音楽ナタリー Power Push - 私立恵比寿中学
アナーキー中学生の新年度
私立恵比寿中学の3rdアルバム「穴空」が完成した。「穴空」と書いて「アナーキー」と読む本作には、これまで以上に常識のタガを外した、歌ありコントありの16トラックが収録されている。アルバム発売直後には全国ツアーも控え、華々しい新年度のスタートとなった彼女たち。今回のインタビューではアルバム「穴空」の話題を軸に、エビ中の変化を探った。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 小原泰広
ピンチはチャンスですよ
──まずは3rdアルバム「穴空」完成までの流れを振り返ってみましょう。2015年1月に2ndアルバム「金八」が発売され(参照:私立恵比寿中学「金八」インタビュー)、その後アルバムを携えたツアーを回り(参照:エビ中と吟遊詩人の旅、チャランポ中学乱入と感動サプライズで大団円)、夏には恒例の野外ライブ「ファミえん」(参照:エビ中「ファミえん」、新潟の国立公園で9000人と水浸し)、12月にはこれも恒例の“大学芸会”(参照:あの未確認中学生が帰ってきた!エビ中、2年ぶりのSSA大学芸会)がありました。「穴空」については大学芸会のステージ上で発表されましたね。
星名美怜 大学芸会が終わったときに「金八」が完成した、と思いました。2015年は「金八」の年で、1年かけて完成したなって。次へとつながる感じが……何かはわからないけど、なんとなくつかめたような気がします。
──ただ、その直後に柏木さんが突発性難聴で活動を休むことになり、アルバム発売が2月の予定から4月に延期になるという予定外なことも起きて。エビ中としてはちょっとピンチを感じたんじゃないかと。
真山りか ピンチはチャンスですよ。私たちはアイドルとして、ありがたいことに何枚もCDを出させていただいて、これってすごいことだと思うんですよ。ただ、それだけ次々に出していると、どうしても1つひとつの作品に情熱が注ぎきれなくなってしまうんじゃないかという心配もあって。でも今回は結果的にいつもより時間をかけてじっくり曲と向き合うことができたので、全員の思いがしっかりと込められたアルバムになったんじゃないかなと思います。ファンの皆さんにも心配をおかけしたかもしれないけど、春の新学期から新しいスタートを切っていきたいです。
廣田あいか エビ中は年始よりも新学期のほうが勢いが付けやすい。中学校だしね(笑)。
柏木ひなた 年末からメンバーと一緒にいられない時期があったけど、ずっと連絡を取り合っていたので、あんまり離れていたような感じはないです。その場の雰囲気を伝えてもらっていたので、ライブがあるときは「がんばって!」ってメッセージを送ってました。
“大学中”と中学4年生
──この春には、星名さんが高校を卒業……中学7年生の、大学……。
星名 “大学中”です。「在学中」と同じアクセントで(笑)。
──そしてリアル中学生もいなくなり。
小林歌穂 中4になりました!
廣田 両手で4を出したら中8だよ(笑)。この前、制服採寸したって言ってたよね。そういう話を聞くと「ああ、高校生になるんだなあ」って感じる。
星名 うらやましい。私はスーツを買いました。JKうらやましい……。
──どうですか、JKとしての自覚は。
中山莉子 なんか、なんだろう、えと、なんか、なんだろう……。
真山 眠い?
中山 眠くないです! なんか、中学から同じ高校に行く仲間たちが見つかって、最近は連絡を取るようになって楽しいです。
小林 あの、友達ってどうやって作ればいいんですか?
松野莉奈 人生相談?
小林 中3のとき、転入生に「小林です」って自己紹介したら「あっそう」って言われて、それから不安なんですよ。
安本彩花 人見知りさんだったんじゃない?
