悩み多き女性たちの情念を込めた歌詞
──そしてもう1曲は「オリビアを聴きながらを聴きながら」。タイトルのインパクトが強烈ですけど(笑)、まるで1本のドラマを観ているかのような、めちゃくちゃおしゃれで切ないラブソングになっています。
Takassy 絶対にこのタイトルで曲を作ろう、って10年以上温めていたんですよ。学生時代にカラオケで杏里さんの「オリビアを聴きながら」を歌ってる友達の横で、「私は今、『 オリビアを聴きながら』を聴きながら歌本を見ている……ウケる!」と思って(笑)。それが今回ようやく形になりました。最近シティポップがすごくブームになっていて、その中で杏里さんの曲も再評価されているので、サウンド的にはそんなイメージで作っていきましたね。歌詞は昭和のポップスを意識しました。
HIDEKiSM タイトルを見ただけで誰もがクスッとしてくれる時点で「勝った!」みたいな気分になりますけど(笑)、楽曲はものすごくメロウでムーディですからね。そのギャップに驚いてもらえる1曲だと思います。私自身、杏里さんの楽曲が大好きで、「オリビアを聴きながら」もカラオケでは絶対に歌うんですよ。だからこそ原曲の持つイメージやメッセージみたいな部分もちゃんと大事にして向き合わないと、という気持ちはありました。杏里さんの「オリビアを聴きながら」と重なる部分もあるので、そういう部分も含めて皆さんに楽しんでいただけたらうれしいですね。
Takassy うん。杏里さんの曲に対して絶対的なリスペクトがあるので、この曲を聴いたあと、最終的に「オリビアを聴きながら」に戻りたくなるような曲にしようと思いました。自分の中の意志が固まって、相手に別れを切り出すストーリーですけど、その結末までは書き切っていないので、そこらへんはいろいろ想像してみてほしいですね。私たちはYouTubeで悩み相談をよく受けるんですけど、この曲で描かれているようなシチュエーションで悩んでいる人がけっこう多いんですよ。なので、悩み多き女性たちの情念を込めた歌詞にしたので、ぜひ「わかるー」って共感してください(笑)。
「長いからこそのシティポップなのよ!」
──Kamusさんはこの曲に対してどんな印象を受けました?
Kamus サウンドがもうムーディじゃないですか。「こんな雰囲気のラブソングをエンガブが⁉」みたいな感じだったので、これもアレよね。
Takassy 「はじめまして」な(笑)。
Kamus そう! はじめましてでしたー(笑)。今回の2曲はもう私からしたらどっちもはじめまして。「オリビアを聴きながらを聴きながら」には、ちょっと大人なエンガブも詰まっていると思うので、そういう新しさも楽しんでもらいたいですね。
──年齢を重ねていけば、より深みを増した表現が乗せられそうですしね。歌い継がれるべき名曲だと思います。
Takassy 毎回そうなんですけど、若い子には歌えないような歌詞の内容を書こうという意識も強いんですよ。この曲のようなちょっとドロっとした恋愛模様って、10代のアイドルの子が歌っても嘘っぽくなるじゃないですか。今の私たちだからこそ歌えるんだというところは感じてもらいたいですね。「いろいろ苦労してきたんだな、このオカマたちは」って(笑)。そういう意味では、このタイトルを思いついた10年前に曲を作っていたとしたら、たぶんしっくりこなかったんだろうなと思います。今の私たちだからこそ歌えた曲でもあるってことですね。
──情感に満ちたボーカルがサウンドにマッチしています。コーラスも効果的に使われていますよね。
HIDEKiSM こういうメロウな楽曲を歌うのはひさしぶりでしたね。今Takassyが言ったような我々の年代だからこそ表現できる歌を届けるため、レコーディングは椅子に座って、雰囲気を大事にするようにしました。Takassyと私の声が入り乱れているサビのフレーズはぜひ注目して聴いていただきたいところで。私の声のほうが高いので、普段は上のハモりをすることが多いんですけど、この楽曲に関しては上ハモから下ハモへ行き、Takassyと私で主旋律と副旋律が複雑に入り乱れていく流れになっていて。それが主人公の気持ちの乱れみたいな部分を表現できているんじゃないかなと思っています。
Takassy 別れたい気持ちと別れたくない気持ちがクロスしてる感じというか。そこはぜひ聴き込んでもらって、友達とカラオケでハモってほしいところ。
HIDEKiSM ムズいと思うけどー(笑)。
──あと、個人的には尺を長めに取った間奏がいいなと感じました。今の時代的には短くするところなんでしょうけど。
HIDEKiSM わ、すごい。そこに気付いていただけるなんて!
