FOMAREが6曲入りCD「目を閉じれば」を7月1日にリリースする。
2019年6月にキノシタタクヤ(Dr)が脱退し、以降サポートドラマーを務めていたオグラユウタが、同年11月に行われた東京・新木場STUDIO COAST公演をもって正式加入。1stフルアルバム「FORCE」から約1年ぶりに発売される「目を閉じれば」はFOMAREにとって新体制初のCD作品となる。本作には新木場STUDIO COAST公演で初披露された「REMEMBER」をはじめ、すベて新曲の計6曲を収録。付属のDVDには新木場STUDIO COAST公演のライブ映像、メンバーによるオーディオコメンタリー、ドキュメント映像が収められる。
音楽ナタリーでは、FOMAREに初のメンバー全員インタビューを実施。オグラ加入の経緯やFOMAREのワンマンライブとして過去最大規模となった新木場STUDIO COAST公演を振り返ってもらいながら、「目を閉じれば」に込めた思いを聞いた。
取材・文 / 酒匂里奈 撮影 / 山川哲矢
柿ピーさんが加入してから笑顔が増えた
──新体制初のインタビューということで、まずは“柿ピー”ことオグラユウタ(Dr, Cho)さん加入の経緯を聞かせてください。
オグラユウタ(Dr, Cho) 僕は2人より年齢が2歳上なんですけど、地元が一緒で、群馬県高崎のライブハウスで出会いました。お互い前に組んでいたバンド同士で対バンもしたことをあって、そのときからのつながりですね。
カマタリョウガ(G, Cho) 出会った当時の印象は、めっちゃドラムがうまい先輩って感じでした。
アマダシンスケ(B, Vo) 群馬の高校生バンドの中でも、柿ピーさんが所属していたバンドは、「うまい、カッコいい。特にドラムがヤバい」って評判で。偉大な人だったよね。
カマタ 今も偉大だよ(笑)。
アマダ 今も偉大なんですけど(笑)。出会ったあの日からずっと偉大。
カマタ 出会いはそんな感じでしたね。それで去年の6月にFOMAREからドラマーが抜けることになって、「FORCE TOUR 2019」(2019年6月から11月にかけて行われたFOMARE初の47都道府県ツアー)も控えてるし、とりあえずサポートドラマーを見つけなきゃってなって。ベッドの上で寝転びながら「誰かいないかなー」と考えてたら「あっ柿ピーさんがいる!」と思い当たって速攻電話しました。
オグラ 電話がかかってきたのは深夜1時くらいだったかな。そのとき僕は高崎で一人暮らしをしていて。就活中だったんですけど、ドラマーとして食べていきたいという思いが根っこにあったから、話を聞いてうれしくて、電話を切ったあと部屋をぐるぐる回ってましたね。なんかもうソワソワしちゃいました。実はそれ以前にも、FOMAREのサポートをやっていた時期があったんですけど。
アマダ 3年くらい前にね。そのときは約3カ月間サポートしてもらいました。一緒に「2016」という曲も作ったし、柿ピーさんが前に所属してたバンドとFOMAREで一緒にツアーを回ったこともありました。
──ちなみに“柿ピー”というニックネームの由来は?
オグラ 中学生のとき、mixiのハンドルネームを柿ピーにしてたんですよ。
アマダ なんで?
オグラ そこにあったから。それだけなんですけど(笑)。自分の名前を出すのが恥ずかしいという気持ちがあって、それをいまだにズルズルニックネームとして引きずっている感じですね。
カマタ そうなんだ。俺、柿ピーさんが加入してから思ったことがあって。バンドの雰囲気がめっちゃ変わった。
アマダ 確かに。こういう取材のときにも笑顔が増えたね。
オグラ 自分自身はあまり撮影とかは得意じゃないんですけど……。
アマダ その様子を見てるのがまた新鮮だよね。
カマタ うん。楽しい。
オグラ じゃあよかったっす(笑)。
3人の音楽ルーツ
──FOMAREの音楽ルーツはメロディックパンクが軸になっているように感じますが、先日オンエアされたJ-WAVE「THE KINGS PLACE」では、機材車でSMAPやいきものがかりの曲をかけることもあると話していましたね。
アマダ 俺らが小中学生の頃って、J-POPのアーティストが流行っていたからね。
カマタ EXILEとかね。
アマダ そうそう、あと西野カナさんとか。西野カナさんの曲を聴きながら「こういう曲作ろう!」って話してたこともあるんですよ。まあ具体的に形になった曲はないんですけど……ライブのSEで流したこともあるよね。
カマタ あったあった。small indies table所属になる前のことなんですけど、西野カナさんの曲でステージに入って、めっちゃスベりました。でも「スベっても大丈夫」みたいなスタンスになったというか、メンタルが鍛えられましたね。
オグラ 僕自身のルーツ的なところでいうと、メロディックパンクが軸になってます。群馬にGUNMA SUNBURSTという、毎週毎週メロディックパンクバンドが出演する箱があって。高校生のときにそこに出演させてもらうことが多かった。
カマタ SUNBURST、どんなジャンルのバンドをやっていてもメロディックパンクバンドと対バンさせてくれてたよね。
アマダ でも柿ピーさんは、残響系を極めてるイメージもありました。9mm Parabellum Bulletみたいな。
オグラ 確かに自分も好きだったし、あの頃はそういう音楽もやってましたね。
泣けるドキュメント映像
──昨年11月に東京・新木場STUDIO COASTで行われた「FORCE TOUR 2019」のファイナル公演についても聞かせてください(参照:FOMARE念願新木場COASTで47都道府県ツアーに幕、“柿ピー”正式加入)。新木場STUDIO COASTはFOMAREのワンマンライブとしては過去最大規模の会場でしたがいかがでしたか?
