GLAY|TERU&JIRO リベンジ完遂の函館ライブ、“今”を刻んだ新作を語る

とにかく明るい照彦

──さて、函館ライブで初披露された「YOUR SONG」と「愁いのPrisoner」がシングルとしてリリースされます。TERUさんが作詞・作曲を手がけた「YOUR SONG」は、初夏にレコーディングされたと話していました。

TERU そうですね。「YOUR SONG」に関してはスポーツを通じて知的障害のある人たちの社会参加を応援する「スペシャルオリンピックス日本」の公式ソングとして書き下ろしたんです。中田英寿くんとごはんを食べてるときに「こういう活動やってるんですけども興味ありますか?」って声をかけてもらって、実際に団体の方とお話をしている中で曲を作ってほしいとリクエストをいただいて。それが4月ぐらい? 「愁いのPrisoner」も同時期から作ってたのかな。

JIRO 近い時期ではあったね。

──去年リリースされたシングル「WINTERDELICS.EP~あなたといきてゆく~」は、2017年7月リリースのアルバム「SUMMERDELICS」の制作時にすでにレコーディングを終えていて、いわばアウトテイク的な楽曲だと皆さんがお話されていましたよね。それを考えると、今回のシングルは今年のGLAYのモードが反映されているということでしょうか?

JIRO そうですね。

──「YOUR SONG」は「スペシャルオリンピックス日本」の公式ソングというお題があったわけですが、TERUさんはどこまで曲を作ってメンバーの皆さんに聴かせたんですか?

TERU 俺はけっこう作り込むタイプなんで、自分の家で全部のパートを作って聴いてもらいました。そのあとでデモをプロデューサーの亀田誠治さんに預けて、ブラスの音を入れたりアレンジして仕上げていった感じですね。

──JIROさんのTERUさんの音源を聴いたときの感想は?

JIRO いや、すごいTERUらしい曲だなと思って。とにかく明るい! この2、3年、TERUが作る曲は“とにかく明るい照彦”なんです(笑)。

JIRO(B) JIRO(B)

──TAKUROさんは、TERUさんの曲はアンパンマンのようだと評されていたそうで。

TERU はい(笑)。

JIRO それがTERUの作る音楽の特徴なんですよ。役割分担と言うか、最近の作風では特に現れてるなと思う。例えばHISASHIはダークサイドの曲、僕はわりとポップなロックンロール、TAKUROは王道的なGLAYの曲だったりとそれぞれ違うんです。TAKUROに関しては意図的に王道的なものを出してるかもしれないけど。

──それは「SUMMERDELICS」以降、より顕著になってますよね。

JIRO 今、同時進行でニューアルバムのレコーディングをやってるんですけど、それを踏まえてこれまでにないGLAYのサウンド作りに挑戦していたりもします。

──さらに新しい試みを取り入れていると。

JIRO はい。

GLAYのTERUが歌うことで説得力が出る言葉とは?

──TERUさんは「YOUR SONG」の作詞にあたって注意したことはありますか?

TERU 例えば応援ソングって、アスリート本人に向けての曲っていうのが一般的だと思うんですけど、今回は彼らをサポートしている家族やサポーターの人にスポットを当ててみたんです。「こういう気持ちであなたをサポートしてるんだよ」「応援してる人がこういう気持ちで君たちを支えてるんだからがんばって!」という思いを歌いたいと思って、そういうテーマで歌詞を書き始めました。

──使われている言葉がシンプルなのが印象的でした。誰にでも伝わるような、わかりやすい歌詞と言うか。

TERU そう。そこはちょっと自分なりに考えたところであって、普段使う言葉だったりとか僕が誰かを応援するときに使いたい言葉とか、曲を聴いて耳にすんなり入ってきそうな言葉を選ぶようにしました。歌詞を書いているときに一番考えたのは、自分が歌うからこそ届けられる言葉とか、GLAYのTERUが歌うことで説得力が出る言葉を使いたいということでした。それが、最近歌詞を書くうえでのテーマになっているので。

TERU(Vo) TERU(Vo)

──この曲は函館のライブと「スペシャルオリンピックス2018愛知」の開幕式イベントですでに披露されていますが、歌ってみて感じたことはありますか?

