「光」のレコーディングについて
──ここから今日の本題なんだけど、「光」すごくよいですね。
いやー、長いですよね、曲。
──うん。
シングルとしてはどうなのかな?とも思うんだけどね。
──そういうの一応思うんだ?
うん。
──「あいどんわなだい」も2曲合わせて10分以上あったでしょ。
でもなんか俺は2曲で7分ぐらいで終わっちゃうシングルもいいけど、10分は超えたほうがいいかな、っていうのは思ってる。
──「光」はライブではずいぶん前からやってたよね。
バンドでは去年の9月からかな。その前に弾き語りでやってて。
──あ、そうだ、弾き語りのときに何度か聴いた。
そう、だからほんと1年ぐらいずっとライブでやってて、やっとこれはそろそろ録音してもいいかなって思えたの。ぜんぜんライブでやってないのにレコーディングできる曲と、ライブで何回かやらないと形にならない曲ってやっぱあるみたいだね。
──「光」はライブで形になっていった感じだったのね。
うん、筋肉つけてやんないとね。シンプルなんだけどけっこう曲も長いし、でもレコーディングは今回一発で成功したんだよ。
──それすごくない? だって「あいどんわなだい」とかすごい苦労してたでしょ?
何回もやってたよね。
──どうして「光」は一発でできたんだろう?
わかんない(笑)。でもメンバー3人が「せーの」で録ろうって言って、俺ブースで聴いてたの。で、そしたらいきなり1回でできちゃったんだよね。あとから直したりもしてないし、ホント録ったときのまんま。うん。
──すごい。峯田くんは以前「光」のことを「人間2」って言ってたことがあるけど。歌の感じも構成も。「人間」があるのに「光」を作ろうと思った理由はなんだったの?
うーん、ずっとね、2年前のツアーとかも、だいたい「人間」が最後の曲で。言ってみればハイライトみたいな感じ。でも、この先ずっとそれをハイライトに持ってきてても、なんかたぶん進まない気がした。バンドの、俺らの、その音楽の幅がね、前に進まない気がして。「人間」を1曲目に持ってきたりして、そっから最後に、「人間」みたいな感じでやれる、新しい曲を持ってこないとダメだなって思ったのね。
──なるほど。じゃあ「人間」をもうやらないわけじゃない。
でも減ると思う。
「光」の主人公は自分自身
──「光」は、銀杏BOYZの曲の中でも特別な感じがするんだよね。ぼくは銀杏BOYZのユーモラスなところとか、ちょっとフォークっぽいほのぼのしたところとか、そういうところもすごく好きなんだけど、「光」はすごくシリアスな曲じゃない?
うん。
──真面目だし。本当のことをちゃんと歌おうとしてる曲だなって思う。峯田くんの中でも、「光」はやっぱり特別な曲?
うーん、これはネタあかしみたいになっちゃうから、あんまりインタビューとかで言いたくないけど。その、「あいどんわなだい」にしても、どの曲にしても、自分じゃない誰かが主人公だったりするのね。学生時代の自分だったり、なんか女の子を想う男だったり。でも、「人間」とか「光」は、作ったときの、そのときの自分が主人公だから。だから、なんだろうな、GOING STEADYのときは、俺は自分のことばっか歌ってたの、たぶん。
──うん。
そのときのリアルタイムな気持ちを歌おうとしてて。銀杏になってからは、もっといろんな話を作ってる感じだったんだけど、でも「光」は、実際に自分を主人公にした曲かもしれないですね。
──確かに、自分の中で起こったことだけ書いてる感じが伝わってくる。
うん。
──そういう「人間」や「光」の持ってる特別さについて、他のメンバー3人はどう思ってるんだろう。そういう気持ちを共有してる感じがする?
うん、する。
──演奏も違う?
違う。曲への向かい方みたいのが。
──そういうのはメンバーに説明するの?「これはこういう曲だからこうやろうぜ」って。
言わない、言わない。絶対言わない(笑)。
──でも伝わってるんだ?
うん、ふざけてる曲とかはね、もうゲラゲラ笑いながら作ってんの。こういう感じにしようって。で、もっとここをこうしようぜ!とか説明すんだけど。でも「光」とかは、あの、言わなくてもわかるんじゃない?みたいな感じかな。説明しないよ。