言っちゃえば“釈迦に説法”なんですよ

──通常盤βの2曲目に収録されている「GOD 釈迦にHip-Hop」は、げんじぶの“隠れ自己紹介曲”になっているそうですが、どのような形で制作が進んだんでしょう？

空人　まず、この曲を作ってくださった久下さんと1対1でお話させていただいたんですけど、そのときに「ブログやSNSに上げていないグループやメンバーの話が欲しい」と言われたんです。なので僕ら「実はこのメンバーってこうなんです」みたいな、いろんな裏話をお伝えしました。そんな話をもとに久下さんが歌詞を考えてくれたので、“裏のげんじぶ”がわかる自己紹介曲になっているんです。声出しにもピッタリの曲だと思うので、ぜひ皆さんライブで声を出して盛り上がってほしいなと！

凌大　それこそ、コールとか入れてくれたらうれしいよね。

光咲　僕らの話を久下さんらしい表現に変換してくれているので「これは自分が伝えたエピソードだ」とわかる箇所もあるし、「これ、僕のエピソードだったの？」と思うところもあります（笑）。最初にもらった歌詞カードには、歌詞の横にカッコ書きで“誰々が伝えたエピソード”って説明が書いてありました。

空人　久下さんが聞き上手だから、話してても楽しかったです。すんごい楽しそうに聞いてくれるんですよ。（声のボリュームを上げて）「へえ！ そうなんだ！」みたいな（笑）。

潤　空人がさっき「ライブで盛り上がってほしい」と言っていたけど、僕もまさに、この曲は久下さんがライブを想定して書いてくれたものだと思っていて。

──というのは？

潤　ライブに来てくれる方は、もちろん僕たちのことをある程度知っているわけじゃないですか。それに加えて、僕らのことを好きでいてくれている。この曲では、僕らのことを好きな人に向かって自己紹介をして、「好きだよね？」と問いかけているんです。それって、言っちゃえば“釈迦に説法”なんですよ。「GOD 釈迦にHip-Hop」というタイトルにはそういう意味があるのかなと気付いたとき、久下さん、やっぱりすごいなと思いましたね。

甘いものもめっちゃ食べてますよ

──興味深いフレーズのオンパレードなので、歌詞を深掘りできたらと思うのですが……この曲は、自分で自分の紹介パートを歌っているというわけではないですよね？

一同　そうです、そうです！

光咲　ほかの人の紹介パートを歌っている箇所もあります。

空人　（Aメロを口ずさみ）「寝ても覚めてもチェックする 監視中毒……」。

潤　ここは和人のことですね！ 彼は街中を歩くとき、窓に反射する自分の姿も欠かさずチェックしてるんです。その習性を、僕が久下さんに伝えました。

凌大　これはみんな考えずともわかるんじゃないかな？という部分で言うと「人見知り強化 ノンレム過ぎて違反」。これ、僕のことなんです。

──はい、ここは凌大さんのことなのかなと察しました。「ノンレム過ぎて違反」というのは？

凌大　僕、どこでも寝ちゃうんです。楽屋でも移動中の車内でも。

光咲　移動車で一番寝てるのは凌大だね。

凌大　家で寝るときより、移動中とかに寝るほうが気持ちいいんすよ……！

光咲　マジで言ってる？

雅哉　信じられん……。

凌大　シートの揺れ感がいいんだよね。

潤　で、次の「危険信号かき混ぜて」は僕。「あらゆるところに“危険信号”をばらまいてるよ、あなたは」という意味らしいです。ちょっとショックでしたけど！（笑）

空人　なるほどね。納得！ そのあとの「愛しの彼は現在甘味系で進行中」は？

光咲　ここは僕。僕はラーメンが大好きなんですけど、食べ過ぎると喉がしょっぱくなるんですよ。

凌大　確かに、光咲「喉しょっぱい」って言うわ（笑）。

光咲　そういうときに甘いものを食べたくなるので、「現在甘味系で進行中」。ラーメン好きの僕は、今現在甘いものもめっちゃ食べてますよっていう意味ですね。

お母さんの料理は無敵だよ

空人　2番の最初にある「キレイ好きで頼れるスポンサー」、キレイ好きと言ったらげんじぶ美化委員の要人を想像するじゃないですか。実はこれ、僕なんです。

潤　空人がキレイ好き……？

空人　久下さんと話したとき、「僕は楽屋をすごい掃除する」という話をしたんです。飲みかけのペットボトルも全部処理しますし。それプラス、「メンバーを支えるのがすごく好き」ということを伝えたら「キレイ好きで頼れるスポンサー」というフレーズを作ってくれて。

光咲　そことつながっている「クールで溶けちゃうバランサー」は僕。

空人　そのあとの「ママ麻婆無敵」は誰かわかるよ。雅哉でしょ？

雅哉　そう、僕です！ お母さんの麻婆豆腐が一番好き。

潤　いや、そうだよな！ お母さんの料理は無敵だよ。わかる。

要人　めっちゃいい息子がいるわ。

空人　で、「キメ顔レベチでごめん」は和人じゃん？

雅哉　「ON OFFのswitchは大事なChoice」は誰ですか？

要人　これは僕ですね。「オフモードのときはちゃんとオフしたい人なんです」と言ったらこうなりました。そのまんまです（笑）。

落ちメロは「グミ契約」に

──皆さんの説明を聞くと、歌詞の解像度が上がって面白いですね。

空人　終盤に出てくる「グミ契約」っていうのは、げんじぶ全体のルールのことで。「誰かがグミを買ってきたら、そのグミは勝手に食べていい」という契約があるんです。

凌大　暗黙の了解ね。

潤　落ちメロですよ。おいしいところを「グミ契約」に持っていかれました（笑）。

空人　「ぐんぐん伸びてく一人っ子の野望」は、雅哉しか該当者がいないから観測者もすぐにわかるんじゃない？

雅哉　確かに。

空人　雅哉の野望っていうのが、げんじぶで一番身長が高くなること。要人を抜かすことなんです。

潤　俺も一人っ子だよ。俺の野望も伸びていきますから！ 実はここ、俺のことかも（笑）。

──グループ全体のことで言うと「あと20秒くらいで奴の出番 サビ前で一言頂戴」はサビ前の決めゼリフをよく和人さんが担当しているという“げんじぶあるある”で、実際サビ前で和人さんが言う「お待たせ」への布石になっている、ということですよね？

