edda|“扉のむこうがわ”へ誘うファンタジックな歌声

名刺代わりになる「不老不死」

──初の全国流通盤となる「さんかく扉のむこうがわ」には、「半魚人」を含む全5曲が収録されています。

まだまだ濃ゆい曲もあるんですけど、今このタイミングで聴いてほしいなと思う5曲ですね。中でも「不老不死」という曲が自分では一番好きで、eddaを知ってもらうには名刺代わりになる曲だと思って今回リードトラックとして入れました。

──不老不死のまま悠久の時間を過ごす“私”が主人公の歌ですね。歌い出しから「私というバケモノが生まれ落ち」といったハッとさせられる言葉が並んでます。

この曲を作るとき最初にサビの「私のことを ねぇ殺してくれるでしょ」ってワードが出てきたんです。そのワードが出てきたからには、タイトルは「不老不死」以外ありえないなと思って。何回生まれ変わっても同じ人をずっと愛してしまって、その人に殺してくれと付きまとっちゃうようなイメージが浮かびました。周りがみんな死んでいっちゃって、知らない人ばかりになって。すごく孤独だなと思うんですけど、その中でも希望が見えるというか、前を向いてる曲になったらいいなと思って、最終的には光の射すような音にしました。

──これって、ご自身の気持ちが反映されていたりするんですか?

いえ。eddaが、いろんな世界を旅する中でいろんな子たちに会って、話を聞いて、まとめたという感覚で聴いていただければ。殺してほしいとか全然思っていないです。

──それを聞いて安心しました(笑)。リードトラックですから、耳にする機会も多いでしょうし、一聴して刺さる曲だと思います。

「不老不死」はDIRECTIONSという映像制作の方々と一緒にミュージックビデオを作ったんですけど、私にはない解釈が加わって、すごく面白いものができたなと思います。私がこれまで思っていた不老不死って、本当に孤独でどうしようもないかわいそうな子っていう感覚だったんです。でも、ドールファッションモデルの橋本ルルさんに“生きる球体関節人形”として出演してもらったMVでは、みんなからすごく愛される存在として描かれていて。DIRECTIONSの方が愛情を持って映像を作ってくれたことが画面から伝わってきてうれしかったですね。

──そういう映像になったのは、eddaさんの歌声による部分も大きいと思います。

そうだとうれしいです。ここはこういうふうに歌おうとか、こういうテクニックを使おうみたいなことはあまり意識してないんです。レコーディングのときに「ここはもうちょっとこういうふうに歌ってみて」って言われることもあるんですけど、歌詞を書いたのは自分だしそこにどういう気持ちがあるのかがわかっているから思いのままに歌って、あとで聴いてみていろいろ気付くことはありますね。映像が付くと想像していたものとまた違う色が入ってくるので、新しい発見があります。

あれもしたい、これもしたい、好きなこと全部したがる

──ほかの曲についてもお伺いします。3曲目の「エッセンシャルパレード」は、タブラなどの民族楽器を取り入れた楽曲で、歌詞は寓話のような内容ですね。

ええ。「エッセンシャルパレード」と「ベルベット」はもともと曲ができていたものにあとで歌詞を付けた曲なので、私の中では異色の2曲なんです。ほかの3曲はメロディと同時進行で歌詞を書いたので。

──すでにある曲に歌詞を付けていく作業はいかがでした?

自分の中では新しいと言うか、また違う感覚で作ったと言うか。あとで歌詞を付けるにはメロディに沿って改めて、どういう曲なのか考えることが必要で。例えるなら、曲と歌詞を一緒に作る場合は、赤ちゃんを育てる感じで、あとで歌詞を付けるのは「この人どういう人?」って大人になってから過去を調べていくみたいな。すごく難しかったです。でも、あとで歌詞を付けたからか、「エッセンシャルパレード」には今まで自分になかった明るい色が出ましたね。

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──最後の「はちゃめちゃアイランド」はタイトルも含めてインパクトがありました。

女の子が恋をする歌なんですけど、相手の悪魔的な部分を好きになってしまって、真面目な部分の自分と葛藤する姿を歌詞で表現してます。悪魔を宿してるその人がおかしいのか、そんな部分を好きになっちゃうこの子がおかしいのか、聴いている人に問いかけてます。

──eddaさんが歌詞を書くときのコツはありますか?

自分の感情とか思っていることを書けと言われても無理なんですけど、誰かを主人公に見立てて書くのは得意です。主人公がまったく別の世界に行ってしまったほうが書きやすいですね。

──想像で物語を紡ぎ出していく作業なんですね。「さんかく扉のむこうがわ」というアルバムタイトルについても聞かせてください。

これは先にアートワークを描いたんです。私の中ではeddaの活動は、eddaという子が旅先でいろんなお話を集めて曲や絵にしていくイメージなので、それを表現しています。そこからタイトルを考えるときに、自分のいる場所を表したいと思って。ドアってだいたい四角ですけど、そのイメージを変える“さんかく扉”というものが世界のどこかにあって、その向こう側にeddaの作る世界が広がっているという感じです。

──なるほど。ちなみにeddaさんは、イラストを描く以外にも、ダンボールを使ったジオラマなども作成されているそうですね。

もともとガンダムがすごく好きで、ガンプラのジオラマ用の木とかを見て「こういうのがあるんだ。楽しそうだな」と思ったところから立体物を作る楽しさに気が付いたんです。

──歌はもちろん、絵や立体物も織り交ぜた形で作品を発表していくアーティストになりそうですね。

あれもしたい、これもしたい、好きなこと全部したがる人なので(笑)。MV制作もすごく楽しかったので面白いものを作っていけたらと思っていますし、絵もできる限り描いていきたいので、音楽と織り交ぜながらいろんな表現ができれば。eddaというジャンルではないですけど、eddaというだけでその世界観がイメージできるような活動をしていきたいです。

edda
edda「さんかく扉のむこうがわ」
2017年7月19日発売 / Erzahler RECORDS
edda「さんかく扉のむこうがわ」

[CD]
1620円 / PAGE-2

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収録曲
  1. 不老不死
  2. 半魚人
  3. エッセンシャルパレード
  4. ベルベット
  5. はちゃめちゃアイランド
edda(エッダ)
1992年生まれ、福岡県出身の女性シンガーソングライター。音楽塾ヴォイスで作曲や作詞を学び、2017年にeddaとして活動をスタート。2017年5月に福岡限定シングル「半魚人」を発表し、7月に初の全国流通盤となるミニアルバム「さんかく扉のむこうがわ」をリリースした。