小林 でも1週間後に急にその子から「よお、カホミンゴ!」って呼ばれて。
廣田 なんで(笑)。じゃあ高校でも「カホミンゴ! みんなよろしく!」って言えばいいよ。
──初対面で突然言い出したら「ヤベえ奴来たな」って思われるかもしれないですけど。
真山 間違った方向で高校デビューしたと思われそう(笑)。でも歌穂ちゃんは人見知り集団のエビ中にすぐなじんだじゃん。大丈夫だよ。
次のページ » 「エビ中出席番号の歌 その2」に見るメンバーの変化
- 3rdアルバム「穴空(アナーキー)」 / 2016年4月20日発売 / SME Records
- 初回限定盤A [CD+Blu-ray] / 4800円 / SECL-1844~5
- 初回限定盤B [CD2枚組] / 3600円 / SECL-1846~7
- 通常盤 [CD] / 3000円 / SECL-1848
CD収録曲(共通仕様)
- 埋めてあげたい(Interlude)
[台本・演出:土屋亮一(シベリア少女鉄道)]
- ゼッテーアナーキー
[作詞・作曲・編曲:ABEDON]
- 春休みモラトリアム中学生
[作詞・作曲:尾形回帰(HERE)/ 編曲:尾形回帰(HERE)、西井慶太]
- ポップコーントーン
[作詞・作曲・編曲:田村歩美(たむらぱん)]
- 面皰
[作詞・作曲:吉澤嘉代子 / 編曲:石崎光(cafelon)]
- エビ中出席番号の歌 その2
[作詞・作曲・編曲:前山田健一]
- マブいラガタイフーン(Interlude)
[作詞:MTG(CASIOトルコ温泉)、PKNY(CASIOトルコ温泉)/ 作曲・編曲:MTG(CASIOトルコ温泉)]
- 夏だぜジョニー
[作詞・作曲・編曲:RYO from ORANGE RANGE、シライシ紗トリ]
- MISSION SURVIVOR
[作詞・作曲:首藤義勝(KEYTALK)/ 編曲:鈴木雅也]
- ナチュメロらんでぶー
[作詞・作曲・編曲:田村歩美(たむらぱん)]
- あな秋いんざ夕景(Interlude)
[台本・演出:丸山博久]
- ポンパラペコルナパピヨッタ/五五七二三二〇
[作詞:田中直基 / 作曲・編曲:菅野よう子]
- お願いジーザス
[作詞・作曲:加藤慎一(フジファブリック)/ 編曲:フジファブリック]
- 全力☆ランナー
[作詞・作曲・編曲:杉山勝彦]
- スーパーヒーロー
[作詞:YuReeNa / 作曲:kzm / 編曲:CHOKKAKU]
- 参枚目のタフガキ
[作詞・作曲:前山田健一 / 編曲:CMJK]
初回限定盤A Blu-ray収録内容
- エビ中ヒストリーメドレー@氣志團万博2015(ライブ映像)
初回限定盤B DISC 2収録内容
- 年忘れ大学芸会2015 Live atさいたまスーパーアリーナ(2015年12月12日 埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演のライブ音源を収録)
私立恵比寿中学(シリツエビスチュウガク)
スターダストプロモーション芸能3部に所属するアイドルグループ。2009年夏に結成し、2010年2月には初のシングル「朝のチャイムがなりました!」を発表した。2011年4月には事務所の先輩であるももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)の中野サンプラザ公演にゲスト出演し、前山田健一プロデュース曲「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」などを披露。同年10月には東京・Shibuya O-EAST(現TSUTAYA O-EAST)で初のワンマンライブを行った。2012年5月にはDefSTAR RECORDSよりシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビューを果たし、2013年7月には初のオリジナルフルアルバム「中人(ちゅうにん)」をリリース。2014年4月に行われた東京・日本武道館公演「私立恵比寿中学合同出発式~今、君がここにいる~」を最後に瑞季、杏野なつ、鈴木裕乃の3名が“転校”(脱退)した。以降は真山りか、安本彩花、廣田あいか、星名美怜、松野莉奈、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子の8人で活動し、2015年1月には2ndオリジナルアルバム「金八」をリリース。同年12月には埼玉・さいたまスーパーアリーナで2DAYSワンマンライブ「私立恵比寿中学 年忘れ大学芸会2015『エビ中のオールアトラクスター』」を開催した。2016年4月に3rdフルアルバム「穴空」(アナーキー)をリリース。