ナタリー PowerPush - 私立恵比寿中学

鈴木さんはまだまだ成長中

かりそめ先生(スターダスト音楽出版 石崎裕士)による補足&解説

意外とエモい

──鈴木さんのことがよくわかったような、より謎が深まったようなインタビューになりましたが(笑)、スタッフから見た鈴木さんはどうですか?

いや、僕らも彼女の底は見えないですね。

──全体的に、自己主張はなく流れのままにやっているという様子でしたが、一見ひょうひょうと何も考えずにやっているようでいて……。

努力してますね。そういうところを見せたがらないんですよ、あの子は特に。たぶん“いなせ”なんですよ。

──鈴木さんの役割はやはり徐々に増えていると思うんですけど、それは増やしたんですか?

増やしたかったし、増えた、ってところですね。結果。それは彼女だけに限らず、それぞれ活動していく中で発見もあって、そのつど役割は変わっていくし増えていきますね。

──鈴木さんの場合は、どういう変化があって、そう役割を変えていこうと?

基本はそのまんまがいいんじゃない?とはずっと思っていて。演出を付けたりはするんですけど、エビ中の基本姿勢として「あんたはこうだから、こういうふうにがんばりなさいよ」とは言わないんです。そう言うときっとエビ中の個性はなくなってしまうから。

──それがエビ中の“校風”だと。

校長(藤井ユーイチマネージャー)が自然に作り上げた校風でしょうね。それにディレクターたちも共感したのか、デビューするときに言われたのが「こんなやり方もあるんですね」って(笑)。やりながら途中で出てきたものを「めっけもん」として取り入れていくっていう。その姿勢は昔も今も変わらずですけど、当然要求レベルは上がってきてます。

──それは歌割りなどの面でも同様ですか?

はい。鈴木に初めてサビで一番目立つDメロを歌わせることになったとき、すっげえがんばってたんですよ。彼女は「やる気があるのかないのかわかんなくて、ちょっと不思議な子」というマスイメージ通り、セリフだとかちょっと変わったパートが多いですけど、しっかりキメて歌うと意外とエモいんだなって(笑)。

結論は「まとめない」

──アルバムとしては去年、インディーズ楽曲をまとめた「エビ中の絶盤ベスト~おわらない青春~」が出ましたけど、オリジナルアルバムは今回が初です。制作チームとしてはやはり気負いがありましたか?

たぶん僕だけすごくありました(笑)。このアルバムから入る人もきっといるはずだから、その人たちに「エビ中ってこういうグループだよ」ってすぐに伝わる、名刺代わりの1枚にしなきゃいけない。でも考えてみると「エビ中ってどういうグループだ?」って説明しようとすると、僕らもまだわかってなかった(笑)。なんとなく共有しているイメージはあるんですけど、一言で「こういうグループだ」って説明できないのがエビ中のよさであり、ジレンマでもあるんですよ。

──確かに。簡潔にズバッと説明できないですよね。鈴木さん1人取っても複雑すぎますから(笑)。

そこをどう伝えるかってときに、なんか1本芯の通ったテーマが必要だなって思ったんです。それで「まずはタイトルじゃねえか?」と。「中人」は校長のアイデアなんですけど、僕はそこに決まるまで合計30個か40個ぐらいタイトル案を持ってったんですよ。それがことごとくスベって(笑)。会議が一通り終わって「じゃあみんなで考えようか」ってなったときに、校長が最初に言ったのが「中人」だったんです。サクッと決まったんですよ。

──僕は初めに聞いたときすごくいいタイトルだなって思いましたけど、冷静に考えると記念すべき1stアルバムのタイトルとしてはかなり無茶ですよね(笑)。カッコいい横文字を使うわけでもなく、非常に画数の少ない常用漢字2文字という。

後付けですけど、文字もシンメトリーで美しいじゃないですか。こんなシンプルで「エビ中だ!」って僕らが思えるタイトルはなかったから、即決でしたね。校長はけっこう人に任せるタイプで「俺はもの作るタイプじゃないから」とか言ってますけど、やっぱこの人センスあるなあって、ちょっと悔しかったです(笑)。

──では「中人」というタイトルありきで制作を進めたと。

はい。それでDefSTAR RECORDSの制作チームと、シングル曲を中心に「何か1本軸を置いてまとめていきましょう」って始めたものの……エビ中は結成時から一度も何かしらの軸を置いたことがないグループなんですよ(笑)。そもそも出発点が間違ってた。それでたどり着いた結論は「まとめない」(笑)。エビ中そのものの存在と一緒で、並べて一貫性を持たせるよりは、深く考えずに曲を作っていきましょうと。ただ、シングル含めて味付け濃いものが多いからインタールードを挟もう、というアイデアは最初から出てましたね。

新曲はさらに振り切ったほうがいい

──あのインタールードとYellow Magic Orchestra「体操」のカバーが入っていることから、「スネークマンショー」を連想する人は多いと思うんですけど。

僕は「スネークマンショー」のつもりです。

──やっぱそうなんですね(笑)。でもなぜ「スネークマンショー」だったんですか?

