音楽ナタリー Power Push - GOOD4NOTHING×TAKUMA(10-FEET)
キッズ心を持ったアラフォー5人座談会
GOOD4NOTHINGが10枚目のアルバム「KIDS AT PLAY」を9月16日にリリースする。
今作はGOOD4NOTHING節全開の「GOOD TIME」や大阪・アメリカ村について歌ったレゲエチューン「R310」、アコースティックナンバー「Blank Letter」などバラエティ豊かな14曲入り。結成17年を迎えてもなお、各地でキッズたちを熱狂させている彼ららしい1枚に仕上がっている。
音楽ナタリーでは今作の発売を記念して、GOOD4NOTHINGメンバー4人と、TAKUMA(10-FEET)の座談会を実施。結成が1年違いというほぼ同期の2組に、「KIDS AT PLAY」についてはもちろん、青春時代を過ごした大阪のライブハウス・梅田ギルドでの思い出や互いの主催フェスティバルの話までたっぷりと話を聞いた。
取材・文 / 小林千絵 撮影 / EL CURI-NHO 取材協力 / Buddy Buddy
1stアルバムみたいなアルバム
──TAKUMAさんは「KIDS AT PLAY」を聴かれました?
TAKUMA はい、聴きました。これはかなりの豊作じゃないでしょうか。
U-tan(Vo, G) ありがとうございます!
TAKUMA ギルド(大阪・梅田にあったライブハウス)が出てくる曲「GET DEAD DRUNK」が好き。あと最後の「Start It Today」もいいし、「WALK A WINDING ROAD」も。いい曲だらけです。ほんまに。
MAKKIN(B) 猛照。
U-tan 「KIDS AT PLAY」は僕らにとって10枚目のアルバムなんですけど、1stアルバムみたいな気持ちというか、フレッシュな作品にしようっていうイメージを持って作ったんですよ。
──「GOOD TIME」ではサビで「スタートラインにたつんだ」と歌っていて、まさに1stアルバムみたいな気持ちが表現されていますよね。
U-tan ほんまにそうですね。いいとき(=GOOD TIME)のことをイメージしてたら、どんだけどん底でもイメージした場所に行けるんちゃうかなっていっつも思ってて。逆境のときこそ、ポジティブシンキングでいようというか。そんな気持ちを書きました。
──「HEY! HEY! HEY! HEY!」のところはライブで盛り上がりそうですね。
U-tan この曲はアルバムの中で最後にできた曲なんです。曲をいっぱい作って、それらの曲をCD1枚に詰めてみたところ、何かが足りないなと思って。それでちょっとアッパーで、いつものGOOD4NOTHING節で、みんなで歌えるような曲がほしいなと。初めてリード曲を作ろうと思って作りました。
“キッズの遊び場”を意味するアルバムタイトル
──アルバムタイトルにはどのような思いが込められているんでしょうか?
U-tan レコーディングスタジオで、エンジニアが入る部屋に「GENIUS AT WORK」(天才の仕事場)って書いてあって、バンドマンが入るところに「KIDS AT PLAY」(子供の遊び場)って書いてあったんですよ。このジョークええなあって思って、そのまま使いました。
TANNY(Vo, G) 俺らはアラフォーで、社会的にはまあまあオッサンの位置付けなんですけど、俺らが普段活動しているライブハウスっていう場所は、空気感も若いし、合間にスケボーやったり対バンの人らと遊んだりして、キッズの心が残ってると思うんですよ。それがうまいことタイトルに入れ込めたかなと。「オッサンになっても、そういう子供心を忘れへん」みたいな意味も感じてます。
──若いバンドが付けるのとは意味が違ってきますよね。
U-tan 重みがありますよね。50歳になっても短パンにタンクトップとかカッコいいじゃないですか。その説得力目指してます。
MAKKIN 昔に比べたら、バンドをやってる人の平均年齢って高くなってると思いません?
TAKUMA すごく高くなってると思う。ツービートの寿命も延びたよな。俺ら40歳超えてもツービートの曲全然やってるし。むしろどんどん速くなってる。
SUNE(Dr) 機材がよくなってきてるっていうのも理由の1つだと思います。
MAKKIN そうなんや? キックがよくなったりとか?
SUNE そうそう。力でいかんでもキックが踏めるような。それで退化してる部分もあるんですけどね。
MAKKIN この2バンドは50歳になっても「ズッタンズクタン」叩いてるんやろな、このまま。
TAKUMA 中日ドラゴンズの山本昌さんも現役やしな。俺らもいけるやろ、ツービートくらい(笑)。
──若いバンドからしたら、GOOD4NOTHINGや10-FEETのように上の世代に現役でカッコいいバンドがいるのは目標になりますよね。
MAKKIN でも俺らも若いバンドに負けたくないよな。
U-tan そういう意味でも気持ちはキッズですね。
シンプルな作りのメロディックパンク
──GOOD4NOTHINGは今作含め10枚、10-FEETは7枚、これまでにオリジナルアルバムをリリースしていますが、アイデアが枯渇してしまうようなことはないんですか?
