ナタリー PowerPush - ファンキー加藤

ファンモン解散からソロ活動に至る 密着ドキュメンタリー映画公開

「ありがとう」がヒントになった

ファンキー加藤

──「My VOICE」の歌詞は非常に加藤さんらしい言葉で今の思いが明確に紡がれています。そこにたどり着くまでにはかなりの苦労があったようで。

大変でしたね。ソロとして動き始めるからには、ファンキー加藤として何か新しいものを見せなきゃいけないと思ってたんですよ。そこにはファンモンに対しての嫉妬心みたいなものがあったのかもしれないんですけど、ファンモンにはなかった新しい自分をどうしても見せたかったんです。で、思いっきり迷走したんですよね(笑)。あっち行ったり、こっち行ったりしながら、普段なら絶対使わないような言葉を選んでみたりして。

──映画の中でも相当悩んでいる姿が出てきます。

今の形に行き着くまでに30~40曲くらいは捨てましたからね。でも、そうやってさんざん遠回りした中で1つの結論が導き出せたんですよ。それはFUNKY MONKEY BABYSのファンキー加藤は俺自身でしかないんだなっていうこと。グループの中の俺も、ソロの俺も地続きなものなので、ソロになったからって今までとまったく違うものを見せられるはずはないんだなって。だからそこを遮断する意味なんてまったくなかったんだなって。

──非常にシンプルな着地点ですよね。

ヒントになったのはファンモンの最後のシングル「ありがとう」なんです。あれは初めてセールス度外視で、ファンの皆さんにだけ宛てた曲だったんですけど、ソロとして一発目となる曲もそういう方向でいいんじゃないかなって思ったんですよ。今一番伝えたい人に、今一番伝えたいメッセージを届ければいいんじゃないかな、と。そこが見えてからは速かったですね。止まっていたペン先がまたどんどん動き始めて。

──歌詞は手紙のような体裁で書かれています。

実際、初めにお手紙を書いたんですよ。メロディに当てはめることは一切考えないで、とにかく伝えたい人に向けた伝えたい思いを便箋につづったんです。それが結果的に、歌詞の原型になりました。歌詞の冒頭の「元気に過ごしてますか?」からのパートは、その手紙のまんまですからね。

ドキュメンタリー映画「ファンキー加藤 / My VOICE ~ファンモンから新たな未来へ~」のワンシーン。

──加藤さんが思い描いた“伝えたい人”というのはもちろん……。

ファンの人たちですね。

──ですよね。ただ、ファンモンと同じようにファンキー加藤のソロを応援してくれている人がいる一方で、まだソロを受け入れることができない人もいるわけで。となると、いわゆるファンモンのファンである“BABYS”全員に向けて思いを紡ぐ難しさはあったはずですよね。

そこはほんとにそうなんですよね。これからもずっとBABYSでいたいという人もいれば、俺のソロを応援する人はBABYSではないっていう人もいる。そこに対しての答えは自分の中でもまだ出てないんです。ただね、よくよく考えてみるとファンモンが解散してからまだ1年も経ってないんですよ。

──確かにそうですね。だからこそ加藤さん自身も、BABYSたちも戸惑っている部分があるんだと思います。

うん。だからきっと、ここから少しずつ歩いていくことによって見えてくる景色があると思うんです。ファンの皆さんと俺の思いの歩幅を少しずつ合わせていけたらいいなって今は思ってるんですよね。

命を削って歌うしかない

ファンキー加藤

──歌詞には「いつかまた君に届く日まで」というフレーズがあります。つまり、現状まだ届いてないという気持ちが加藤さんの中にはあるってことですよね。

そうですね、うん。だから俺は届けたいんだっていう。ただ、少しずつテレビに出させてもらうようになったりとか、インストアライブツアーで全国を回らせてもらった中で、うれしい言葉をいただく機会も増えているんです。ソロの俺を応援することに対して迷いを抱いていたけど、実際に歌を聴いてみたらファンモンの頃と何も変わっていなかった。だから応援しようと思いますって。そう思ってくれる人が1人でも増えてくれるように、俺はとにかく歌い続けるしかないんだなって改めて思いましたね。

──そこが歌い手としての源泉ですもんね。

今までもそうだし、これからもそう。俺はミュージシャンとしてコンプレックスだらけですからね。歌唱力もビジュアルもカリスマ性もほとんどない。きれいな包装紙に包まれた商品ではなく、見た目の悪いかつお節みたいなもんなんですよ(笑)。だからこそ俺は自分の人生をかけて、もっと大げさに言うなら命を削りながら歌っていかないと、ほかのミュージシャンには絶対勝てないっていう。俺はずっとそうやってエンタテインメントしていくんだと思います。

──それがファンキー加藤としてのあるべき姿だと。

うん。そこを再確認しましたね。

ドキュメンタリー映画「ファンキー加藤 / My VOICE ~ファンモンから新たな未来へ~」

2014年2月14日より全国劇場にて公開

  • 出演:ファンキー加藤、FUNKY MONKEY BABYS ほか
  • 監督:住田拓英
  • 製作:M-ON! Entertainment / ENNET
  • 配給:LIVE VIEWING JAPAN
  • 協力:id ENTERTAINMENT / DREAMUSIC
  • 製作委員会:M-ON! Entertainment / LIVE VIEWING JAPAN / myシアター
ソロデビューシングル「My VOICE」 / 2014年2月12日発売 / Dreamusic
初回限定盤 [CD+DVD] 1365円 / MUCD-9065
通常盤 [CD] 1050円 / MUCD-5250
CD収録曲
  1. My VOICE
  2. リスタート
  3. 桜 ふわり ふわり
初回限定盤DVD収録内容
  • 「My VOICE」VIDEO CLIP
  • 「My VOICE」メイキング映像
ファンキー加藤(ふぁんきーかとう)

1978年東京都八王子市生まれ。2004年にFUNKY MONKEY BABYSを結成し、2006年1月にメジャーデビュー。多くのヒット曲を生み出し「NHK紅白歌合戦」に4年連続出演するなど幅広い人気を集めるも、2013年6月の東京ドーム2DAYS公演を最後にグループを解散。その後「ファンキー加藤」名義でソロ活動を開始し、2014年2月にソロデビューシングル「My VOICE」をリリース。同じく2月にドキュメンタリー映画「ファンキー加藤 / My VOICE ~ファンモンから新たな未来へ~」が全国の劇場にて公開される。