好きだから。あはははは(笑)。エビ中のコンセプトにもなっている“学芸会”の要素だとか、バラバラに濃い楽曲を1枚にまとめる上で一番よさそうな方法がこれだったんですよ。「いい湯かな?」の前にはインタールードを置いて場面転換するとか、何カ所かはもう初めから形が見えてましたね。

──「いい湯かな?」というタイトルでまさか8分の壮大なバラードが来るとは思いませんでした(笑)。各曲のタイトルというのも“エビ中らしさ”を念頭に、引っかかりのあるものが選ばれている感じがします。逆に「あるあるフラダンス」はタイトルの印象まんまの曲だったり(笑)。

「あるあるフラダンス」は最後にできた曲なんですよ。いろいろ並べてて「最後どう締めるべきなんだろうね」って言ってるときに、デフスターの瀬戸さんが持ってきたのがこの曲で。

──今挙げた2曲も「体操」のカバーという発想も、これまでのエビ中にはなかった新しい路線だと思います。バリエーションをさらに増やそうという意図はありましたか?

もともと楽曲のバリエーションは広いグループではありますけど、アルバムを「まとめない」「まとめられない」と判断した時点で、新曲は全部トガっててもいい、さらに振り切ったほうがいいかなって。

1st full Album「中人」/ 2013年7月24日発売 / DefSTAR Records
初回生産限定エー盤 [CD+DVD] / 3500円 / DFCL-2023~4
初回生産限定ビー盤 [CD2枚組] / 3500円 / DFCL-2025~6
サブカル盤(通常盤) [CD] / 3000円 / DFCL-2027
CD収録曲(全仕様共通)
  1. Chuning!!(Interlude)
  2. 仮契約のシンデレラ(long ver.)
  3. あたしきっと無限ルーパー
  4. R-O-B-O-C-K
  5. 高校廃止法案(Interlude)
  6. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX
  7. 大人はわかってくれない
  8. 体操
  9. 禁断のカルマ
  10. 誘惑したいや
  11. チューニング真っ最中(Interlude)
  12. いい湯かな?
  13. 手をつなごう
  14. 中人DANCE MUSIC
  15. 頑張ってる途中
  16. あるあるフラダンス
初回生産限定エー盤 DVD「居残りダンス練習V~振りカラ映像~」収録内容
  • 瑞季「パクチー」
  • 真山りか「揚げろ!エビフライ」
  • 杏野なつ「どしゃぶりリグレット」
  • 安本彩花「フレ!フレ!サイリウム」
  • 廣田あいか「歌え!踊れ!エビーダダ!」
  • 星名美怜「ほぼブラジル」
  • 鈴木裕乃「結果オーライ」
  • 松野莉奈「新・青春そのもの」
  • 柏木ひなた「エビ中一週間」
初回生産限定ビー盤 特典CD収録内容
  • 「恵比寿組曲」(再構築 by Fragment)
ライブDVD / Blu-ray「狂い咲きエビィーロード ~終わりなき進級~」 / 2013年7月24日発売 / DefSTAR Records
[DVD2枚組] / 5500円 / DFBL-7170~1
[Blu-ray Disc] / 6500円 / DFXL-28
私立恵比寿中学(しりつえびすちゅうがく)

私立恵比寿中学

スターダストプロモーション芸能3部に所属するアイドルグループ。2009年8月4日の結成以降、数人の転校(脱退)と転入(加入)を繰り返し、現在は瑞季、真山りか、杏野なつ、安本彩花、廣田あいか、星名美怜、鈴木裕乃、松野莉奈、柏木ひなたの9名が所属している。2010年2月14日に初のシングル「朝のチャイムがなりました!」を発表。2011年4月には事務所の先輩であるももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)の中野サンプラザ公演にゲスト出演し、前山田健一プロデュース曲「チャイム!」「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」を披露した。2011年10月5日には6枚目のシングル「もっと走れっ!!」をリリース。同月8日には東京・Shibuya O-EASTにて初のワンマンライブを行い、大成功に収めた。「king of 学芸会」の異名を持つ個性あふれるパフォーマンスで人気を集め、2012年5月5日にはDefSTAR Recordsよりシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビューを果たした。11月21日にはインディーズ時代の楽曲をまとめたアルバム「エビ中の絶盤ベスト~おわらない青春~」と、ライブDVD / Blu-ray「私立恵比寿中学 ファーストコンサート『じゃあ・ベストテン』」を同時リリース。2013年7月には初のオリジナルフルアルバム「中人(ちゅうにん)」を発表した。