宮川愛李×内澤崇仁(androp)|念願のコラボ&対談が実現 20歳の力作をよかったら聴いてください

宮川愛李が1stフルアルバム「Reboot」をリリースした。

宮川は19歳から20歳をまたぐタイミングで「Reboot」を制作。本人のラブコールで内澤崇仁(androp)とのコラボレーションが実現し、テレビアニメ「名探偵コナン」のエンディングテーマである表題曲に加えて収録曲「ぐ」「わすれもの」が完成した。

音楽ナタリーでは「Reboot」の魅力を深堀りするべく、宮川と内澤の対談を実施。レコーディング以来ひさびさの顔合わせとなった2人は、探りさぐりに共通点を見つけながら、「Reboot」の制作過程を通じて見えた互いの音楽性について語り合った。

取材・文 / 秦野邦彦 撮影 / 堀内彩香

みやがわ、うちざわは訂正しない

──宮川さん、ソワソワしていらっしゃいますね。

宮川愛李 内澤さんとちゃんと話すのは初めてなので、なんか緊張します。いいこと言えるだろうか(笑)。

内澤崇仁(Vo, G / androp) なかなかないですもんね。レコーディング以外でお会いすることって。

──最初は共通点を探していく、くらいの感じで大丈夫ですから。

宮川 2人とも血液型がO型ってことしか知らないんですよ。ここからいくつ増えるかな?

──あとは“みやかわ”さん、“うちさわ”さん。お2人とも濁りがちだけど濁らない、とか。

宮川 いいんですか!? それも共通点に入れちゃって(笑)。

内澤 “みやがわ”って言われたとき、修正します?

宮川 公の場では訂正したいですけど、自分から「“かわ”です」と言えたことはないかもしれないです。さほど重要かな?みたいな(笑)。

内澤 僕も言わないです。むしろ電話で予約するとき、あえて「“うちざわ”です」と言ったほうが通るときがあって。

宮川 わかります! 私、美容院に行ったとき、会員カードに名前を書いてもらったら、なぜか“中島”になってて。面白いからそのままにしてるので、その美容院で私はずっと中島なんです。

内澤 ハハハハハ!(笑)

左から宮川愛李、内澤崇仁(Vo, G / androp)。

──宮川さんは昨年12月28日に20歳の誕生日を迎えられたんですよね。

宮川 はい。20歳になりました。

──故郷の式根島では20歳のお祝いで何か特別なことはされるんですか?

宮川 どの島にも独特な慣習があると思われがちなんですけど、生贄に出されるとか、高い場所から飛ばされるとかはないです(笑)。人口600人くらいの島で、成人式も私と同級生もう1人の2人だけで迎える予定だったんですけど、結局コロナの影響もあったので島に帰れず。だから20歳になった実感がなくて。まだ心は10代のままです。

内澤 宮川さん、20歳の誕生日に配信ライブをやられてたじゃないですか? あれを観ながら、「ああ、20歳っていいな」と思いました。

宮川 観ていただいたんですね。私が自由にケーキを作るだけの姿を(笑)。

「宮川愛李〜20th Birthday〜LINE LIVE」より。

内澤 「20歳になりたくないよー!」と言いながら、なぜか宮川さんがケーキを作って、ろうそく挿して(笑)。直前にレコーディングした「Reboot」が10代最後の歌だったんだな、と思いながら観てました。

宮川 そう考えると感慨深いですし、ドキドキしちゃいますね。当日その配信が終わったあとミックスの現場にお邪魔したんですけど、内澤さんにもお祝いしていただいて。ありがとうございました。

──去年はコロナ禍で世界的に大変な1年でしたが、どんなことを思われました?

宮川 4月以降のイベントがほぼ全部中止になったり、延期を続けた結果中止になったイベントもありました。「やるのかな。やらないのかな」っていうドキドキ感もありましたし、自分自身の活動についての不安もあって、けっこう疲弊した1年でしたね。企画していたライブも結局オンラインという形で実施することになって。ライブを届けられたのはよかったんですけど、やっぱり新曲を皆さんの前で直接歌唱できてないので、ちょっともどかしい気持ちはありましたね。

内澤 僕もまったく一緒です。andropのツアーがなくなったり、発表してないけど結局白紙になったこともあったり、もどかしい年だったんですけど、逆に気付けたこともたくさんあって。ライブに行きたくても来られない人に配信だったら観てもらえる機会があるんだなということも知れて、いろいろ学びの年ではありましたね。

ムズムズする思春期の日記帳

──ステイホーム中、何か始めたことはありますか?

宮川 私、暇なときに家にずっといると逆に具合が悪くなっちゃうタイプで、自粛が始まる前は必ず1日1回は外に出ないと息苦しかったんです。なので、いざ家にいてくださいタイムが始まったら……。

内澤 具合悪くなっちゃったんですか?

宮川 はい(笑)。なのでステイホーム期間は「この時間、何しよう?」と考えているうちに過ぎましたね。それから個人的に自分の音楽にもっと深く関わりたいなと思って、ギターの練習だったり、楽曲制作を勉強したりしてました。それが形になるかって言われたらまだまだなんですけど、気持ち的には今回、内澤さんとの楽曲制作にもつながるいい時間を送れたんじゃないかなと思います。

内澤 今ギターを練習されてるんですね。

宮川 そうなんです。具合悪かったんで(笑)。

内澤 「このままじゃ具合悪くなるぞ!」ってギター買いに行ったんですか?

