Eveの2年8カ月ぶりアルバム「Under Blue」を5つのキーワードで紐解く (3/3)

「花嵐」のアンサーソング

──「ライブ」もアルバムのキーワードの1つだと思います。ここ最近はライブも精力的にやってきたと思うんですが、それは自分の音楽のあり方に影響を与えたと思いますか?

「虎狼来」と「花嵐」は、ライブも含めた活動から生まれてきた曲だという感覚がありますね。「花星」という曲もそうです。「花星」はライブの「花嵐」が終わったあとにできた曲で、「花嵐」というライブをしたことに対するアンサーソングにもなったように感じています。

──ステージで見た風景や感じたことがモチーフになった。

そうですね。アリーナ規模の大きな場所で、たくさんの人の前でライブをやったけど、結局やっぱり、「音楽は僕と“あなた”との関係性の中で存在していたい」という。ライブに来てくれた皆さんと次いつ会えるかわからないですし、その日のライブ自体はもう二度とない特別なものじゃないですか。「花嵐」を経て自分が感じたことを書いた曲が「花星」だったので。

──「花星」には「青く光る君は優しい花のよう」という歌詞もありますね。

これは“僕”と“あなた”という2人だけしか登場人物がいないような、聴き手との距離感が近い歌でもありながら、音楽的にはすごく壮大なものにしたいと思いながら作っていました。そのバランスを大事に考えていましたね。

Eve

Eveのクリスマスの思い出は

──「クリスマス」というキーワードも浮かびました。「白雪」と「逃避行」はどちらもクリスマスシーズンに配信リリースされた曲です。この2つの曲だけでなく、Eveさんの活動を振り返ってもクリスマスは大事な時期ですよね。

自分の名前が名前なので、クリスマスイブの日は毎年企画をやらせてもらうことが多くて。別に誕生日でもないのに、クリスマスイブに「おめでとうございます」と祝ってもらえることもあるという。「白雪」は2022年12月23日、「逃避行」は去年のイブの日にMVを公開したんですけど、「白雪」はすごくクリスマスらしい、キラキラした冬を感じさせるような曲なんですよ。これをリリースしたときに、「来年はもっと地に足のついた現実的な曲を書きたい」という思いがあったので、「逃避行」のような現実感のある曲が出せたのはよかったですね。すべてを捨てて逃げ出したい、がんばっているのに誰からも認めてもらえず自分の居場所が見つからない──そんな日があったっていいじゃない、たまには現実逃避しようぜという思いを込めた曲が「逃避行」なんです。自分のクリスマスの思い出と言えば、「バイトしてたな」「家で1人で過ごしてたな」「ゲームしてたな」みたいな感じです。

──キラキラしたイメージと、その一方で地に足のついた現実味のある感覚との対比というのは、このアルバムのいろんなところに出てきているものかもしれないですね。

そうですね。クリスマスシーズンになると、ツリーに白とか青とか赤とかの装飾が付いて、キラキラしていて。そのクリスマスの木を見てハッピーに感じる人もいると思うんですけど、人によっては同じものを見て逆の気持ちになる人もいるんじゃないかなとは思いますし。

ひさしぶりのアルバムツアーに向けて

──今年のライブについても聞かせてください。まず5月から8月まで初のアジアツアー「Eve Asia Tour 2024『Culture』」が開催されましたが、振り返ってみてどうですか?

すごく楽しかったですね。いろんなところを回らせてもらったんですけど、それぞれの土地の文化というか、ライブ1つにしても空気の違いがけっこうあって。サビだけじゃなくてずっと皆さんが歌っていたようなライブもあれば、アンコールのときにプラカードみたいなものをお客さんが掲げていたライブもあって。日本にない文化を感じることが多かったです。現地の言葉でしゃべったりもしましたけど、日本の言葉を理解してくださってる方もすごく多くて。自分が思ってる以上に向こうの方が歩み寄ってくれているように感じてうれしかったですね。

──求められている実感がたくさんあった。

海外の方に聴いてもらえてるのは知ってたんですけど、実際現地に行くまでは想像しづらかったので。皆さん僕の曲を聴き込まれてるし、歌ってくれるし、熱量の高さにびっくりしました。

──そして来年にはアルバムツアー「Eve Arena Tour 2025『Under Blue』」がスタートします。これはどういうものになりそうでしょうか?

ひさしぶりにアルバムツアーができるなという感じです。この3年ぐらいのライブって、今までの曲の中から好きにセットリストを組んで、どこか集大成的なライブをやらせてもらっていたんです。だから、より「Under Blue」という作品を掘り下げながらライブができたらいいなと思ってますね。ライブのキービジュアルもくっかさんに描き下ろしてもらったんです。ジャケットのイラストは街を下から見上げている構図なんですけど、ライブのビジュアルは見下ろしているもので。来年の7月に始まるので時間は空きますが、その分しっかり準備して、皆さんにお会いできるのを楽しみにお待ちしています。それまでたくさん僕の音楽を聴いていてください。

Eve

公演情報

Eveの日 Under Blue Premium Live

2024年12月24日(火)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)


Eve Arena Tour 2025「Under Blue」

  • 2025年7月12日(土)愛知県 ポートメッセなごや 第3展示館
  • 2025年7月13日(日)愛知県 ポートメッセなごや 第3展示館
  • 2025年7月19日(土)大阪府 大阪城ホール
  • 2025年7月20日(日)大阪府 大阪城ホール
  • 2025年7月26日(土)福岡県 マリンメッセ福岡 B館
  • 2025年7月27日(日)福岡県 マリンメッセ福岡 B館
  • 2025年8月16日(土)宮城県 ゼビオアリーナ仙台
  • 2025年8月17日(日)宮城県 ゼビオアリーナ仙台
  • 2025年8月23日(土)神奈川県 Kアリーナ横浜
  • 2025年8月24日(日)神奈川県 Kアリーナ横浜

プロフィール

Eve(イヴ)

ソロアーティスト。2枚の自主制作アルバムを経て、2016年10月に初の全国流通盤「OFFICIAL NUMBER」をリリース。2020年12月にテレビアニメ「呪術廻戦」第1クールのオープニングテーマ「廻廻奇譚」とアニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」の主題歌「蒼のワルツ」を収録した音源「廻廻奇譚 / 蒼のワルツ」をリリース。2022年2月に自身初のボーカロイドアルバム「Eve Vocaloid 01」を配信した。3月にはオリジナルアルバム「廻人」を発表。同じく3月にはEveをフィーチャーした映画作品「Adam by Eve: A Live in Animation」が劇場およびNetflixにて公開された。2024年5月から8月にかけて初のアジアツアー「Eve Asia Tour 2024『Culture』」を開催し、11月にメジャー4thアルバム「Under Blue」をリリース。2025年7月から8月まで最大規模のアリーナツアー「Eve Arena Tour 2025『Under Blue』」を行う。