Takassy 実はそこを短くカットしたほうがいいんじゃないかという話がスタッフの中ではあったんですよ。でもウチの事務所の社長が「あれは長いからいいのよ!」「長いからこそのシティポップじゃない!」と言って譲らなくて(笑)。エンディングにしても、今の時代ってフェードアウトがほとんどないじゃないですか。なので、アレンジをしてくれたCarlos K.さんに相談したら、「え? このアレンジでフェードアウト以外に何があるんですか!?」って言われて(笑)。
HIDEKiSM みんなのイメージがしっかり共有できてたってことよね。シティポップが全盛だったあの時代感を出そうっていう。
客席がパーフェクションにサティスファクション
──エンガブは11月に5大都市ツアー「ENVii GABRIELLA LIVE TOUR 2022『Perfection Satisfaction』」の開催が決まっています。意気込みを聞かせてください。
Kamus 今年3月には東名阪ツアーをやらせていただきましたが、今回はさらに2都市増えて。私は地元が青森なので、比較的距離の近い北海道でライブできることがとてもうれしいですね。全然連絡を取っていなかった学生時代の同級生が実は陰ながら応援してくれていたらしく、「ライブ行くね」という連絡をくれたりして。今まで自分たちがやってきたことは間違いじゃなかったんだなという気持ちも改めて強くなっています。エンガブがもっと大きく飛躍するためのきっかけになるような最高のツアーにしたいと思います!
HIDEKiSM 5大都市を回れることが決まったうれしさはありつつ、一方で実はお客さんが集まってくれるのだろうかという不安もあったんですよ。でも各地のチケットの売れ行きはものすごく好調のようで、本当にありがたい気持ちでいっぱいです。とは言え、そこでいいパフォーマンスをお見せしなければ次はないと思っているので、それぞれの会場で皆さんに楽しんでもらえるライブを1本1本しっかり作っていこうと思っています。
──ツアータイトル通り、“完璧”に“満足”できるライブになるわけですよね。
HIDEKiSM そうですね(笑)。
Takassy 客席がパーフェクションにサティスファクションするようにね(笑)。「エンガブの魅力はやっぱりライブだよね」と言ってくれるファンの方がすごく多いんですよ。今回のツアーで初めてエンガブを生で観るという人もきっと多いと思うので、そういう方々を絶対に満足させるライブをしなきゃなと思いますね。ファンの方が言ってくれていることが本当なんだってことをきっちり証明するために、めちゃくちゃ気合いを入れて臨みます。
ツアー情報
ENVii GABRIELLA LIVE TOUR 2022「Perfection Satisfaction」
- 2022年11月3日(木・祝)福岡県 DRUM Be-1(SOLD OUT)
- 2022年11月5日(土)北海道 cube garden(SOLD OUT)
- 2022年11月12日(土)大阪府 BIGCAT
- 2022年11月13日(日)愛知県 THE BOTTOM LINE(SOLD OUT)
- 2022年11月23日(水・祝)東京都 LIQUIDROOM(SOLD OUT)
プロフィール
ENVii GABRIELLA(エンヴィガブリエラ)
Takassy、HIDEKiSM、Kamusの3人による総合エンタテインメントユニット。soul juice名義で作家活動もしていたTakassyを中心に結成され、2017年3年に活動開始。“動画で楽しむ新宿二丁目”をコンセプトにスタートさせたYouTube番組「スナック・ENVii GABRIELLA」が徐々に人気を集め、チャンネル登録者数が19万人を突破する。2018年6月に1stアルバム「Snack ENVII GABRIELLA」、2019年6月に1stシングル「豪華ネェサン」をリリース。2021年3月にベストアルバム「ENGABEST」を発表した。同年10月にキングレコードよりリリースしたデジタルシングル「Moratorium」でメジャーデビュー。さらに11月に「DYSTOPIA」、12月に「CABARET」と3カ月連続でシングルを配信リリースした。2022年3月にメジャー1stミニアルバム「Metaphysica」を発表。10月にシングル「あなたが私を綺麗にする訳じゃないの」を8cm CDと配信でリリースした。
ENVii GABRIELLA | ENGA部 (エンガブ)
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