U-tan 最近僕は常に曲を作るようにしているんですけど、アルバムを作るってなったときに20曲くらい一気に編曲するんですよね。そしたら自ずと20パターンの始まり方と20パターンの構成を考えることになるわけで。そうするとこれはこっちでやってるから違うのをって、自分で引き出しを増やさざるを得ないんです。やり尽くすどころか、いつも発見がある。いろんなジャンルの音楽を聴いて、そこで得たアイデアを、GOOD4NOTHING節と組み合わせていくのがすごく楽しいです。
TAKUMA メロディックパンクってシンプルな作りだと思うんですよ。組み合わせもわりとセオリーがあって、ある程度のパターンがあって。その中でみんな手グセとかブリッジとか展開とかで違いを見せていくわけやけど、でもやっぱりほかのジャンルと比べるとシンプル。
MAKKIN 確かに同じコード進行の曲なんていっぱい出てくるもんな。
TAKUMA でも僕らはこのシンプルな素材で、どうやって「また新しいもの作ったね」って思われるかっていうことに取り組んでる。同じビート感、BPM、コード進行、メロディとスケールが出てきても、前の曲と一緒やのに全然違うって思わせることに面白みを感じてて。自分らだけじゃなくて、お客さんにとっても新しく聴こえるものっていうのはまた難しいんやけど、そういう難しさにチャレンジすることを選んでると思う。だからなかなかやり尽くしはしないんちゃうかな。
MAKKIN すごい。全然意識してなかった(笑)。
TAKUMA 初めはそんなこと考えてなかったと思うけど、気が付きゃ自分らがやってるアレンジ作業ってそういうことなんちゃうかな。
U-tan そうですね。だから俺Green Dayってすごいって思う。パッと聴いただけで「あ、Green Dayや」ってわかるけど、常に新しいんですよね。
TAKUMA そやな。Green Dayは天才よな。
SUNE 僕メロコアはがっつり通ってなくて、途中から入ったからか、ビートも似てるし、どうやって変化を付けていったらええんかなって初期の頃はすごく悩みました。基本はライブでお客さんを乗せるジャンルなので、僕はストレートにビート感を重視したリズムにして、その中のブリッジの部分とかでオリジナリティを出すようにしています。
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- GOOD4NOTHING ニューアルバム「KIDS AT PLAY」2015年9月16日発売 / 2376円 / L.M.N.O.P. / LMNOP-003 / Amazon.co.jp
- 「KIDS AT PLAY」
収録曲
- WALK A WINDING ROAD
- KILL YOUR STEREOTYPE
- STOMPING STEP
- GOOD TIME
- IN THIS LIFE
- GET DEAD DRUNK
- I DON’T CARE WHAT PEOPLE SAY
- R310
- THE WAY BACK HOME
- STAND UP ALL MY DUDES
- Blank Letter
- UNDER THE SAME BLUE SKY
- ON THE LINE
- Start It Today
GOOD4NOTHING(グッドフォーナッシング)
TANNY(Vo, G)、U-tan(Vo, G)、MAKKIN(B)、SUNE(Dr)からなる関西在住のメロディックパンクバンド。2001年2月のマキシシングル「LET'S MAKE THE FUTURE」でのCDデビュー後、同年夏にリリースされた1stアルバム「GOOD 4 NOTHING」が1万枚のセールスを記録しその人気は全国区へ。2007年には「SUMMER SONIC 07」や「FUJI ROCK FESTIVAL '07」といった大型フェスの出演に加え、Madina Lakeとのシカゴツアーに参加。2010年には自身のレーベル「L.M.N.O.P.」を立ち上げ、アルバム「BACK 4 GOOD」を発表した。2012年1月にキャリアを総括したベストアルバム「GREATEST HITS!?」とニューシングル「RIGHT NOW」を同時発売。2013年3月には盟友THE CHINA WIFE MOTORSとともに、大阪・堺市にて主催フェス「SAKAI MEETING」をスタートさせた。2015年9月に通算10枚目のフルアルバム「KIDS AT PLAY」をリリースする。
10-FEET(テンフィート)
TAKUMA(Vo, G)、NAOKI(B, Vo)、KOUICHI(Dr, Cho)の3名によるスリーピースバンド。メロディックパンク、ロック、パンク、ヘヴィメタル、レゲエ、ヒップホップ、ギターポップ、ボサノバなどのさまざまなジャンルを取り入れたサウンドで人気を集めている。また精力的にライブ活動を続け、その迫力満載のライブパフォーマンスや人間味あふれる深いメッセージが込められた楽曲、笑顔を誘い出すキャラクターでもファンを魅了。さらに日本はもとよりアメリカや韓国、台湾でもライブを行うなど、活動の幅を世界に広げている。また自身で主催するフェス「京都大作戦」も例年大成功におさめている。