小林歌穂、えびちゅうを卒業
──もちろん皆さん、小林さんの思いや覚悟を受け入れたうえで見送ることを決めたと思うんですけど、正式に卒業が発表された今、正直なところ引き止めたいと思っている人はいないですか?
安本 みんな心のどこかで、言ってはいけないワードとして秘めてはいると思うんですけど(笑)、それはもう毎回そうで、やっぱり寂しいものじゃないですか。
真山 それも学校っぽいよね。「同じ大学に行きたいなんて言えない……」みたいな(笑)。
──卒業だけでなく芸能界も引退するというのは、意外というか、残念だなと思いました。年々ボーカリストとしての個性が強くなり、替えのきかない存在になっていたので、えびちゅうからいなくなる寂しさとは別に「このボーカリストがいなくなるのはもったいない」というシンプルな思いもあって。
小林 ありがたいです。でも歌うことは好きなので、一旦は終了しますけど、いつかどんな形かで歌うことは続けられたらいいなという思いはあります。皆さんそう言ってくれるので、ありがたいなという気持ちと……どう言葉にしたらいいんだろうという気持ちが、すっごいモコモコしていて。
中山 モコモコしてるんだ(笑)。
小林 私は人前に出るのがもともと得意ではないし、本当にえびちゅうが好きで活動してきたので、えびちゅう以外で表に出るということが、自分的には興味が向かなくて。
──小林さんがそう決断する気持ちもわかります。実際、芸能人としてのし上がりたい欲求をこんなにも感じない人は、これまで会ったことがないので(笑)。
安本 本当にそう。逸材だよね。11年経っても一切汚れなかった(笑)。
小林 自分でも思います。スレてないなーって(笑)。
──超人世界で生身の人間で戦っているジェロニモを地でいく人だなーと。
真山 あー確かにジェロニモだわー。みんなキョトンとしてるけど、これ「キン肉マン」の話ね(笑)。
安本 わかってないけどとりあえずうなずいてた(笑)。
「私はまだやるべきことがある」
──えびちゅうから小林さんがいなくなることも大きいですけど、カホリココンビがついに解消されるというのも大きいですよね。この数年間で中山さんが1人の人間としてすごく強くなったと感じていたのですが、もしかしたらこの日を見据えてのことだったのかなと。
中山 どうなんだろう? 確かに言われたのはけっこう前で、そのときにメールで「スタッフさんにやめるって伝えてきた」というのがポンと届いて「あっ、ついに決めたんだね」って。私はその瞬間が一番悲しかったです。
──えびちゅうを抜けるという、その気持ちは理解できた?
中山 その前から気持ちを聞いてはいたから、いつ決断するんだろうなと思っていて。だからメールが来たときに……。
小林 「おお」ってなった?
中山 だから恵比寿のサイゼリヤに集まってお話しました。
桜木 サイゼなんだ(笑)。
小林 思い出のサイゼで(笑)。本音混じりつつ冗談混じりつつで「一緒に卒業しようよ!」って言ったときに、ね。「私はまだやるべきことがあるから一緒に卒業はできない」という……。
風見 カッコいい。
真山 名言だ。
小林 パンチラインが出まして。
中山 その前に、加入5年目くらいのときに「卒業するときは一緒にしたいよね」って話してたんですよ。
小林 潔い言葉に「中山さんカッコいいな」って思いました。
中山 自分も「やめるとしたらこのくらいかな」となんとなくイメージしてたけど、実際にその年齢になったときに「まだまだやりたいことがあるな」と思ったんですよ。
──中山さんがそんな発言をしたことにも、時の流れと人間の成長を感じます。最初の頃はどちらかというと消極的な、小林さんや先輩メンバーがそっちに行くなら私も、みたいなタイプだと思っていたので。
安本 ずっと見てきた私たちからすると、すごく莉子ちゃんっぽいなって思う。意思は強い人なんです。言語化が下手なだけで(笑)。
桜木 キャハハハハ!
