ナタリー PowerPush - GOOD4NOTHING

一番俺ららしいパンクロック

GOOD4NOTHINGがニューアルバム「ALL THE AWESOME DUDES」を完成させた。本作はメロディックパンクはもちろん、初期パンクや50'sなどさまざまな要素を含んだ楽曲が収録されている。これまで以上に生々しい感情が表現された本作について、U-tan(Vo, G)とTANNY(Vo, G)に話を訊いた。

取材・文 / 遠藤妙子 撮影 / 高田梓

生活がレコーディングにつながっていくような感覚だった

U-tan

──昨年からリリースやツアーなど精力的に活動されていたので、曲作りやレコーディングは時間的に大変だったんじゃないですか?

U-tan そうですね、大変でした。今回はスケジュール的に厳しくて、レコーディングを2回に分けたんです。1回目はベスト盤「GREATEST HITS!?」とシングル「RIGHT NOW」をリリースした時期で。

TANNY 2回目は中国ツアーと同時進行という……。

U-tan もう意識せずとも生活がレコーディングにつながっていくような感覚でしたね。

──想像以上に激しいスケジュールだったんですね。

U-tan うん。最初は1回目と2回目のレコーディングで約半年も空くから、その間に曲が色褪せてしまうんじゃないかって心配になったり。でも実際は大丈夫でした。そう思えたのも1月にベスト盤を出したのがデカかったんです。あのとき自分たちの過去の曲を振り返ったら「実はすごくカッコええやん」って思えて(笑)。そのことが自分たちにとってすごく自信になったんですね。それは今回のアルバムにつながっていると思う。

4人が全員納得するまで曲を突き詰めよう

──今作「ALL THE AWESOME DUDES」にはロードムービーのような雰囲気がありますよね。

TANNY ああ、そうですね。確かにロードムービーって感じはあるかも。さっき言ったようなすごいスケジュールだったんで、その時期の生活が丸ごとレコーディングという一隻の船に乗っていた感じがするんですよ。だから、あの時期の感情も作品に出ていると思うし、それがロードムービー的に聴こえるのかも。

──確かに今作は今まで以上に生々しい感情が表現されていますね。

U-tan それは一番聴かせたいこと、一番伝えたいことを、よりわかりやすく表現して際立たせることができるようになったから。これはショートチューンばかり収録した「It's shoooort time!!」で学んだことなんです。あのアルバムは1分以内の曲を20曲収録したんで、似たような曲にならずに各々の曲に個性が出るよう、メロディやアレンジをすごく突き詰めたんですね。1回聴いただけで覚えられるようなわかりやすいメロディを自分らなりに追求した。今作にはそれが反映されているんで、感情もより自分たちが伝えたいように表現できたんだと思います。

TANNY

TANNY その意味では海外でのツアー経験もデカかった。海外では言葉が通じへんし、僕らのことを知ってるわけでもないでしょ。そんな場所でライブをやるとなると、一発でお客さんの心をつかむためにはどうするか考えないといけないわけですよ。するとやっぱりわかりやすさって大事やなって。で、わかりやすいメロディって意外と難しいんですよね。

U-tan そうそう。サビで一番伝えたいことを持ってくるにしても、そこに行き着くまでの流れに説得力がないと盛り上がらないし。わかりやすさって実は一番難しいのかもしれへん。それでこのアルバムを作る前に「4人が全員納得した曲じゃなきゃ入れるのやめよう、4人が全員納得するまで曲を突き詰めよう」って決めたんです。今までは、ある曲に対して納得してないやつが1人いても「作業を進めていくうちにだんだん良くなっていくだろうからとりあえず進めよう」って感じでやってたんです。でも今回は、全員が納得してからスタートしようって。だから曲作りのハードルが高かったんですよ。

TANNY めっちゃ高かったな。曲を作ってからも4人でいろいろ話し合ったし。

──ちょっとシリアスなムードもありますよね。もちろん勢いはあるしポップなんだけど、以前より視野が広くなってると思うんです。過去を振り返り現在を見つめ、そして未来をどう生きようか前向きに模索している感じ。人生をテーマにしているような。

U-tan これまでも人生はテーマにしているんですよ。アルバム作る上でもバンドを続けていく上でも、「どういう人生にしていきたいか」ってことが土台にあると思いますし。ただ言われたとおり俺らも来年で結成15年で、その間にメンバーチェンジもあって、それでも続けてきてこれからも続けていく。そういうことをちょっと考える時期だったので。だから今までとはちょっと違う角度から人生を見られるようになったのかもしれません。

ニューアルバム「ALL THE AWESOME DUDES」 / 2012年9月19日発売 / 2520円 / ユニバーサルJ / WPCL-11113

収録曲
  1. BROKEN RADIO
  2. Country of my dreams
  3. BELIEVING
  4. RIGHT NOW
  5. One Day I Just
  6. All Out
  7. Always
  8. Moving Forward
  9. Summer Ends
  10. Tell it
  11. I DON'T WANNA BE GOOD BOY
  12. Go ahead
  13. MAKE IT CRAZY
  14. Give it up
  15. Out of the wall
GOOD4NOTHING(ぐっどふぉーなっしんぐ)

TANNY(Vo, G)、U-tan(Vo, G)、MAKKIN(B)、SUNE(Dr)からなる関西在住のメロディックパンクバンド。1996年に前身バンドを結成し、その後メンバーチェンジを経て現在のバンド名に。CDデビューは2001年2月のマキシシングル「LET'S MAKE THE FUTURE」。同年夏にリリースされた1stアルバム「GOOD 4 NOTHING」が1万枚のセールスを記録しその人気は一気に全国区へ。2007年にリリースしたアルバム「Kiss The World」では、「SUMMER SONIC 07」や「FUJI ROCK FESTIVAL'07」といった大型フェスの出演に加え、MADINA LAKEとのシカゴツアーに参加。2010年には自身のレーベル「L.M.N.O.P.」を立ち上げ、アルバム「BACK 4 GOOD」を発表した。2012年1月18日にはキャリアを総括したベストアルバム「GREATEST HITS!?」とニューシングル「RIGHT NOW」をリリース。そして9月に最新アルバム「ALL THE AWESOME DUDES」を発表。