アマダ 特効がすごかったです。演出をどうするかは、1年くらい前からメンバーやスタッフと話していて。
カマタ うん。ジャパンミュージックシステムの鈴木(健太郎)さんに、「とにかくド派手にしてください」ってお願いしました。
アマダ 事前に鈴木さんに「『風』の演奏のとき、火が出るから」とは聞いてたんですけど、リハで実際に見たらびっくりしちゃって。「マジの火じゃないすか! こんなに火出るんですか!?」って。2階席の後ろまで暑かったって聞きました。
オグラ プロレスのファイヤーデスマッチより火が出てたと思う。「火いきまーす!」ってリハがあって面白かったよね。
カマタ 本番で果敢にダイブしてくるお客さんもいて。「すげーな!」と思いました。
アマダ 本編最後の「秋の夜」のときとか、やたら会場の温度高かったよね。
──新木場STUDIO COAST公演と同日に、渋谷駅構内で“#FOMAREの実験”と題したゲリラプロジェクトも実施されました。渋谷駅構内のポスターに貼付された1000枚の“手紙”のうち、1枚のみFOMAREの新曲「REMEMBER」をダウンロードすることができるQRコードが記載されているという企画でした。
アマダ 音源を手にした人はSNSにアップしてもいいという企画だったんですけど、特にアップされることはなくて。ちょっと悲しかったです。
オグラ 幻の音源だよね。
アマダ 聴いてくれたのかな?
オグラ いやー、聴かれてない気がするな。
アマダ 気になる。新木場STUDIO COAST公演が終わってから、俺らも写真を取りに渋谷駅に行ったんですけど、そのときにはもう“手紙”は全部なかったです。だから新曲をお披露目する機会は、この前の「THE KINGS PLACE」で「目を閉じれば」をかけてもらったのが1年ぶりくらいでした。
カマタ SNSで「目を閉じれば」に対してのお客さんの反応を見られて安心しました。しばらくライブもしてないので、「お客さんって俺らのことをどう思っていたんだっけ?」と思っていたから、ひさびさに反応をもらえてうれしかった。
──「目を閉じれば」の付属DVDには、新木場STUDIO COAST公演のライブ映像が収録されるほか、オーディオコメンタリーや47都道府県ツアーのドキュメント映像も収められます。
アマダ DVDのオススメの見方としては、一旦ライブ映像を普通に観ていただいて、そのあとに副音声で観ること。楽曲にまつわるツアー中のエピソードとかを語っているのでチェックしてほしいですね。
オグラ ドキュメント映像を観てもらうと、どういう経緯で自分がサポートドラマーになったかわかるし、もう1人ジョージっていうサポートドラマーがいた中で、なんで自分が正式メンバーになったかもわかると思います。あと途中でメンバーが喧嘩するシーンもあるし、いろいろあったけどファイナルで……みたいな激アツポイントも用意されているのでぜひ観てほしいですね。
カマタ 俺、もう50回くらい観てる。自分たちのドキュメント、泣けるんですよ。毎回泣いてます。
アマダ わかる、泣けるよね。
オグラ 観ながらお酒飲めます。
アマダ 飲むと余計涙出てきちゃうね。
カマタ バンドとしてこんなに長くドキュメント映像を撮ってもらったのは初めてで。ずっとツアーについて回ってインタビューしてくれた人がいて、実はその人のことが最初はあまり好きじゃなかったんです。でも最終的にはめっちゃ好きになって。それくらいずっと密着して撮ってもらいました。
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わかりあって臨んだ楽曲制作