真山 2人とも意思は強いんですよ。モコモコしてるけど(笑)。
小林歌穂から妹メンへの引き継ぎ
──下級生の5人は小林先輩が卒業すると聞いてどう思いましたか?
仲村 卒業すると正式に聞く前からみんなうすうすとは感じていて、でも本人から言葉にして言われたら本当になっちゃうじゃないですか。だから言われたときは本当に悲しかったです。歌穂ちゃんはムードメーカーで、レッスンのときとかにピリついた空気になると必ず和ませてくれるんですよ。
──えびちゅうが持っている牧歌的なムード……どんなにつらいことがあっても、どこか牧歌的でピースフルなムードがあったのは、小林さんの存在が大きかったと思うんですね。小林さんがいなくなったら、急にシリアスなグループに変わるかもしれない(笑)。
真山 (安本と目を合わせて)ウチらがトンガってるからね(笑)。
安本 誰かに丸めてもらわないと(笑)。
小久保 モコモコしてもらわないと(笑)。
──モコモコ役はこれから誰になるんでしょうね?
真山 えまち(桜井)とかモコモコしてそう。
桜井 私はMCの並び順が歌穂ちゃんとまやさんの間で、最初の頃MCの輪にまったく入れなかったとき、いつも両側のお姉さんたちが輪に入りやすいようにちょっかいをかけたりしてくれていたんですよ。だから今後はMC中に一緒に遊べないんだなと思うと悲しい(笑)。でも私自身も歌穂ちゃんに似てる部分はたくさんあるのかなと思うので、私も歌穂ちゃんみたいに太陽のような存在になれたらいいなって。
──会社員だと退職の際に業務の引き継ぎをしますけど、小林さんの場合はどの業務をどの人に引き継いでいきますか?
小林 それぞれにあると思うんですけど……。
──後輩たち5人には何を引き継ぐのでしょう。桜木さんは?
小林 心菜は繊細なところが私と通じる部分があると思っていて。明るくて陽気なイメージだけど、ほかの人の繊細なところに気付いて救ってくれる子なんです。
──えびちゅうのセンシティブ担当。
桜木 ええ~(笑)。
真山 人の心を読み取る感受性豊かなところは2人に共通しているかもね。
──では小久保さんはどうでしょう?
中山 そもそも2人は似てる気がする。
小林 ある意味、欲がそこまでなさそうな感じは通ずるものがあると思うので、のびのびやったらいいと思います。
安本 芸術肌的なところも似てるかもね。みんながわからない謎のこだわりを持ってる2人だから(笑)。
小久保 それはめちゃめちゃそう(笑)。
──風見さんはどうですか?
小林 和香は彩花ちゃんにも近いものがあると思う。ここ3人(安本、小林、風見)は根が真面目なので、こうなるとこうなっちゃう(下を向いて視野が狭くなるジェスチャー)から。
風見 アハハハハハハ!
真山 わかる。わかるよ(笑)。
安本 集中して「これをやるぞ!」となったら、こうなっちゃうから。
小林 前に90°くらい曲がってゼロ距離になってるのに気付かないときがあって(笑)。それはそれでかわいいなと思うんですけどね。
風見 こうなってる自覚はあって。たまにりかちゃんから指摘されます。
真山 すんごい怖い顔になってるときがある(笑)。そのときは「和香、また般若だよ」って伝えます。
小林 難しいと思うけど、柔軟性を分けてあげたいなって気持ちです。
──桜井さんには先ほどモコモコが引き継がれたので、最後に仲村さん。
小林 悠菜ちゃんは声の特徴は全然違うけど、聴いててハッとする声……そういうと自分のこと褒めてるみたいだけど(笑)。
真山 いいじゃん。
小林 うまい下手とは別の声質とか存在感がこれからもっと出てくるんじゃないかなと思うので、これからハッとする瞬間が増えてくるんだろうなって。
仲村 ありがとうございます……(照れた様子で)。
小林 あははははは。
──ここから先、小林歌穂のいないえびちゅうはどうなっていくと思いますか?
