GANG PARADEが変革期を迎えている。2020年5月にグループ発起人であるカミヤサキが脱退し、グループはGO TO THE BEDSとPARADISESの2組に分裂。昨年には両グループに新メンバーが加わり、途中でメンバーが丸ごと入れ替わるという突然の人事異動を挟みつつ、それぞれ精力的なライブ活動を続けてきた。
2022年元日にはまたしても突然、GANG PARADE復活が新聞広告で発表され、メンバーもその告知で再始動を知ることとなった。メンバー本人たちのあずかり知らないところで巻き起こる変化の連続だったが、3月には新メンバーとしてWAggで活動していたアイナスター、オーディション参加者であるカ能セイがグループに加入。さらにPARADISES時代の昨年から活動休止していたナルハワールドが復活し、13人の大所帯でツアー「GANG PARADE THE GREATEST SHOW TOUR」を行っている。
音楽ナタリーでは過去最大の人数になったGANG PARADEから新メンバー2名、ナルハ、そしてWAggにレンタル移籍した経歴を持つ月ノウサギ、グループ活動初期から在籍するヤママチミキにインタビュー。ギャンパレ復活から新メンバー加入に至るまでについてや、そして5月25日にサプライズリリースされた配信アルバム「WELCOME TO GANG PARADE」と新曲「シグナル」の制作エピソードなどを聞いた。新メンバー2名、復帰する1名、既存メンバー。それぞれどんな気持ちでGANG PARADEと向き合っているのか。
取材・文 / 田中和宏撮影 / 星野耕作
ギャンパレ新メンバー現る
──GANG PARADEに新メンバーとして元WAggのアイナスターさん、カ能セイさんが加入しました。セイさんはインタビューを受けるのは初めてですか?
カ能セイ 今日、この取材が初めてです! よろしくお願いします!
──よろしくお願いします。ギャンパレは複雑な歴史を持つグループで、近年はGO TO THE BEDSとPARADISESに分かれて活動していましたが、2022年元日にギャンパレとして復活することになりました。そもそもは2020年にグループの発起人であるカミヤサキさん(現在はコレオグラファーとして活躍中)の脱退を機にグループが分裂するという大きな変化があって。そういった前提がありつつ、まずは新メンバーのお二人に聞きます。今年3月に行われた合宿型オーディション「WACK合同オーディション2022」で合格し、ギャンパレに加入することになりましたが、どんな気持ちで合宿に臨んだのかを聞かせてください。
アイナスター 私はWAggで活動していたんですが、WAggのメンバーにはPARADISESさんへの加入を目指すオーディション(参照:WAggがPARADISES加入を目指すオーディション企画「PARADISESの素晴らしき未来」始動)が始まった2020年10月に、2年という活動期限が与えられたので、今年の10月で期限を迎えます。私は今年で合宿参加は3回目だったんですけど、今回の合宿がその期限前で最後だったので、絶対にここで昇格してやるという気持ちで挑みました。
──カ能セイさんは合宿にはタンタン(仮)という名前で参加し、合格を勝ち取りました。
カ能セイ 私はWACKのアイドルが本当に大好きで、ニコニコ生放送での合宿の生中継も毎年観ていて。いつか自分も同じ場所に立ちたいと思っていたので、今年初めて挑戦しました。そしたらなんと合宿に参加できたので、ここまで来たからには絶対にWACKのアイドルになってやる、という強い気持ちがありました。
──歌やダンスの経験はあるんですか? ほかのアイドルに興味はなかった?
カ能セイ 個人的にダンスの練習はしていました。もともとアイドルにはそんなに興味がなかったんですけど、WACKのアイドルがきっかけでアイドルを好きになって、そこからほかのアイドルにも興味を持つようになって。WACK以外のアイドルも観るようになったんですけど、結局一番好きなのはWACKのアイドルでした。
──なるほど。ちなみにWACKは今、設立何年になるんですか?
ヤママチミキ 8年ですね。私はWACKに入ってもうすぐ7年が経ちます。
──WACKの事務所としてのパワーが大きくなってきたこともあって、初期の頃に比べるとオーディションを受けに来る人の雰囲気が変わってきてますよね?
