音楽ナタリー Power Push - 藤田麻衣子
CDデビュー10周年を機に振り返る 私のターニングポイント
ターニングポイントは「ねぇ」「手紙~愛するあなたへ~」
──今回のベスト盤に収録されている楽曲で、特に印象深いものをいくつかピックアップしてお話を聞かせていただければと思うんですけど。
はい。まずはやっぱりCDデビュー曲の「恋に落ちて」ですね。21歳のときに書いたんですけど、「これを自分の代表曲にしよう」って強く思えた1曲なんです。当時はまだ弾き語りができなかったんだけど、この曲ができたことですごく練習するようになって。この10年、NHKホールとか日本武道館とか今年初めて行った中国とか、本当にいろんな場所で歌ってきましたね。そのたびに不思議とデビュー前に路上ライブで歌っていたときの映像がパッと浮かぶんですよ。それくらい自分の歴史の中で大事な、思い出深い曲だと思います。
──この曲が生まれたのは、ご自身で作詞作曲をするようになってからどのくらいのタイミングなんですか?
私は20歳から曲作りを始めたので、1年くらい経ったときでしたね。まだオリジナルが20曲もないくらいの時期で。かなり初期の段階で、3枚目のシングルとしてリリースした「横顔 ~わたしの知らない桜~」という曲もできていて、それもすごく大事な曲だなと思ってはいたんですよ。でも、それ以上に「恋に落ちて」には何か特別なものを感じたのを覚えてますね。
──では、活動の中で大きなターニングポイントになった曲はありますか?
自分の活動が大きく広がったなって思えたのは、2012年にテレビアニメ「緋色の欠片」の主題歌として書き下ろした「ねぇ」という曲。あそこで新しい方々に私の曲を耳にしていただけた実感がすごくありました。また、2013年にリリースした「手紙 ~愛するあなたへ~」もすごく広がりを感じた曲でした。
──ご両親への思いをつづったウエディングソングですね。
はい。ジューンブライドをテーマに書いたんですけど、今までにいろんな方がカバーしてくださったりもしていますし、この曲をきっかけにほかのタイアップが決まったりしたこともあったので、いまだにすごく動きがあるんですよ。ライブで歌っても反響が大きいですし、実際に結婚式で使っていただけているっていう話もよく聞くので、すごくうれしいですね。
──今回DISC 1に収録されている最新曲「君よ進め」は母親の目線で子供への思いを描いた内容になっていますよね。そこに出てくる母親像が「手紙 ~愛するあなたへ~」に出てくる母親にリンクしているような気もしました。
ああ、なるほど。私の中に思い浮かんでいるのが同じ母親だからストーリーがつながっちゃったのかもしれないですね(笑)。この「君よ進め」はアピタ・ピアゴのママポケットランドセルのCMソングとして書き下ろしたんですけど、CMの台本を読んだときに思わず泣いちゃって、一気に詞を書き上げたんですよ。自分はまだ子供を産んだことがないのでママの気持ちになって書くのは難しいのかなって思ってたんですけど、実際に子供を育てている友達の話や、自分の子供時代の母親との思い出を振り返ったりすることで案外スッとイメージすることができたんですよね。
──「手紙 ~愛するあなたへ~」や「君よ進め」のようなテーマの曲は年齢を重ねてきたからこそ書けたもののような気もしますよね。
確かにそうだと思います。自分自身、30歳になったことがすごく大きいなって感じてるんですよ。ちょっと気持ち的にラクになってきたところがあるというか。それまでは、例えば応援歌を書くにしても年齢的に説得力がないって自分で思っちゃってたところもあって。でも自分が30歳になったら急に、今まで書けなかったようなことも書けるようになったところがあるんですよね。今まで以上に純粋にただただ伝えたい思いを曲として伝えていけるようになったというか。そういう意味ではここにきて歌い手としての準備がようやく整ったような気もしています。
上京はオーケストラで歌いたかったから
──では、新曲「君に恋したあの日から」についてもひと言いただけますか?