小林 今までだって「この子が抜けて大丈夫か?」と言われる状況でも結果いい感じになってきたし、私はそんなに大きな変化にはならないと思うんですよ。でも妹ちゃんたちはそろそろ覚醒する時期がやってくるんじゃないかなと思うし……そのとき、もしかしたら私は両手にペンライトを持って客席にいるかもしれない(笑)。
──えびちゅうが好きな小林さんとしては、ここから進化したえびちゅうを観たくなる可能性はありますよね。
小林 そうなんですよ。気になっちゃってちょくちょく覗きに行くかもしれない(笑)。えびちゅうファミリーとしてここからどうなっていくのか楽しみです。
──卒業公演までの約3カ月には、小林さんプロデュースの「私のわがままを聴いておくれミニツアー」や毎年恒例の生誕ソロライブ「ぽーランド」(参照:エビ中小林歌穂23歳の誕生日にスナック開店、「また個展を」未来への展望も)、3回目の個展「くらしのこばやし」とさまざまな小林祭りが控えてます。さんざんライブをやった結果「うわー、やっぱ辞めるのヤだな」と言い出す可能性もありますけど。
小林 あるかもしれない。卒業公演で「やっぱ抜けるのやめます」って。
──引き止められるんじゃなくて、本人が泣きすがるという(笑)。
安本 歴史に残るねそれは(笑)。
真山 それもありじゃない?
公演情報
私立恵比寿中学「小林歌穂プロデュース公演~私のわがままを聴いておくれミニツアー~」
- 2025年5月5日(月・祝)大阪府 NHK大阪ホール
- 2025年5月11日(日)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール
- 2025年5月18日(日)東京都 Kanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)
<出演者>
小林歌穂 / 真山りか / 安本彩花 / 中山莉子 / 桜木心菜 / 小久保柚乃 / 風見和香 / 桜井えま / 仲村悠菜
小林歌穂生誕ソロライブ「ぽーランド10!!!!!!!!!!」
2025年6月12日(木)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)
私立恵比寿中学 小林歌穂 卒業式「ぽ~EVER ー消えない落書きー」
2025年6月28日(土)千葉県 幕張メッセ 幕張イベントホール
私立恵比寿中学 新体制ライブ「GOLDEN EIGHT ―new again―」
2025年6月29日(日)千葉県 幕張メッセ 幕張イベントホール
プロフィール
私立恵比寿中学(シリツエビスチュウガク)
2009年夏に結成された、スターダストプロモーションのアイドルセクション・スターダストプラネットに所属するアイドルグループ。2012年5月にシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビュー。“転校”(脱退)と“転入”(加入)を繰り返し、2018年1月に真山りか、安本彩花、星名美怜、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子の6人体制となる。“開校”10周年を迎えた2019年は、3月に5枚目のアルバム「MUSiC」、6月にメジャー通算13枚目のシングル「トレンディガール」、12月には6枚目のアルバム「playlist」をリリースした。2020年10月より安本が悪性リンパ腫の治療のため休養するが、翌2021年4月に寛解を発表し活動を再開。また同年1月からは7年ぶりの新メンバーを募集するオーディションが行われ、5月に桜木心菜、小久保柚乃、風見和香が新メンバーとして転入。さらに2022年、「未確認中学生X」をコンセプトにしたオーディションを経て10月に桜井えま、仲村悠菜の2名が加わった。2024年夏にデビュー15周年を迎え、2025年3月20日に埼玉・さいたまスーパーアリーナでワンマンライブ「私立恵比寿中学 15th Anniversary 大学芸会2025~LOVE&BRAVE~」を開催。前日にメジャー通算15枚目となるシングル「SCHOOL DAYS」をリリースした。6月28日に千葉・幕張イベントホールで開催されるワンマンライブ「私立恵比寿中学 小林歌穂 卒業式『ぽ~EVER ー消えない落書きー』」をもって小林歌穂がグループを卒業。翌29日に同会場で新体制での初ワンマンライブを行う。
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