ナタリー PowerPush - フラワーカンパニーズ
フラカン×伊集院光、初の対談
お客さんの「良かった。また来よう」に勝るものはない
伊集院 僕は「こんなに面白いのに心がざわめくのはなぜだろう?」とか「この人のギャグにはどこか血の匂いがする」とか。そういうモノを常に欲してるんですよね。関東の人間っていうのもあると思うんですけどね。古典落語にしても、ギャグの多い関西の落語に比べて笑うだけじゃないから。
鈴木 それって、“照れ”もありますか?
伊集院 照れもあると思う。「このドラマ、泣けますよ」っていうのには泣けないんだけど、「天才バカボン」の中のイイ話にはワンワン泣けるっていう。
──そういう手触りがフラワーカンパニーズの歌の中にも存在している、と。
マエカワ 鋭いですよね。
伊集院 でも、もっと鋭いのは聴いている人たち、ライブを観てる人たちですよ。「また来ようと思った」っていう判断が、ビックリするほど正しかったりしますからね。俺たちは理屈にする商売だからこうやって喋ってますけど、お客さんの「良かった。また来よう」に勝るものはないですから。ラジオで言えば、「次も聴こう」ってことですよね。
鈴木 ホントにそうですよね。あの、ちょっと話が変わっちゃうかもしれないけど、ラジオの生放送をやってる人のテンションの高さって、すごいじゃないですか。伊集院さんもテレビとラジオでは全然イメージが違ってて。
伊集院 はい。
鈴木 たとえば「芸能人雑学王」だと、太田さんが暴走していて、伊集院さんはストッパーですよね。好奇心が旺盛で、いろんな知識があって、しかもクールな印象もあって。でも、ラジオだと暴走しまくってるじゃないですか。最初はビックリしましたよ。こんなに熱量が高い人だったんだ!って。
伊集院 ラジオが終わったあと、グッタリしたり、ガタガタ震えながら帰ったりもしますけどね。自分の発した毒にやられて。ライブでもそうでしょ? レコーディングでは絶対に行かないようなところまで行ったりしません?
マエカワ うん、ありますね。
伊集院 そこで失敗しちゃったらたまらないけど、成功したときの快感もすごいっていう。
マエカワ 次の朝まで残ってたりしますからね、それが。朝起きて、「なんか気分いいな。どうしてかな」って思ったら、「あ、昨日のライブのせいだ」って。
伊集院 お客さんが乗ってくれたら、もっと増幅するしね。
マエカワ そう、自分らが思っている以上のことができるような気になって。だからライブがやめられないんですけどね。
伊集院 わかります。ラジオの僕のようにひどい暴言吐いて笑いを取る人だって、普段はそんなに悪い人間じゃないんですよ。ただ、リスナーとのコール&レスポンスもあって、自分の中のバケモノが出てきて、どんどんはじけちゃう。で、帰り道で「あんな言い方はないよな」って。ライブでも似たようなことないですか? 過呼吸になっちゃったり、その日やりすぎて、次の日は全く声が出なかったり。
鈴木 ありますよ、もちろん。ライブの本編が終わって、楽屋でいきなりゲロったり(笑)。
マエカワ やってますね。
鈴木 お客さんは「ワーッ!」ってなってるのに、俺だけ苦しい思いしてるっていう。これはなんなんだ?って。
- ニューアルバム「ハッピーエンド」 / 2012年10月3日発売 / Sony Music Associated Records
- ニューアルバム「ハッピーエンド」
- ニューアルバム「ハッピーエンド」初回限定盤 [CD+DVD] 3300円 / AICL-2435~36
- ニューアルバム「ハッピーエンド」通常盤 [CD] 3059円 / AICL-2437
CD収録曲
- また明日
- ロックンロール
- エンドロール
- 旅待ち
- 人生 GOES ON
- SO LIFE
- 夏のにおい
- なれのはて
- 246
- ひとつだけ
- 煮込んでロック
- 宛てのない歌
- 天使
DVD収録内容
- エンドロール(Music Clip)
- 新曲リハーサル映像~2012.07.30 at 梅ヶ丘 Rinky Dink Studio~
フラワーカンパニーズ
1989年4月23日に鈴木圭介(Vo)、グレートマエカワ(B)、竹安堅一(G)、ミスター小西(Dr)の4人により名古屋で結成されたロックバンド。地元・名古屋を拠点とした精力的なライブ活動を経て、1994年に上京。1995年にアルバム「フラカンのフェイクでいこう」でメジャーデビューを果たす。以後、2000年までに6枚のフルアルバム、1枚のミニアルバム、12枚のシングルを発表。しかし、翌2001年にメジャーレーベルを離れ、活動の場をインディーズに移す。その後も「発熱の男」「東京タワー」「世田谷夜明け前」「脳内百景」といった名作を連発。特に2004年に発表されたシングル「深夜高速」は、ファンのみならず多くのロックファンから愛され続けている。2008年11月、7年8カ月ぶりにメジャー復帰。バンド結成20周年を迎えた2009年には「深夜高速」をさまざまなアーティストがカバーしたコンピレーションアルバム「深夜高速 -生きててよかったの集い-」のリリースや、11年ぶりの日比谷野外大音楽堂ワンマンライブなどで注目を集めた。2010年1月には結成20周年を記念した初のオールタイムベストアルバム「フラカン入門」を発表。同年3月発売のシングル「元少年の歌」は、初の映画主題歌(「誘拐ラプソディー」)に起用され話題となった。2012年10月3日、約2年ぶりのオリジナルアルバム「ハッピーエンド」をリリースしたばかり。
伊集院光(いじゅういんひかる)
1967年11月7日生まれ、東京都出身のタレント。1984年に落語家としてデビューし、1990年よりタレントに転身して活動する。1991年3月よりニッポン放送「伊集院光のOh!デカナイト」のパーソナリティを務め、若者を中心に急速に支持を拡大する。1995年10月からはTBSラジオのレギュラー番組「深夜の馬鹿力」がスタート。放送開始から17年の歴史を持つ人気長寿番組となっている。このほか数々のバラエティ番組やテレビドラマ、映画などでも活躍。テレビのクイズ番組では雑学王としての一面も披露している。