だったり(笑)。ただそこで、人を寄せ付けないようなひねくれ方は嫌なんですね。やっぱり、お客さんが喜んでくれてなんぼってとこありますし。おもろいひねくれ方をしたい。あと昔よりカッコつけなくなったのかな。若い頃はやっぱりカッコつけてたけど、そんなのは自分ららしくないなって気付いて。

TANNY メロコアは大好きで影響も受けてるんですけど、やっぱり西海岸じゃなく大阪に住んでますし(笑)。どうしても関西人の土着は出るでしょうし。

U-tan でも音楽は真剣で。

TANNY そうそう。ヘラヘラしてたりギャグ飛ばしたりもするんですけど、締めるとこはバシッと締める。僕らの地元の先輩であるGARLICBOYSは、演奏中はすごいパワフルやけどMCでガクッとコケる(笑)。そのギャップにものすごくワクワクするし、カッコいいと思う。

U-tan パンクはカッコよくなきゃいけないとか、そんな定義もないですしね。カッコいいこともカッコ悪いことも、どっちもええやん、どっちも人間の中にはあるやんって。

──わかりました。手応えバッチリって感じですね。

U-tan バッチリです。太いアルバムになったと思います。

──あと去年のことになりますが、中国でのライブはどうでした?

TANNY 中国の人は反日感情持ってるって言われてるけど、全然そんなんじゃなかった。よく来てくれたってめっちゃ喜んでくれて。メディアはまるで中国人全員が反日感情あるかのように報道するけど、そんなんちゃうんですよね。日本と中国の間には難しい問題たくさんあるけど、でも音楽は一緒に楽しめるものやしね。

U-tan 考え方が違ったとしても、ライブをやっているときは一緒に楽しめますしね。音楽は国境や考え方を超えていける、それが醍醐味なんやなって、ほんまに実感しました。

写真左からU-tan、TANNY。

ニューアルバム「ALL THE AWESOME DUDES」 / 2012年9月19日発売 / 2520円 / ユニバーサルJ / WPCL-11113

収録曲
  1. BROKEN RADIO
  2. Country of my dreams
  3. BELIEVING
  4. RIGHT NOW
  5. One Day I Just
  6. All Out
  7. Always
  8. Moving Forward
  9. Summer Ends
  10. Tell it
  11. I DON'T WANNA BE GOOD BOY
  12. Go ahead
  13. MAKE IT CRAZY
  14. Give it up
  15. Out of the wall
GOOD4NOTHING(ぐっどふぉーなっしんぐ)

TANNY(Vo, G)、U-tan(Vo, G)、MAKKIN(B)、SUNE(Dr)からなる関西在住のメロディックパンクバンド。1996年に前身バンドを結成し、その後メンバーチェンジを経て現在のバンド名に。CDデビューは2001年2月のマキシシングル「LET'S MAKE THE FUTURE」。同年夏にリリースされた1stアルバム「GOOD 4 NOTHING」が1万枚のセールスを記録しその人気は一気に全国区へ。2007年にリリースしたアルバム「Kiss The World」では、「SUMMER SONIC 07」や「FUJI ROCK FESTIVAL'07」といった大型フェスの出演に加え、MADINA LAKEとのシカゴツアーに参加。2010年には自身のレーベル「L.M.N.O.P.」を立ち上げ、アルバム「BACK 4 GOOD」を発表した。2012年1月18日にはキャリアを総括したベストアルバム「GREATEST HITS!?」とニューシングル「RIGHT NOW」をリリース。そして9月に最新アルバム「ALL THE AWESOME DUDES」を発表。