潤　そうです。ここは俺が言ったエピソードですね。「『そこ！歌…』アレ？ 短くない？」も僕が伝えた部分で、僕たちの曲って基本的にすごく短いんですよ。ライブのセットリストを考えているときなんかに「改めて思うけど、俺らの曲って短くない？」って口癖のように言っちゃうんです。

一同　あー！

光咲　そういうことね！

空人　俺、歌割りの短さのことだと思ってたわ。

要人　……というか、歌詞に関しては僕らもわからない部分がありすぎるから、久下さんと一度答え合わせしたい（笑）。

空人　観測者の皆さんにも読み解いてもらいつつ、いつか答え合わせ的な何かができたらいいかもね。

光咲　最後に1個。「すきすきす きすきす き・き・きすみー」は？

空人　ちょっと、これ誰のことなのか話し合おうよ！（笑）

潤　これは7人全員だと思うよ。7人全員が……。

凌大　観測者にね！

光咲　そっか。ちょっと僕のことかな？と思ったんだけど。違ったな！

一同　あはははは！

げんじぶはいっつも報われない！

──通常盤βの3曲目「夏の二等辺大三角形」は、げんじぶにしては珍しいまっすぐな曲調の、切ないラブソングです。

空人　報われないですねー、げんじぶのラブソングは。

光咲　げんじぶはいっつも報われない！

──なんでなんでしょうね（笑）。

光咲　失恋のストーリーだからこそ心に沁みるものがあるってことなのか……。

潤　ほら、織田信長も……。

一同　織田信長!?（笑）

潤　天下統一できなかったじゃないですか。でもすごく人気がある。日本人はこういう展開が好きなんですよ。届きそうで届かないっていう。

光咲　織田信長関係ないから。今、令和！

潤　いや、絶対関係ある！ 昔から変わらない情緒があるんだ！

要人　すみません、「※諸説あり」と書いておいてください。もしくは「※武藤潤の意見です」って（笑）。

光咲　話を戻すと、曲の中では三角関係の失恋を歌っているんです。3人で仲よくしてたけど、自分以外の2人が結ばれちゃって、1人残されちゃうっていう。

空人　見方を変えると「Foxy Grape」とはまた別の種類の嫉妬を描いた曲になっているんです。そのつながりも面白いよね。

“織姫”や“彦星”になれなかった人には

──この曲には明確なストーリーがあって、主人公の感情の吐露で歌詞が構成されているじゃないですか。こういう曲を歌うときは、皆さんは演技をするような気持ちで歌うのでしょうか？

光咲　自分は主人公になったつもりで、感情移入して歌いますね。この曲はメロディにも切なさを感じたので、僕的には感情が込めやすかったです。感情を込めやすいからこそ、さらにもうひと段階上のレベルの表現力を見せて、ライブで皆さんをびっくりさせたいなとも思っているんです。

潤　でもこの曲、リズム取りが本当に難しいんですよ。光咲が1番を歌って、2番は僕が歌っているBメロは特に……歌詞の1文字のタメ具合の瀬戸際を見極めながら歌っていかないと、リズムにハマらないというか。それもまた、僕にとっては新しい挑戦でした。

──確かに、この曲もグルーヴ感が大事な曲ですよね。ちなみに潤さんは、どんな気持ちで歌入れをしましたか？

潤　ごめんなさい、ちょっとほかの曲になっちゃうんですけど、イメージとしては「もう一回 もう一回」って感じの……。

空人　「HANABI」やないかーい！

凌大　潤くんの大好きなMr.Childrenさん！

潤　自分の中でこの曲にオーバーラップしたのは「HANABI」かもしれないですね。過去に戻れたらいいのに。もう1回やり直したい……という気持ちで歌ってました。“織姫”や“彦星”になれなかった人には、共感できる部分がたくさんある曲だと思います。

──雅哉さんの歌うパートも、すごく切なさが表れていましたね。

雅哉　「水着の日焼け跡も 花火が照らす横顔も 全部あいつのもんかな」ですか？ 夏っぽいですよね。「全部あいつのもんかな」は、主人公の気持ちを想像しながら歌って……。

空人　ヤバい、雅哉が泣きそうになってる。

雅哉　「話してくれてもいいじゃんね」もそうなんですけど、自分のパートに切ないフレーズが多くて。感情移入できるからこそ歌いやすい、みたいな感覚はありました。

潤　ライブでやるとしたらさ、この曲のあとにあえて「半分相逢傘」（道ならぬ2人の一夜の関係を歌う人気曲）を続けたい、俺は。

一同　あはははは！

空人　“報われないメドレー”やりたいね！ 「半分相逢傘」のあとは「豪雨」（浮気心、禁断の恋をテーマにしたバラード）でしょ。

要人　そこに「豪雨」持ってきたら、もう……。

凌大　報われないにも程がある！（笑）