宮川愛李

宮川 そうだったらちょっと面白かったんですけど(笑)。デビューするとき、お祝いにギターをいただきまして。ただ、そのときは目の前のことでいっぱいだったので、まったく触れてなかったんです。それから1年経って、少しずつ自分のやりたい音楽が見えてきたり、意見をどんどん言えるようになったりしたので、もう少し自分の音楽に深く関わっていきたいなという思いで手に取りました。

内澤 いいきっかけになったんですね。よかったです。具合が悪くならなくて。

宮川 家に1人でいると「友人からの連絡も何もない!」って、ステイホーム中はちょっと塞いでました。真っ白なスケジュール帳を見て虚しくなっちゃって(笑)。いつもだったらラジオのお話をいただいたり、イベントがあったりするのに、4月から夏までの数カ月間は本当に何もなくて。仕事も友人関係も充実してなさすぎて、悲しくなっちゃって具合悪かったんです。人と関われないストレスで。

内澤 溜まっているものを歌詞として書き留めておくことはないんですか?

宮川 ありました! 実は日頃からやってまして。これはちょっと秘密なんで見せられないんですけど、音楽活動を始める前から日記みたいなものを付けてまして。ふと浮かんだフレーズを書いたり、今見返してみると謎な文章がたまにあるんです。

内澤 何をもってこの文章を書いたんだろう、みたいな?

宮川 そうです。その日記帳、今も家にあるんですけど、恋についていっぱい書いてあるので絶対見せられない(笑)。思春期です。ムズムズしてきた。

内澤 甘酸っぱそうですね。でも、そのときしか出せない言葉がきっとあると思うので。

宮川 大事に保管してます。その頃は音楽に携わる機会をもらえるなんて想像してなかったので余計に謎が深まったんですけど。昔から何か思いついたことを書き留めたり、言葉にするのが好きなのかなと考えてました。

内澤 じゃあ、ステイホーム中に考えたことが「Reboot」の歌詞にも反映されてるんですね。

宮川 はい。行き詰まると、何かヒントがないかメモ帳を見て「これいいじゃん!」とつまんでました。

妹子時代から認知

──アルバムのタイトルにもなった「Reboot」はどういういきさつで一緒に作ることになったんですか?

宮川 内澤さんが楽曲提供されていたAimerさんの「カタオモイ」が大好きで、デビューする前に兄(宮川大聖)のライブにゲストで出たとき、歌わせていただいたんです。内澤さんが作る楽曲の世界観にものすごく思い入れがあって、その後のライブでもandropさんの「Hikari」をカバーさせていただいて。なので今回ぜひ一緒に制作をしていただきたいと、こちらからお願いをしました。

内澤 お話をいただけてありがたかったです。もちろん宮川さんのことは、デビュー前の“妹子”名義の頃から存じておりましたので。

宮川 ホントですか!? いやいやいや! どこで私を? まさかそんな時期から知られていたとは……恥ずかしい。私、ちょっと耳塞いでていいですか(笑)。

内澤崇仁(Vo, G / androp)

内澤 あとは昨年andropのライブがなくなったことで、制作のスケジュールが取れたことも大きかったです。よくメロディだけ作ってほしいという依頼があるんですけど、最後まで責任が取れない形で関わらせていただくのはよくないと思ってお断りすることが多くて。宮川さんとはすごく面白いことができそうだなと思っていたので、ぜひやらせていただきたいですとお話ししました。

──「Reboot」はこれまで宮川さんが歌ってこられた楽曲とはひと味違うギターロックですね。

宮川 今回、1stシングル「Sissy Sky」に続いて、再び「名探偵コナン」のエンディングテーマを歌わせていただくことになりまして。内澤さんからいただいた曲に、コナンのイメージを当てはめながら歌詞を付けさせてもらいました。ちょうどアルバムの制作タイミングで、私が理想とするアーティスト像について考え始めていたので、新たなことに挑戦しようとギターロックを歌って、内澤さんとご一緒させていただいて。私の第一印象がだいぶ変わるアルバムになったかなと思います。20歳を迎えて最初に出すアルバムなので、かなり気合いを入れて取り組みました。

内澤 「Reboot」のタイトルを決めるとき、それがアルバムのタイトルになるかもしれないとスタッフに言われて悩んでましたよね。頭を抱える宮川さんを、僕らは冷やかしてた(笑)。

宮川 結局その日は決まらなかったんですよね。内澤さんたちがふざけた名前を提案してくるから集中が途切れちゃって「もうわかんない、わかんない!」と言いながら帰って。別日に会社の一室に閉じ込められてスタッフさんから「今日決めてください」と言われて、決めるまで出られませんでした(笑)。

内澤 そうだったんですね。

宮川 そのときすでに3つぐらいまで案は絞っていたんですけど、この先につながるタイトルってなんだろうと考えた結果、最後に浮かんできたのが「Reboot」だったんです。

次のページ »
緊張のあまりエゴサ