音楽ナタリー Power Push - Galileo Galilei

新作「クライマー」が描き出す3人の今

2011年の1stフルアルバム「パレード」以降、2作目「PORTAL」、3作目「ALARMS」と海外のインディー勢とも共振するアレンジやプロダクションを追究。その後2014年のミニアルバム「See More Glass」では、尾崎雄貴(Vo, G)の弾き語りを叩き台に作曲を始め、今一度楽曲そのものの魅力を見つめたGalileo Galilei。そして2015年に入り「恋の寿命」「嵐のあとで」と立て続けにシングルを発表してきた彼らが、このたび最新シングル「クライマー」を完成させた。取材を行ったのは公私ともに親交が深いPOP ETCと回った日本ツアーのファイナル直前(参照:Galileo Galilei、静かに熱くDiverCity揺らしたツアーファイナル)。「See More Glass」から「クライマー」に至る道と、その「クライマー」を作り上げたGalileo Galileiの今について、尾崎雄貴、佐孝仁司(B)、尾崎和樹(Dr)に聞いた。

取材・文 / 杉山仁 ライブ撮影 / 入日伸介

 
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2015年のGalileo Galileiに求められたこと

──「恋の寿命」「嵐のあとで」、そして今回の「クライマー」という2015年の一連のシングルを聴いて改めて感じたことなんですが、2014年のミニアルバム「See More Glass」は重要な転機だったんじゃないか、と。

「"broken tower tour" 2015」最終公演の様子。

尾崎雄貴(Vo, G) 僕ら自身も、その感覚はすごくあります。シングル3曲はタイアップ用に作ったこともあって統一性があるわけではないけど、それでも「洋楽を意識しすぎずに、今求められていることをやる」という部分はすべてに当てはまることだと思うので。

──洋楽を意識しすぎないという思いはどこから? 例えば1stアルバムの頃のリスナーにもアピールしたい、という気持ちの表われであったり?

雄貴 なんて言うか……「今は海外のインディーロックのような音楽をやりたい」という感じでもなくなってきているんですけど、じゃあ邦楽っぽいことがやりたいのか?というとそうでもなくて。単純に「僕らが聴いてきた音楽や、これからも聴くだろう音楽に敬意を払いつつ、そこから新しいものを作りたい」と思っただけなんです。その思いに気付いたり、自分たちに自信を付けるきっかけになったりしたのが「See More Glass」の制作で。あと、あの作品をリリースしたときの反応が、思っていたより「ガリレオがJ-ROCKに戻ってきた!」という感じでもなかったんですよね。

佐孝仁司(B) ある程度J-ROCKに寄せた感覚があったし、昔聴いてくれていた人の中で「また聴き直そう」という人が増えるんじゃないかな、と思っていたんですけど、その手応えはなくて。「すごく好き」って言ってくれる人は多いし、純粋に「曲がいい」って言ってくれる人はたくさんいても、「昔のガリレオが聴ける」っていう理由で喜んでくれた人は、意外にいなかったんです(笑)。

雄貴 リスナーと対話するように「これどう? 好き?」みたいな感じで作ったものだったんですけど、実はJ-ROCK的なガリレオを求める人はとっくに離れていて。ライブに来てくれるお客さんも“「PORTAL」以降の人”に変わってたんですよね。

3人の足かせを外した「See More Glass」

──それでも「See More Glass」がJ-ROCK的になったのは「PORTAL」「ALARMS」という海外インディーロックの影響を強く受けたアルバムを作ったことで、逆にフラットな視点を持てたからでしょうか。

雄貴 そうですね。やってみて吹っ切れたというか(笑)。あと「ガリレオがJ-ROCKに返ってきた」という反応がなかった、という話にしても、足かせが外れたような感覚でした。

──むしろより自由になった、と。

雄貴 これまで聴き手を気にしすぎていたのかな、って。そのとき、リスナーとコミュニケーションを取るにはライブがあるわけだから、作品では変に気張らずにやろうと思えたんです。タイアップの話にしても「俺らJ-ROCKバンドじゃないし」って態度で臨むのではなくて「なんで俺たちに話をくれたのか」をより考えるようになって。今は別にそれがカッコ悪いことだとも思ってないというか。

──そのあたりはずっと悩んできたことだったんですよね。

「"broken tower tour" 2015」最終公演の様子。

雄貴 ジレンマはずっと抱えてました。でも変に気張らなくなったらライブの客層も変化してきて。自分たちと同い年ぐらいの人だけじゃなくて、年齢層の高い人も聴いてくれるようになってるんですよ。

佐孝 その少し前までは、タイアップ曲を出すと「なんで!」って言われることがあったんですけど、それもなくなってきてて。

尾崎和樹(Dr) それって僕らの変化に対して「ガリレオだったら、こういうこともやるだろうな」とわかってくれる人が増えたからだと思うんです。僕らが変わっていく中で、ファンの人たちの中にも選択肢が増えたというか。だから今は本当に「気張らずにやってる」感じなんです。

──3人でラップトップを囲んでポストプロダクションや音色を追究した「PORTAL」や「ALARMS」とは対照的に、雄貴さんが弾き語りで曲を作ったということも「See More Glass」での大きな変化でした。

雄貴 弾き語りで曲を作ると自由度が高いんですよ。アレンジや音色を重視して作ると、例えば’80sっぽい音にしたいとなっても、それが制作途中の曲の雰囲気が違ったら寄せていくのが難しかったりして。でも、メロディとコードだけがある状態だと、どんな方向にも持っていけますよね。「仁司、ここはAOR風に弾いて」って言える。

佐孝 「恋の寿命」あたりからはそういうスタイルで曲を作ることが多くなってきてますね。

和樹 最近、自分がやってて楽しいのもそういう瞬間なんです。兄ちゃん(雄貴)に弾き語りをiPhoneで聴かせてもらって「この曲をどうしたいのか」「たぶんこういう感じなんだろうな」って想像するのが楽しくなってきていて。

ニューシングル「クライマー」2015年12月9日発売 / SME Records
期間限定通常盤 [CD] 1400円 / SECL-1822
通常盤 [CD] 1300円 / SECL-1821
収録曲
  1. クライマー
  2. ボニーとクライド
  3. She
  4. クライマー(TV Ver.)(期間生産限定盤のみ収録)
Galileo Galilei(ガリレオガリレイ)
Galileo Galilei

尾崎雄貴(Vo, G)、佐孝仁司(B)、尾崎和樹(Dr)を中心に2007年に北海道・稚内にて結成。2010年2月にミニアルバム「ハマナスの花」でメジャーデビューを果たす。その後「青い栞」「サークルゲーム」などでヒットを記録し、2013年10月にはPOP ETCのクリストファー・チュウをプロデューサーに迎えて制作された最新アルバム「ALARMS」を発表。邦楽ファンのみならず洋楽ファンからも支持を集める。2014年2月には東京・渋谷公会堂での初ホールワンマンを行い成功を収めた。同年10月にはクリストファー・チュウプロデュースのミニアルバム「See More Glass」を発表。2015年には3月に「恋の寿命」、6月に「嵐のあとで」という2枚のシングルを立て続けに発売し、10~11月にはPOP ETCも参加したツアー「"broken tower tour" 2015」を実施した。そして12月、表題曲がアニメ「ハイキュー!! セカンドシーズン」のエンディングテーマに採用されているシングル「クライマー」をリリースする。また2016年春にはキャリア最大級の全国ツアーの開催も決定している。