ヤママチ めちゃくちゃ変わりましたね。最初の頃は「邪道なことをやりたいんです!」みたいな人が多かったです。ほかのアイドルとは違うことをやりたいとか、自分を変えたいとか。でも最近は「WACKを好き」とか、「BiSHがめちゃくちゃカッコよくて好き」という子が多くて。「WACKを好きでWACKのアイドルになりたい」って子が増えたのは、個人的には面白い変化だと感じてます。
──ギャンパレには昨年の合宿で合格したチャンベイビーさんとキャ・ノンさんも在籍しています。キャ・ノンさんはWACKに魅了されていた雰囲気が伝わってきましたが、チャンベイビーさんはそうでもなかったですよね。
ヤママチ そうですね(笑)。ベビは異質だと思います。「Project WACKちん」(基本的にオンラインでのみ展開されたWACKによる公開型全世界リアルタイムオーディション)が始まるタイミング(2020年6月)でWACKを知った子なので。ベビに関しては最近では珍しいタイプだけど、最近の子たちの多くはBiSHが好き、BiSが好きでWACKが好きでみたいな。WACKに愛を持っている子が受けてくれているイメージですね。
ナルハ、正月にマネージャーから電話
──そしてナルハワールドさんがこのタイミングで復帰ということで、おめでとうございます。
一同 (拍手)
ナルハワールド ありがとうございます。でも休止したときはPARADISESからトレードを言い渡されてGO TO THE BEDSのメンバーということになっていたので、ギャンパレに戻ることは想定外でした(笑)。
ヤママチ それはそう(笑)。私たちも想定外だったから(笑)。
ナルハ まさかでしたよ。ギャンパレが復活して、私もギャンパレに戻るということになりまして、ギャンパレが復活して最初の楽曲「PARADE GOES ON」をたくさん聴いて復帰を楽しみにしていました。
──ギャンパレの復活を知ったのはどのタイミングですか?
ナルハ 1月1日にマネージャーさんから突然電話がかかってきて「明けましておめでとうございます。ギャンパレ再始動します」って。
一同 ははは(笑)。
月ノウサギ そのときは何してたの?
ナルハ 私は家族とお昼ごはんを用意してました(笑)。そのときはまだ自分の復帰タイミングが決まってなかったから、「私、どこに行くんだろう……戻っていいのかな」みたいな気持ちもあって。いっぱい考えることはあったんですけど、ギャンパレという戻れる場所があるのは、本当にありがたいことだと思いました。
アイナスター、悔しさをバネに
──アイナスさんがギャンパレ復活を知ったのはいつ?
アイナス 私もファンの皆さんと同じタイミングです。Twitterで知って、復活発表の翌日に行われた再始動ライブを観させていただきました。再始動の情報が回ってきて、正月で帰省していたんですけど、Spotify O-WESTまで飛んで行きました。先輩が楽しそうにパフォーマンスしている姿を観られて、すごくうれしかったです。私は1月10日まで活動休止していたので、早くライブがしたいなって。WAggではギャンパレさんの曲をたくさんパフォーマンスしていたので、本家をひさしぶりに観られた喜びも大きかったし、メモしておきたいことがたくさんありました。
──月ノウサギさんはWAggにレンタル移籍していた経験もあれば、PARADISES加入を懸けたWAggメンバーによるオーディションではアイナスさんのトレーナー役を務めていました。アイナスさんのギャンパレ加入が決まったときの気持ちは?
月ノ アイナスちゃんがずっと昇格を目指してがんばってる姿を間近で見てきたし、チャンスを逃している姿も見てきたんですよ。だからやっとチャンスをつかめたことが私もめっちゃうれしかったです。
──アイナスさんは去年のオーディションで最終発表までいきましたけど、そのときは昇格ならずでした。あのとき、めちゃくちゃ悔しかったですよね?
アイナス はい……(笑)。こんな悔しいことないってくらい悔しかったです。
月ノ ここで昇格しなかったらこの子本当に死ぬんじゃないかなってくらい悔しがってた。
アイナス ははは。去年の合宿でものすごく悔しい思いをしたからこそ、「あきらめずにやる」ってことを学べました。去年の合宿後に半年間、活動休止はしちゃったんですけど、悩む期間もありつつ、悔しい思いを経験してからギャンパレに昇格できてよかったなって思います。
月ノ PARADISESのオーディションのときや、私がWAggにレンタル移籍したときはまさか自分がギャンパレに戻って、アイナスちゃんとギャンパレで一緒に活動すると思ってなかったな。巡り巡って、一緒にステージに立てるのは運命を感じます。
ヤママチ ギャンパレとして注目してもらえるトピックがどんどん出てくると言うのはグループにとっていいことですね。脱退や活動休止になるとマイナスに捉えられてしまうけど、WACKの育成グループでがんばり続けた子が加入するとか、合宿でがんばった子が入ってくるとか、メンバーが復帰するとか。
月ノ 変化があるたびに自分のお尻を叩かれる気持ちになります。ここからまた始まっていくし、ここからまた期待に応えようというかそういう気持ちにさせてもらえる。ギャンパレとしては、合宿後から変革期を迎えたっていう感覚があります。
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カ能セイを含む13人編成は「未知」