はい。この曲はアッパーで明るい雰囲気だけど、そこにはちゃんと切なさがあるっていうことをテーマに作っていきました。今までもそういった曲には挑戦していたんですけど、今回はすごくいい仕上がりになったなって思っていて。そのときにちょうど恋愛ゲーム「イケメン幕末 ~運命の恋~」の3周年記念テーマソングのお話をいただけたので、この曲を提出させてもらった感じです。今後のライブでもいいポジションで活躍してくれる曲になりそうな予感がしていますね。
──デビュー10年を総括するベスト盤を引っ提げて来年1月にはツアーが開催されますね。
はい。今年の47都道府県ツアーは弾き語りだったので、今度のツアーはバンド編成でお届けします。ベストアルバムの曲たちを歌うことで10周年の集大成をお見せしたいなと思っているので、ぜひ皆さんに遊びにきていただきたいですね。
──そして来年4月1日には、藤田さんがかねてから夢として描いてきた初のオーケストラコンサートの開催も決定しました。楽しみですね。
はい! 曲を書き始めたのも、東京に出ていこうと思ったのも、すべてはオーケストラで歌いたかったからなんです。ちっちゃい頃からミュージカルやディズニー音楽が好きだった私にとって、オーケストラの世界にはときめきしかないんですよね。10年以上、ずっと言葉にし続けてきた夢をやっと形にできることが本当にうれしいし、それが終わったときに自分が何を思うのかもすごく楽しみですね。きっとそこでまた新たな目標が見えてくるんじゃないかなって思います。まだまだ絶対に満足はしないと思うので。
- ベストアルバム「10th Anniversary Best」 / 2016年11月23日発売 / Victor Entertainment
- 初回限定盤 [CD3枚組+DVD] / 6264円 / VIZL-1057
- 通常盤 [CD2枚組] / 3564円 / VICL-64657~8
DISC 1
- 恋に落ちて
- この白い雪と
- 横顔 ~わたしの知らない桜~
- あなたは幸せになる
- 瞬間
- 泣いても 泣いても
- ねぇ
- 高鳴る
- 手紙 ~愛するあなたへ~
- 涙が止まらないのは
- この恋のストーリー
- おぼろ月
- Only One
- 君よ進め
- 君に恋したあの日から
DISC 2
- 水風船
- 運命の人
- 二人の彼
- 今でもあなたが
- 君が手を伸ばす先に
- 二度目の恋
- 蛍
- SUPERMOON
- 私らしく
- 宝物
- つぼみ
- オレンジ
- one way
- 恋煩い
- 伝えたい言葉
- you
DISC 3(※初回限定盤のみ)
- 雨音
- 金魚すくい
- 忘れないで
- 各駅停車
- Girls Shopping
- 安らげる場所
- 戸惑い
- 花火
- きっと
- 好きになるとどうして
- ギブ・ミー・サンドバッグ
- 忘れた恋の始め方
- 可愛くなりたいと思った日
- このまま電車に乗って
- あなたに恋して
初回限定盤DVD収録内容
Music Video
- 二度目の恋
- 瞬間
- 泣いても 泣いても
- ねぇ
- 高鳴る
- 手紙 ~愛するあなたへ~
- 涙が止まらないのは
- この恋のストーリー
- おぼろ月
- one way
- you
Best Live Movie
- 高鳴る(LIVE TOUR 2013 ~高鳴る~ @NHKホール)
- one way(LIVE TOUR 2014-2015 ~one way~ @中野サンプラザ ホール)
- おぼろ月(弦楽四重奏 Live Tour 2015 @EXシアター六本木)
- つぼみ(弾き語りLIVE @日本武道館)
- 恋に落ちて(弾き語りLIVE @日本武道館)
ライブ情報
藤田麻衣子10周年巡演海外専場
- 2016年12月1日(木)中国 広州 TU凸空間
- 2016年12月3日(土)中国 上海 The Mixing Room
- 2016年12月4日(日)中国 北京 雍和宮糖果三層
藤田麻衣子 BEST ALBUM TOUR ~10th Anniversary~
- 2017年1月12日(木)福岡県 DRUM LOGOS
- 2017年1月17日(火)大阪府 なんばHatch
- 2017年1月18日(水)愛知県 DIAMOND HALL
- 2017年1月26日(木)東京都 Zepp Tokyo
藤田麻衣子オーケストラコンサート
- 2017年4月1日(土)東京都 すみだトリフォニーホール
藤田麻衣子(フジタマイコ)
愛知県名古屋市出身のシンガーソングライター。2006年9月「恋に落ちて」でインディーズデビュー。すべての楽曲の作詞作曲を手がけるほか、アーティストへの楽曲提供も行っている。フリーライブでファンを増やし、2012年に東京・渋谷公会堂公演、2013年7月に東京・NHKホール公演を実施。同年10月には東京・日本武道館での弾き語り無料ワンマンライブを成功させた。2014年3月に「涙が止まらないのは」でメジャーデビュー。同年10月にメジャー1stアルバム「one way」をリリースした。2015年12月にメジャー2作目となるアルバム「恋愛小説」を発売している。2016年には47都道府県ツアーを行い、11月にCDデビュー10周年を記念してベスト盤「10th Anniversary Best」を発表した。