ナタリー PowerPush - ファンキー加藤

ファンモン解散からソロ活動に至る 密着ドキュメンタリー映画公開

過去を背負ってのリスタート

──ファンモンとしては東京ドーム公演までたどり着いたわけですが、ソロとしてはまさにここから。ゼロからのスタートという気持ちもあるんじゃないですか?

ドキュメンタリー映画「ファンキー加藤 / My VOICE ~ファンモンから新たな未来へ~」のワンシーン。

一時期は俺もゼロからのスタートだなって言ってたんですよ。でもあるとき思ったんです。そう言うのってモン吉やケミカルにも失礼だし、ソロとしての俺を応援してくれてる人たちに対しても失礼じゃないかなって。ファンモンとして培ってきた経験と技術、そしてたくさんの人たちとのつながりと信頼関係があるわけですから。そういう意味ではゼロからではなく、過去のいろいろなものを受け入れて、背負った状態でのリスタートという言葉が一番ピッタリくるような気がしてますね。

──ソロデビューシングルのカップリングには「リスタート」という楽曲も収録されていますよね。

まさに、その曲には俺のそういう気持ちが詰まってます。「My VOICE」がファンの人たちに向けた表の感情なら、「リスタート」は自分の心の中を表した裏の側面。表裏一体なこの2曲を聴いてもらえれば、今のファンキー加藤がきっとわかってもらえると思います。

──映画の撮影でカメラが密着している時間の中、加藤さんの気持ちが大きく動いた瞬間、何かのスイッチがバチンと入った瞬間ってありましたか?

それは最後のシーンですね。曲ができるたび、歌詞のワンフレーズができるたび、レコーディングを終えるたびに少しずつ不安が解消され、喪失感が埋まっていき、本来の自分に少しずつ戻れてる感覚はあったんです。でも、本当の意味で止まっていた秒針が動き始めた実感をしたのはあのシーンでした。映画になったものを観たときに、自分でも背筋がゾクッとする感覚がありましたからね。よくあのシーンを撮っててくれたなって。

──新たな一歩を大きく踏み出した瞬間ですもんね。

なんかね、この年齢になってもう一度デビューというものを体験できるのって、すごいいい人生だなって思うんですよ。ほんとにいろいろあるのが人生だなってあらためて思う。その“いろいろ”という言葉にはネガティブな要素も含まれてはいるけど、だからいいんですよね。無味無色な世界よりは、笑いや涙のあるカラフルな毎日のほうが絶対いいから。

──すべてひっくるめて楽しんでしまおうと。

そうですね。

俳優業も音楽にフィードバック

──ソロデビューを機に俳優としての活動をスタートさせるのも、そういう気持ちからなんですかね。

ファンキー加藤

まあまあ、そこはね、今だから生まれた気持ちというよりは、昔から興味があったんですよ。言ってしまえば音楽を始める前から、劇団ひまわりのオーディションを受けるくらいだったんで。だからソロになったタイミングからは、もしオファーがあったら挑戦してみたいなっていう。もちろんまだ何も決まってもないですし、もしかしたらとんだ大根役者で一回こっきりになるかもしれないですからね(笑)。でもそういう好奇心は大事にしたいんですよね。外の世界で学べたことは、ちゃんと音楽にもフィードバックできると思うし。

──今回の映画は役者としての活動の大きな足掛かりにもなりそうですよね。ドキュメンタリーとは言え、スクリーンデビューを果たしたわけですから。

いやいやいや(笑)。俺、この映画をどれだけの人が観てくれるんだろうって、めっちゃ不安なんですよ。六本木ヒルズでも上映されるらしいんですけど、果たしてそこにニーズはあるのか?って。八王子ならまだしもね。自分でもチケットたくさん買って、いろんな人に配ろうかなって思ってますから。少しでも映画館が埋まるように(笑)。

──では最後に、ソロとしての今後の展望を聞かせてください。

まだあんまり先々のことは考えてないですけど、まずは再会したいですよね、ファンの皆さんと。ちょっと離れ離れになっちゃった人にまた俺の思いを届けたいし、また会いたいなっていう気持ちが今は強いです。

──楽曲制作も続けているんですか?

はい、作ってます。少しずつ自分のペースがつかめてきた感じがあるので楽しいですね。細かいことで言うと、これまでは必ずメロディ先行で曲を作っていたけど、最近は詞先に挑戦してるんです。

──手紙きっかけで歌詞を書いた「My VOICE」も言ってみれば詞先ですもんね。

そうそう。あとカップリングの「桜 ふわり ふわり」は完全に詞先です。僕は言葉を紡ぐほうが好きなので、ファンキー加藤ならではのメッセージをどんどん届けられたらいいですね。そういう中から新しいものも少しずつ見つけていけている実感もあるので。

ドキュメンタリー映画「ファンキー加藤 / My VOICE ~ファンモンから新たな未来へ~」

2014年2月14日より全国劇場にて公開

  • 出演:ファンキー加藤、FUNKY MONKEY BABYS ほか
  • 監督:住田拓英
  • 製作:M-ON! Entertainment / ENNET
  • 配給:LIVE VIEWING JAPAN
  • 協力:id ENTERTAINMENT / DREAMUSIC
  • 製作委員会:M-ON! Entertainment / LIVE VIEWING JAPAN / myシアター
ソロデビューシングル「My VOICE」 / 2014年2月12日発売 / Dreamusic
初回限定盤 [CD+DVD] 1365円 / MUCD-9065
通常盤 [CD] 1050円 / MUCD-5250
CD収録曲
  1. My VOICE
  2. リスタート
  3. 桜 ふわり ふわり
初回限定盤DVD収録内容
  • 「My VOICE」VIDEO CLIP
  • 「My VOICE」メイキング映像
ファンキー加藤(ふぁんきーかとう)

1978年東京都八王子市生まれ。2004年にFUNKY MONKEY BABYSを結成し、2006年1月にメジャーデビュー。多くのヒット曲を生み出し「NHK紅白歌合戦」に4年連続出演するなど幅広い人気を集めるも、2013年6月の東京ドーム2DAYS公演を最後にグループを解散。その後「ファンキー加藤」名義でソロ活動を開始し、2014年2月にソロデビューシングル「My VOICE」をリリース。同じく2月にドキュメンタリー映画「ファンキー加藤 / My VOICE ~ファンモンから新たな未来へ~」が全国の劇場にて公開される。