TERU 函館でやったときはまだラジオとかでオンエアされていなくて、初披露だったので、ファンのみんなにコーラスをレクチャーしながらパフォーマンスした感じでした。「スペシャルオリンピックス2018愛知」の開幕式で披露したときは、参加しているアスリートの子たちがステージに上がって盛り上がってくれて楽しかったですね。ストレートな言葉で歌詞を書いたからこそ、彼らに響いたのかなとは思いました。

ここ10年くらいのMVで一番好き

──「YOUR SONG」はミュージックビデオも素敵でした。歌詞に込められた前向きなメッセージはもちろん、さまざまな人種や世代の人たちが出てきて、曲に合わせて踊るという内容で。

TERU 自分の曲だからっていうのもあるんですけども、「ダンサー」というのが1つのアイデアとしてあって。「プロのダンサーを目指す子たち」をテーマに作ってほしいと監督に伝えたんです。

JIRO 「YOUR SONG」のMVに関しては、俺、ここ10年くらいの作品の中で一番好き。

TERU おお!(笑)

──私は「SOUL LOVE」のMVを思い出したんです。メンバーの皆さんが楽しそうに演奏していて、どこか素の表情が垣間見えると言うか。

JIRO ああー。楽しげな空気は、曲調に引っ張られたのが間違いなくあるでしょうね。MVの最後で外国人のダンサーたちとセッションしてるんですけど、そのダンサーの皆さんのテンションがとにかく高くて、撮影しているときに楽しげなMVになるんだろうなって思ってたんだけど、編集された映像を観たら想像してた以上に明るくて。仕事なのに仕事じゃないみたいな撮影でした。まあ演奏テイクも少なかったし(笑)。

──(笑)。

JIRO ホントに10年とか15年ぐらい前だったら、自分たちのMVにほかの人が出演するなんて想像できなかったですね。当時はそういうのを嫌がってたと思うけど、今となってはいろんな人の力を借りてます。若手の俳優さんや女優さんに出てもらって、ドラマ仕立てにしたり。それもけっこう悪くないなと思って、今では「どんどんお願いします!」って感じ。

TERU もう他力本願でいいんじゃないかみたいな(笑)。

──柔軟性が出てきた?

JIRO そう。さっきの函館ライブの制作の話じゃないですけど、自分たちだけの力だけじゃできないんです。バンド自体この4人だけのものではないぐらい巨大なものになってきてるし、うまく転がしていくためにはいろんな人たちの手助けを得たほうが、バンドとしての広がりを見せれるんじゃないかなと思うんです。レコーディングでもそう。亀田さんと「この曲は昔ながらのバンドアレンジにしよう」って話し合ったり、デモテープを預けて「亀田さんだったらどういうアプローチします?」って相談したり。長い歳月をかけていろんな選択肢を増やしてきたので、いろんな人の力を借りながら、これからもどんどん広がりを見せていけたらいいですね。

GLAY「愁いのPrisoner / YOUR SONG」
2018年11月14日発売 / LSG
GLAY「愁いのPrisoner / YOUR SONG」CD+DVD

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GLAY「愁いのPrisoner / YOUR SONG」CD

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CD収録曲
  1. 愁いのPrisoner(セブン-イレブンタイアップ曲)
  2. YOUR SONG(スペシャルオリンピックス日本公式応援ソング)
  3. 彼女の“Modern…” feat. EXILE NESMITH(from LUNATIC FEST. 2018)
  4. 誘惑 feat. SUGIZO(from LUNATIC FEST. 2018)
  5. FATE(from LUNATIC FEST. 2018)
  6. 君が見つめた海(from GLAY x HOKKAIDO 150 GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.3)
  7. YOUR SONG(from GLAY x HOKKAIDO 150 GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.3)
DVD収録内容
  1. 愁いのPrisoner(Music Video)
  2. YOUR SONG(Music Video)
  3. GLAY MAKING MOVIE of MUSIC VIDEO in LOS ANGELES
  4. サバイバル(from LUNATIC FEST. 2018)
  5. BELOVED feat. EXILE TAKAHIRO(from LUNATIC FEST. 2018)
  6. SHUTTER SPEEDSのテーマ feat.明希(from LUNATIC FEST. 2018)
GLAY(グレイ)
GLAY
北海道函館市出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には千葉・幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催し、有料の単独ライブとしては世界最多観客動員を記録する。2000年に入ってからも数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」(現:LSG)を設立。メジャーデビュー20周年となる2014年は、9月に宮城・ひとめぼれスタジアム宮城にて単独ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を行い、11月にオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリースした。2015年には5月に10年ぶりとなる東京・東京ドーム公演を2日間にわたって開催。2017年7月に2年半ぶりとなるニューアルバム「SUMMERDELICS」をリリース。9月末から「GLAY ARENA TOUR 2017“SUMMERDELICS”」と題した全国ツアーを開催し、11月にニューシングル「WINTERDELICS.EP~あなたといきてゆく~」を発表。2018年8月に2度目となる地元函館での野外ワンマンライブ「GLAY x HOKKAIDO 150 GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.3」を行い5万人を動員した。11月にシングル「愁いのPrisoner / YOUR SONG」をリリース。