音楽ナタリー Power Push - 私立恵比寿中学

アナーキー中学生の新年度

「エビ中出席番号の歌 その2」に見るメンバーの変化

──それぞれ学年が上がったりという変化もありますけど、メンバーの変化と言えば、自己紹介ソングをアップデートした「エビ中出席番号の歌 その2」が昨年完成し、今回のアルバムにも収録されます。

真山 あー、そうですね。

──「その2」は去年の「ファミえん」で初披露されましたけど、あのときは1人登場するたびに大きなどよめきが起こっていました。メンバーの特徴と変化が端的に表現された曲だと思うので、まずはこの曲について1人ずつ順に話を聞きたいなと。まずは真山さん。「アニメとアイドル 架け橋なりたい」と、よりアニメ好きを強調した内容になりました。

真山 “言霊”って言いますけど、やっぱり願いごとは口にしないと叶わないと思うので。これは私じゃなく前山田(健一)さんが考えてくれたんですけど、この歌詞を見たときはうれしかったですね。素直に自分の夢を歌うことができて。友達からは「なんで『真山フラッシュ』なくなっちゃったの?」って言われましたけど(笑)。

──そして安本さんは……。

廣田 一番のキャラ変(笑)。

安本 お父さんの「ローテンションを卒業しなさい」という言葉で一生懸命ハイテンションをがんばった結果、キャラが変わりました。お父さんの要素だけブレてない(笑)。

──廣田さんは「ミラクルマジカルマスコット」という「その1」以降の新しいキャッチフレーズも歌詞に入りました。あとは「ぁぃぁぃの声って やっぱりまだ変ですか? でも変で結構! 自分だけの個性磨くんだ」と。

廣田あいか

廣田 私自身は全然変な声だと思ってないんですよ。だから歌うのにはちょっと抵抗がありましたけど、声も個性の1つだし、そのうえで「声だけで判断されないようにがんばるぞ」って思えるので、自分にとっていい歌詞になったなと思います。

──星名さんは「アイドル道を極めます」から「Born to be Idol 星名美怜」へ、生まれもってのアイドルへと進化しました。「その2」の歌詞は前山田さんからの成績表みたいなものとも言えるかもしれない。

星名 極まったんですかねー(笑)。でも前山田さんから見た私の軸は変わってないんだなと思いました。曲調を変えずに作ってくださったので、そこが自分的にはいいなーと思ってます。

──逆に次の松野さんは大きく変わりましたよね。まずオクターブが違う。さらに「歌もダンスも のびました」と、成績表的な意味合いで言うと格段にランクアップした内容で、「ファミえん」の初披露のときは感動すらありました。

松野 ホントですか? でも1オクターブ低いメロディが染み付いているので、最初は苦戦しました(笑)。つい下で歌いそうになるから。

──「ファミえん」では松野さんの歌でどよめき、柏木さんの「肉を喰らい 背が伸びました(I'm growing up)」でまた別のどよめきが起きました(笑)。

柏木 肉を入れてくださったことはありがたいけど、肉だけを食べて成長したわけではないです(笑)。歌詞が全部変わっていて、ハモリの英語の部分も変わりました。

──そして「出席番号の歌」初登場の2人については、やはり「ファミえん」で大きな波紋を呼びましたが……。

小林 お客さんの顔を見たら、みんな爆笑してました(笑)。

──「ファミえん」ではスクリーンに歌詞のテロップも出てましたけど、小林さんは「ぽーぽぽぽーぽー ぽーぽーぽー」「ぱんぱぱぱんぱんぱんぱんぱん」ってほぼ擬音ですからね(笑)。

小林 私は町でウロチョロしてるような、普通の子なので。

廣田 普通の子はぽーぽー言わないよ(笑)。

「エビ中 夏のファミリー遠足 略してファミえん in 長岡2015」の様子。巨大スクリーンに映る中山莉子。

──最後は中山さん。一番の衝撃作ですけど。

中山 欲張りに「あなたとりこさくらんぼー」を3回歌います。「もういっかい」「もういっかい」って。ライブでも、盛り上がって……。

真山 やっぱり眠いの?

中山 眠くないです!

アナーキーとはなんぞや

──ここからはアルバム「穴空」全体の話を。「穴空」と書いて「アナーキー」と読むこのタイトルを聞いたとき、皆さんはどう思いましたか?

真山 ネタ切れしたから造語で来たのかと思いました。漢字2文字で左右対称、ということで「中人」(2013年7月発売)、「金八」と来たけど、もうネタが尽きたのかと。

──タイトルの由来などについて説明はあったんですか?

廣田 今回はレコーディングに入る前に、資料をもらって説明を聞く会があったんですよ。こんな丁寧に説明されたのは初めてです。

──具体的にどんな説明を?

廣田 タイトルはこういう意味です、こんな曲が入ります、作家さんはこんな方です……って紙芝居風に(笑)。「まだ次開いちゃダメ!」とか言って。

星名美怜

星名 コンセプトをしっかり理解して歌えたのは大きかったです。

──では「穴空」、アナーキーとはどういう意味なのでしょうか。

安本 無政府状態。

──無政府状態とは?

安本 おっ? あのー、ナシな状態。ナシな制度? ルールを作らない状況のことを言います。

中山 ハイ! ハイ!

真山 なんでしょう中山さん。

中山 何ものにも囚われない状態。

一同 おー(拍手)。

真山 歌穂ちゃん、いつものアレは?

小林 あっ。反・骨・精・神ー!

