新曲「Missing」に込めた思い

──「Missing」は4年前に作った曲ということですが、どのようにして生まれたんですか？

内澤　andropを結成したての頃に、僕に歌というものを教えてくれたボイトレの先生がいたんですが、その方が病気で亡くなってしまったんです。その方は僕にとって家族のような方だったのですごくつらくて、当時の感情をそのまま吐き出したのがこの曲です。悲しみにくれる中で、人が苦悩するというのは息をするくらい自然なことで、それを乗り越えることが人間として成長することなんじゃないかと感じたんですね。その思いを歌詞にしました。

──どうしてこのタイミングでの発表なんでしょう？

内澤　映画「ルームメイト」の主題歌に選んでいただいたのがきっかけです。僕の中でずっと封印していたんですけど、ひさしぶりに歌ってみて、今なら聴いてくれる人にちゃんと届けられるんじゃないかと思ったんです。

──そう思えるようになったのはなぜ？

内澤　今年の3月に開催したホールツアーの影響が大きいと思います。自分たちがこのステージにいるのは聴いてくれるみんながいるからだと実感できて「Voice」という曲を作ったんです。「Voice」はそれまでのandropにはない新しいタイプの曲だったんですけど、その曲もみんなと共有することができたことでさらに聴き手のことを信頼できるようになって。だから今回も4年間封印していた僕のパーソナルな曲でも受け止めてくれるんじゃないかって思えたんです。

──伊藤さんは「Missing」をどう捉えていますか？

伊藤　これまでのandropは内澤くん自身が「楽曲は聴いた人に自由に解釈してほしい」っていうスタンスだったこともあって、歌詞に込めた思いをあまり深いところまでは共有していなかったんです。でも今回はメンバーみんなで内澤くんの思いも聞いたし、理解した上で発信していこうっていう話をしています。この作品を通してバンドとしてさらに強くなれるんじゃないかと思っています。

全国ツアーと初のアリーナ公演

──今まさに全国ツアー「one-man live tour "angstrom 0.6 pm"」の最中ですよね。Zepp Nagoyaの2DAYSを含む3公演を残すのみとなりました。

内澤　今回は“肉体的にも精神的にも1人ひとりと近いライブ”というのをテーマにしています。今までにない密接した距離で音楽を体感してほしいし、共有したいですね。

──そして来年3月にはandropにとって最大規模となる東京・国立代々木競技場第一体育館でのライブが控えています。

内澤　今までにイベントで2回ステージに立たせてもらったんですが、最後列のお客さんに自分たちの音楽を届けることの難しさを痛感したんです。それでも一番後ろの人にまで自分たちの音楽や気持ちを100%受け取って帰ってもらいたいので、そのために何をすべきなのか今から考えて当日に臨みたいですね。

伊藤　僕も命をかけたライブをしないとダメだと感じました。今回のツアーを死ぬ気でやってひと回り成長して、代々木第一体育館でも圧倒的なライブを見せたいです。