次のフレデリックを見せていきたい
──ミニアルバムの収録曲の中で、ほかにもメンバーそれぞれ思い入れのある曲を挙げていただきたいのですが、どうでしょうか。
赤頭 僕は4曲目の「sayonara bathroom」ですね。最近シンセの打ち込みを入れる曲が多いけど、この曲はバンドサウンドが基本になっていて。あとギターソロがすごくいいのでぜひ聴いてほしいですね。カッティングのリフもいいし、「バンドだけでいくぜ」っていう感じがすごく気に入ってます。
高橋 「ひとときのラズベリー」は、メンバーそれぞれ演奏のノリのニュアンスが違っていて。でもそれがちゃんとバンドとしてきれいな形で成立している曲ですね。メンバーの根っこにある各々の信念と、バンドに対する器の大きさみたいなものが聴いていて感じられる。僕はそれがすごく好きです。
健司 迷ってるので、2つ挙げていいですか? まず「ひとときのラズベリー」はメロディがよくて。最初に康司からもらったデモを聴くときは、自分が歌うことを意識してメロを捉えるんです。その後も自分の歌唱が入った音源を聴くことが多いんですけれど、今日ふとボーカル抜きのバージョンを聴いたら、メロがめっちゃいいなと思って。このメロをより際立たせるボーカリストでありたいなと改めて思いました。
──もう1曲は?
健司 「PEEK A BOO」ですね。バンドとしてのキャリアがどれだけ長くなったとしても、この曲が自分たちが“帰る場所”の1つになりそうな感じがあるんです。このミニアルバムに入っていることが大きな意味を持つんだろうなと。いい意味でまた新しい軸を作ってくれる曲になると感じました。
──康司さんはどうでしょうか?
康司 「煌舟」は己との戦いをイメージして書いたんですけど、この「煌舟」を通して楽しい景色を見に行きたいねという気持ちもあって。バンドの未来に向けてこの曲を書けてよかったと思っています。自分たちは34、35になって、どんどん歳をとって、無邪気にやっていた若いときに比べると、知ってることも器用にやれることも増えてきた。でも、ここからもっとフレデリックという名前を広めていきたいし、ライブ会場の規模を大きくしていきたい。やれることの幅が広がるたびに「こういうことをやってみても面白いんじゃない?」というアイデアがさらに出てくると思っているんです。これまでもずっとそうやって旅をしてきた。舟に乗って進んでいる感じだから、ときには波に揺れたり、自分たちがどうすべきか悩むこともあるけど、でもその波自体も愛おしく思える瞬間もある。自分たちの知らない自分たちを探しにいくような気持ちでこの楽曲を書けたし、これからもまたそういう気持ちを持ちながらライブをやって、曲を作っていきたい。自分の中でその気持ちを忘れないでいようということが書けた。この曲を大事にしながら、次のフレデリックを見せていけたらと思ってます。
自分たちも知らないフレデリックを追い求めて
──今後のライブについての話も聞かせてください。来年2月には兵庫・ワールド記念ホールと東京・日本武道館でのアリーナワンマンが予定されています。
健司 ここ2、3年で、フレデリックのライブに対するスタンスが大きく変わってきていて。この10年でフェスのデカいステージに立たせてもらったり、アリーナでワンマンライブしたりしましたけれど、そもそも俺ら最初は大勢の前でやることに戸惑いがあったんです。1人ひとり全員違うのに、こんなたくさんの人に向けて何を伝えるのがいいんだろうと。でも、コロナ禍でライブが一旦なくなって、その状況の中で思ったのが、観に来る人の感情とか、思い出とか、どうやって来てどうやって帰るかとかも、全部“その人のもの”でしかないということで。たとえ1万人いようが、その人にとっての音楽を、フレデリックの4人としてじゃなくて、俺の言葉で、俺の意識で、健司、康司、隆児、武のそれぞれの意識で伝えていくというスタンスに変えようという話をしたんです。お客さんも俺らも1対1でやりたいという意識になった。そういう感覚でワールド記念ホールと武道館に立ちたいと思っていますね。
──9月から行っていた対バンライブ「UMIMOYASU 2024 MOVE」はフレデリックにとってどんな経験になりましたか?
健司 1つひとつの公演に対する意識がもっと高くなったライブでしたね。この数年でライブに対する意識が変わったことで、目の前にいる人がどう感じるか、何を持ち帰るかまでを考えるようになった。で、そのことを対バン相手に対しても考えるようになった。呼んでもらった対バンも、誘ってもらったことの意味を考えて、そこに対しての答えをちゃんと伝えていく日にしたいって。だから、自分たち主催の対バンのときにはどういう気持ちになるんだろうという興味もあって、対バンライブを復活させたんです。そこでも1公演1公演、相手の1曲1曲に意味を感じるようになったというか。そういう意味で、対バンは本当に刺激になりました。
──では、ワールド記念ホールと武道館公演はどういう内容にしたいと思っていますか?
健司 さっき康司が「煌舟」の話をしましたけれど、タイトルが「船」じゃなくて「舟」なのにもちゃんと意味があって。1対1でやりたいという気持ち、そういうバンドとしての意識からそれを康司が言葉に選んだという。俺はこっちの「舟」のほうが曲に合うと思うんです。1人乗りの小さい舟のイメージというか。そういう意識も含めて、武道館とアリーナは、お客さん1人ひとりの目の前でやっているような感覚で曲を届けたいと思います。
ライブ情報
UMIMOYASU 2024 -MOVE-
MOVE ON
2024年9月22日(日・祝)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
<出演者>
フレデリック / go!go!vanillas
MAKE A MOVE
2024年10月20日(日)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
<出演者>
フレデリック / Perfume
MOVE OUT
2024年11月30日(土)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
<出演者>
フレデリック
FREDERHYTHM ARENA 2025
- 2025年2月11日(火・祝)兵庫県 ワールド記念ホール
- 2025年2月24日(月・振休)東京都 日本武道館
プロフィール
フレデリック
2009年6月結成。双子の兄弟の三原健司(Vo, G)、三原康司(B, Vo)と、赤頭隆児(G)、高橋武(Dr)の4人からなる。幅広い音楽要素から生み出されるユニークなサウンドと、ライブならではのアレンジや多彩な演出に定評がある。2012年にMASH A&Rが主催するオーディション「MASH FIGHT!」にて特別賞を受賞。2014年9月にメジャーデビュー作となるミニアルバム「oddloop」を発表した。2022年3月に3rdアルバム「フレデリズム3」をリリース。同年6月に東京・国立代々木競技場第一体育館でバンド史上最大規模のワンマンライブ「FREDERHYTHM ARENA 2022」を開催した。2024年11月にはミニアルバム「CITRUS CURIO CITY」をリリース。2025年2月には兵庫・ワールド記念ホールと東京・日本武道館でアリーナワンマンライブ「FREDERHYTHM ARENA 2025」を行う。
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