「Graffiti」が描く恋愛の形

──ニューシングルの「Innocent Graffiti」は、まさにそれを体現している楽曲ですよね。ラウドロックをベースにしたJ-POPというFo'xTailsのカラーが出た楽曲であり、ボーイズラブ作品「純情ロマンチカ3」というアニメに寄り添った、ちょっと困難な恋愛をそれでも2人でモノにしようとするラブソングになっています。

takao　曲自体はあまり悩むことなく比較的早くできたんですよ。タイアップのお話をいただくまで、ボーイズラブに触れる機会があんまりなかったんですが、改めて「純情ロマンチカ」シリーズの過去の作品を観てみてから曲ができてくるまでは早かったよね？

テラ　うん。アニメを観ていくうちに、好きになった人に対して素直になれない姿なんかは別に男女の恋愛と同じこと。当たり前に人が抱く感情を素直に剥き出しに描いている。絵柄の印象から最初はさわやかな曲にしようと思っていたんですけど、結局内容に感化されて、恋愛の楽しさとか、ワクワクする感じだけじゃなくて、もっと人間味というか、悩んだりツラかったりするところも1曲の中に盛り込めたらな、と思いながら書きました。Aメロは元気な感じ。前向きに恋愛している感じから始まって、Bメロで自分の強い思いに葛藤もして、でもサビでやっぱり開ける感じ。そういうイメージでしたね。

──takaoさんの作詞もスムーズでした？

takao　いや、今回は大変でしたね。最初に書いた歌詞は鳴風に「これはちょっとtakaoじゃないよね」と言われてしまって……。そのあと鳴風が歌詞に使えそうなフレーズをいくつか出してくれたんですけど、その中にあった「Graffiti」という言葉を見た瞬間「これだ！」ってなった。ひと口に恋愛といっても思い“描く”ものは人それぞれ。それに気付いてイチから書き直したのが、今の歌詞なんです。

全員嫉妬深いんですよ

──カップリング1曲目は「RUSH」。「いつまでぬるま湯につかってんだ」「守り逃げた場所で何か得たかい？」と歌う通り、歌詞もサウンドも攻めっ気の強くてド直球な、“純ラウドロック”、“純エモ”といったテイストのナンバーです。

takao　ハードロック出身っていうこともあってそういうのが得意だからか、鳴風がサッと書いてきた印象のある曲ですね。曲名も鳴風が決めていて、ガヤというかデスボイスのコーラスが入るアイデアも曲をもらった段階で固まってました。

鳴風　いつかこういう曲をやってみたかったので、今takaoが言ったようなあたりはけっこうしっかり主張させてもらいました。

takao　歌詞もこの曲は早かったんですよね。鳴風も「攻めまくりたいって思って曲を書いた」という話だったので、今バンドのみんなが考えてることというか、「攻めなきゃ」という闘争心を込めよう、と。

──もう1曲の「ALIVE」は？ ビートはダンサブルなんだけど、上モノやメロディはちょっとメロウですよね。

鳴風　自分のことが小さく感じられたときに書きました（笑）。

一同　（笑）。

takao　でも聴いた瞬間その雰囲気にヤられたんです。まさに鳴風が言ってるイメージが伝わってきたというか、一番ツラかった時期のことが思い出されて。だから歌詞には、Fo'xTailsを始める直前、前にいたバンドについて悩んでいた時期のダークで、ネガティブな感情を盛り込んでみようって思えた。これまでそういう歌詞を書いたことがなかったんですけど、素直に「書こう」と思えましたね。

──リード曲の「Innocent Graffiti」を含め、3曲ともライブ映えもしそうですよね。

takao　もともとライブバンドだっていうのもあるから、レコーディングも好きですけど、やっぱりライブがすごく好きで。今回に限らず、曲作りやレコーディングの段階から「ライブでどう演奏できるか」って考えながら作ってますし。で、実際映える曲になったな、って思ってます。

──最後に今後についても聞かせてください。今ってひと口に「ロックバンド」っていってもいろんな活動スタイルがありますよね。ライブハウスを中心にひたすらにツアーを重ねるバンドもあれば、スタジアムクラス・アリーナクラスの大会場や、世界でのプレイを目指すバンドもいる。それから前作と今作での皆さんのようにアニメという他ジャンルとのコラボレーションを積極的に展開するバンドもいる。

takao　全部やりたいですね（笑）。今はいろんな場所でたくさんライブをやりたいんですけど、いずれは世界にも行きたい。俺たちがどこまで通用するかを見てみたいですし。それからレーベルの先輩のGRANRODEOさんみたいにアニソンも作り続けるし、しかもいろんなジャンルの大物バンドと対バンもするしっていう活動にも憧れます。俺らもデビュー前から、全然ジャンルが違うバンドとも当たり前のように対バンやイベントをやったりしていて、ジャンルの壁を取り払いたいという思いもありますから。

坂本　活動の方向性を自分で絞りたくはないですね。

峻洋　いいものはいいというスタンスで。

──いい意味で、皆さんすごく貪欲ですよね。

takao　全員嫉妬深いんですよ（笑）。どんなジャンルの、どんな活動をしているバンドであれ、とにかく「いいバンド」を観るとスゲー悔しくなるから「もっともっと」ってなるんだと思います。