真山 これ好きなんだよね(笑)。

「中人」「金八」そして「穴空」

──ほかに今までと違うところはありましたか?

真山 レコーディングの方法も変わりました。ブースに温かいお湯が入ったポットが用意されてて。

廣田 そこじゃないでしょ! どうでもいいでしょそれは(笑)。

真山 いやいや、お水代が浮くんだから。あと「お願いジーザス」とか「参枚目のタフガキ」は曲のイメージにあわせて照明を暗くしたりとか、雰囲気作りからしっかりと。

星名 あとシングル以外の曲でMV作ったのも初めてじゃない? 「ゼッテーアナーキー」と「面皰」(にきび)を撮りました。

真山 もう1つ、これはちょっと寂しい変化ですけど、「DANCE MUSIC」シリーズがなくなりました。

──ああ、「中人」には「中人DANCE MUSIC」、「金八」には「金八DANCE MUSIC」とタイトルを冠した楽曲がありましたが、「穴空DANCE MUSIC」はなかったですね。

小林 あー! そうだー。

廣田 たぶん2つおきなんだよ。次は「ゼッテーなんとか」が来る。(エビ中の音楽制作担当・かりそめ先生を見ながら)そうでしょ?

真山 次のタイトルは左右対称で「真山」がいいから「ゼッテーマヤマ」(笑)。

中山 「中山」もいけるよ!

かりそめ先生 「ゼッテーナカヤマ」。それ、ありだな……。

安本 「ゼッテーコバヤシ」もいいんじゃない?

真山 そこは年功序列で。

3rdアルバム「穴空(アナーキー)」 / 2016年4月20日発売 / SME Records
初回限定盤A [CD+Blu-ray] / 4800円 / SECL-1844~5
初回限定盤B [CD2枚組] / 3600円 / SECL-1846~7
通常盤 [CD] / 3000円 / SECL-1848
CD収録曲(共通仕様)
  1. 埋めてあげたい(Interlude)

    [台本・演出:土屋亮一(シベリア少女鉄道)]

  2. ゼッテーアナーキー

    [作詞・作曲・編曲:ABEDON]

  3. 春休みモラトリアム中学生

    [作詞・作曲:尾形回帰(HERE)/ 編曲:尾形回帰(HERE)、西井慶太]

  4. ポップコーントーン

    [作詞・作曲・編曲:田村歩美(たむらぱん)]

  5. 面皰

    [作詞・作曲:吉澤嘉代子 / 編曲:石崎光(cafelon)]

  6. エビ中出席番号の歌 その2

    [作詞・作曲・編曲:前山田健一]

  7. マブいラガタイフーン(Interlude)

    [作詞:MTG(CASIOトルコ温泉)、PKNY(CASIOトルコ温泉)/ 作曲・編曲:MTG(CASIOトルコ温泉)]

  8. 夏だぜジョニー

    [作詞・作曲・編曲:RYO from ORANGE RANGE、シライシ紗トリ]

  9. MISSION SURVIVOR

    [作詞・作曲:首藤義勝(KEYTALK)/ 編曲:鈴木雅也]

  10. ナチュメロらんでぶー

    [作詞・作曲・編曲:田村歩美(たむらぱん)]

  11. あな秋いんざ夕景(Interlude)

    [台本・演出:丸山博久]

  12. ポンパラペコルナパピヨッタ/五五七二三二〇

    [作詞:田中直基 / 作曲・編曲:菅野よう子]

  13. お願いジーザス

    [作詞・作曲:加藤慎一(フジファブリック)/ 編曲:フジファブリック]

  14. 全力☆ランナー

    [作詞・作曲・編曲:杉山勝彦]

  15. スーパーヒーロー

    [作詞:YuReeNa / 作曲:kzm / 編曲:CHOKKAKU]

  16. 参枚目のタフガキ

    [作詞・作曲:前山田健一 / 編曲:CMJK]

初回限定盤A Blu-ray収録内容
  • エビ中ヒストリーメドレー@氣志團万博2015(ライブ映像)
初回限定盤B DISC 2収録内容
  • 年忘れ大学芸会2015 Live atさいたまスーパーアリーナ(2015年12月12日 埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演のライブ音源を収録)
私立恵比寿中学(シリツエビスチュウガク)
私立恵比寿中学

スターダストプロモーション芸能3部に所属するアイドルグループ。2009年夏に結成し、2010年2月には初のシングル「朝のチャイムがなりました!」を発表した。2011年4月には事務所の先輩であるももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)の中野サンプラザ公演にゲスト出演し、前山田健一プロデュース曲「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」などを披露。同年10月には東京・Shibuya O-EAST(現TSUTAYA O-EAST)で初のワンマンライブを行った。2012年5月にはDefSTAR RECORDSよりシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビューを果たし、2013年7月には初のオリジナルフルアルバム「中人(ちゅうにん)」をリリース。2014年4月に行われた東京・日本武道館公演「私立恵比寿中学合同出発式~今、君がここにいる~」を最後に瑞季、杏野なつ、鈴木裕乃の3名が“転校”(脱退)した。以降は真山りか、安本彩花、廣田あいか、星名美怜、松野莉奈、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子の8人で活動し、2015年1月には2ndオリジナルアルバム「金八」をリリース。同年12月には埼玉・さいたまスーパーアリーナで2DAYSワンマンライブ「私立恵比寿中学 年忘れ大学芸会2015『エビ中のオールアトラクスター』」を開催した。2016年4月に3rdフルアルバム「穴空」(アナーキー)をリリース。