音楽ナタリー Power Push - Fo'xTails

5匹の“キツネ”たちの過去、現在、未来

10時間以上ファミレスで怒鳴り合い

──全員そろって、音を出してみたときの感触はいかがでした?

takao(Vo)

takao 俺はそこで本格的にヤられたんですよね。音を合わせてみて「すげえな!」と思いました。全員うまくて説得力があったから。でも鳴風はたぶん正反対でしょ?

鳴風 うん。「……大丈夫かこれ?」と思った(笑)。

takao みんな、音での自己主張が激しすぎて、バンドとしてはバラバラではあったから。

鳴風 だから「こいつらにはまず『バンドとは何か』から話さないと」って思ったね。

坂本 実はその頃「takaoと鳴風を加えたライブバンドを」っていう構想はあったんですけど、Fo'xTailsの音楽性というか「どういう音楽をやるのか」というイメージがゼロだったんですよ(笑)。

takao それで練習が終わるたびに鳴風が「各パートのソロ回しを減らしたら?」とか「もっとバンドとしてのアンサンブルを考えようぜ」ということを言うようになって。俺も俺で峻洋の後輩っていうのもあって、メンバーに対してちょっと遠慮があったんですけど、それについても「今は先輩とか後輩とか関係なくて同じバンドのメンバーなんだからタメ語でこいよ!」みたいなことを言ってくれて。

──でも、最初の音合わせのとき自己主張が激しかったということは、鳴風さん以外の4人にだって、プレイヤーとしてやってみたいことや自我みたいなものがあったんですよね?

takao だから結成からしばらくはすごいぶつかりましたね。10時間以上ファミレスで話し合いというか、怒鳴り合いみたいなことをしてたこともあった(笑)。

坂本 あれ、お店は迷惑だっただろうね(笑)。

takao でもケンカすることでそれぞれ、ほかのメンバーがどういう考え方をしていて、どういう気持ちでいるのかがわかって。そこでやっとバンドとして1つになれたし、それから明らかにサウンドがよくなったんですよね。

──皆さん、音楽的なバックボーンもバラバラなんですか?

坂本 ですね。で、近付けようともしていないです。それでいいというか。確かにファミレスでの話し合いでお互い理解できるようになったし、仲間にもなれたけど、常にライバルでもありたいので。仲間でもあり、ライバルでもあるというバランスを保とうとしています。

takao バラバラだからこそ尊敬できるところもありますし。

坂本 バラバラっていうのは自分が持っていないものを持っている人がいるっていうことですから。ほかのメンバーに自分が思い付かなかったような意見をもらうこともあるし、知らない新しい音楽を教えてもらうこともよくあります。

ベースのポジションを上げ下げした音楽遍歴

──そのバラバラな音楽的バックボーンを具体的に教えてもらえます?

takao 俺が音楽を始めるきっかけになったバンドはデビューしたてのUVERworld。ミュージックビデオを中学生のときに観て、すごい衝撃を受けて歌を始めて、高校に入ってからバンドを組んで。それからは今もそのとき流行っているロックバンドを意識して聴いてますね。

坂本尭之(B)

坂本 僕も音楽にハマったのはtakaoと同じ年齢の頃なんだけど、世代がかなり違って(笑)。きっかけはhideさん。で、ヴィジュアル系の初期のシーンを作ってきた方たちをよく聴いていましたね。だから最初はギターヒーローになりたくて、ギターを手に取ったんです。

──それがなぜベーシストに?

坂本 地元がいかんせん田舎だったので(笑)。一緒にバンドをやるメンバーがいなくてだんだん1人でもできる音楽、同じギターでもクラシックギターなんかに移っていって。そこからムーディな音楽や大人っぽい音楽というか、いわゆる黒人音楽、ジャズやブルースに惹かれるようにもなり。で、黒人音楽といえば、ということでリズム楽器であるベースをプレイするようになったんです。

──バンドを組めなかったがゆえにベーシストにってのも面白いですね(笑)。当時はどんなアーティストを聴いてました?

坂本 マーカス・ミラーやヴィクター・ウッテン、スタンリー・クラーク、T.M.スティーヴンスとかですね。とにかくファンキーなものが好きで。だから昔はベースを構える位置も高かったんですよ(笑)。でもその後バンドを組むことになるんですけど、それはロックバンドで。それで20歳を過ぎた頃からストラップがだんだん伸び、ベースのポジションも下がってくる、と(笑)。

──なるほど(笑)。テラさんはいかがですか?

テラ 小学生の頃とかにめちゃくちゃ聴いていたのはMr.Children。歌モノが好きな子供だったんですけど、親父がジェフ・ベックとかが好きで、それもいつも家で流れていたので自然と聴いていたし「楽器やってみたい!」と思ったきっかけもそういう曲を聴いてたからです。それで学校では吹奏楽部に入ってパーカッションを始めて、家ではギターを始めたんですけど、バンドではドラマーで呼ばれるのがほとんどで……。

──えっ!?

テラ ありがちな話なんですけどギターをやりたがる人が大勢いたので。それでドラムに回されたり、ベースをやったり、なんならボーカルもやってみたり。あと家にキーボードがあったのでそれで遊んでたりもしました。わりと雑食だったんです。「自分はギタリストだ」っていう意識もあったんですけど、その一方で「面白いものはほかにもあるよな」とも思っていた感じ。だからギターだけなくプログラミングもやれている今のポジションは落ち着きますね(笑)。

Fo'xTails presents「キツネ祭り」

2015年8月14日(金)東京都 渋谷 RUIDO K2

Fo'xTails(フォックステイルズ)
Fo'xTails

2013年結成のロックバンド。バンドReyのメンバーだった坂本尭之(B)、テラ(G, Programing)、峻洋(Dr)にtakao(Vo)、鳴風(G)が合流し、首都圏を中心にライブ活動を開始する。ポップなメロディ、ラウドロック由来のエモーショナルなサウンド、テクニカルなプレイで注目を集め、2015年2月、テレビアニメ「黒子のバスケ」第3期エンディング主題歌「GLITTER DAYS」でメジャーデビュー。そして同年7月、テレビアニメ「純情ロマンチカ3」のオープニング主題歌「Innocent Graffiti」をリリースした。