音楽ナタリー Power Push - ドラマチックアラスカ
関西バンドシーンを担うための一歩
ドラマチックアラスカが通算5枚目となるミニアルバム「アラスカ・ベリーズ」をリリースした。ここ1年の間は、持ち前のキレのあるギターと性急なビート感を前面に押し出した“ロック3部作”と呼ばれる楽曲「無理無理無理」「世界の始まり」「人間ロック」を発表するなど、ライブの盛り上がりを意識した作品作りにトライしていたドラマチックアラスカ。新作「アラスカ・ベリーズ」には、亀田誠治プロデュースによるミドルテンポのリード曲「河原町駅」をはじめ、彼らが次のステップを見据えて生み出した楽曲がそろっている。そこから浮かび上がる、ドラマチックアラスカの現在とは? そして、思いっきり“和”に振ったアレンジが衝撃的なアッパーチューン「ニホンノカブキ」とは、一体なんなのか? ライブはもちろん、制作にも携わるサポートギターとして、ロマンチック☆安田(爆弾ジョニー)を迎えてから早1年余り。バンドのフロントマンでありソングライターであるヒジカタナオト(Vo, G)に、彼らが今見据えているものについて、じっくり語ってもらった。
取材・文 / 麦倉正樹 撮影 / 後藤壮太郎
“ロック3部作”以上の楽曲を
──最新ミニアルバム「アラスカ・ベリーズ」の話をする前に、今年2月にリリースしたシングル「人間ロック」のリアクションから聞かせてください。この曲は、早くもライブではかなりの人気曲になっているとか?
そうですね。僕らのライブの場合、それまでは「無理無理無理」で最高潮の盛り上がりに達するみたいなところがあったんですけど、「人間ロック」はそれに匹敵するぐらいのナンバーに育ってきていて。「あ、やっぱりお客さんに響いてるんやな」っていうのを感じながら、3月のツアーを回ってきましたね。
──「無理無理無理」「世界の始まり」「人間ロック」の3曲は、ドラマチックアラスカの“ロック3部作”ということになっているようですが、そうやってライブで速効性のあるアップテンポの曲を、連続して出していこうとした意図は?
結果論的なところもあるんですけど、この1年の間でやっとフェスにも出演できる状況になってきて、「ライブでどうやったら盛り上がってくれるだろう?」「どういう曲をやったらお客さんが喜んでくれるだろう?」っていうのをずっと考え続けていたんですよね。それで気が付いたら、アップテンポの曲が3つ並んだっていうか。
──なるほど。
だけど一旦そういうところに区切りをつけるというか、そこからさらに上に行くためには、ライブだけではなく音源としてもちゃんと聴いてもらえるような曲を作りたいなっていうのがあって。それが今回のミニアルバム「アラスカ・ベリーズ」のリード曲になった、「河原町駅」という曲なんですよね。
──亀田誠治さんがプロデュースしている1曲ですね。
はい。もっと上を目指してポピュラー性を得たいなって思ったときに、亀田さんというJ-POPの第一人者というか、カリスマみたいな人のことが思い浮かんで。それで今回ご一緒させてもらった感じですね。
朝が早かったです
──亀田さんとの作業はどんなふうに進めていったのですか?
とりあえず亀田さんにお会いして、1カ月くらいの間になるたけ曲を書いてみましょうって話になって……。それで去年の夏のツアーとフェスの合間を縫って10曲ぐらい作ってみたんです。
──亀田さんとやるなら、こういう曲がいいだろうっていうイメージはあったのですか?
ホントにポップな曲でやりたいなとは思っていましたね。亀田さんは僕らが作りたい楽曲が「無理無理無理」だったり「人間ロック」みたいな曲ではないなっていうのは、なんとなくわかっていたようでしたし。で、いろいろ曲を作って亀田さんに送るんですけど「もっといけるんじゃない?」って言われ続けて、「これがマックスです!」って出したのが「河原町駅」だったんですよね。
──ミドルテンポな歌モノですよね。
ドラマチックアラスカがこういう曲で勝負をかけるっていうのも面白いかなって思って。もともと僕らにはあった側面だけれど、これをリード曲に持ってきて勝負をしようっていうのは挑戦だったというか。もちろんそれは亀田さんがいたからこそできたんですけど。
──レコーディングの現場はどんな感じでしたか?
ええと、朝が早かったです(笑)。バンドのレコーディングっていうのは普通昼から始めるものやと思ってたんですけど。でもすごい能率がよかったので、その後僕らも朝からレコーディングを始めるようになりました。あとは一発録りですね。今まで僕らはパート別に分けて録っていたんですけど。亀田さんってあまり理屈で考える人ではなく、わりと直感で判断する人なんで、そういうセンスはいろいろ勉強させていただきましたね。
──同じベーシストとして、マルオカ(ケンジ)くんはけっこう学ぶことも多かったのでは?
彼は亀田さんが関わってきたスピッツと東京事変で育ってきたような人なので、ずっとニタニタしていました(笑)。亀田さんと一緒にスタジオに入ったときも、「ここはこうしたほうがいいんじゃない? ちょっと貸して」って言われたらニターって笑いながらベースを渡してて。で、亀田さんがパッて弾くと、ほんまに同じ楽器かって思うぐらい違う音が鳴ってて(笑)。レコーディングはすごく面白かったし、スムーズにいきましたね。
──歌詞についてはどうでした?
直前まで悩みましたね。亀田さんは「全然いいよ」って言ってくれるんですけど、僕的にはなかなか納得いかなかったので「ここはがんばらせてください」って言って、ギリギリまでやらせてもらいました。
──具体的にはどんなところで悩んだのですか?
胸キュンポイントというか、胸を突くようなポイントをいっぱい作りたかったんですよ。それこそサウンドの仕上がりが最強だったので、そのサウンドに負けないような歌詞を作らなきゃいけないと思って。レコーディング直前に歌詞を変えるときもありました。
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収録曲
- ニホンノカブキ
- 人間ロック
- なんでもないうた
- Aのテーマ
- ずるい
- 河原町駅
- 忘れないでね
アラスカナイズワンマンツアー2016 ~摘みたてベリーおすそわけツアー~
- 2016年6月11日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2016年6月12日(日)岡山県 IMAGE
- 2016年6月18日(土)北海道 CLUB DUCE
- 2016年6月25日(土)広島県 SECOND CRUTCH
- 2016年7月9日(土)香川県 DIME
- 2016年7月10日(日)福岡県 LIVE HOUSE CB
- 2016年7月16日(土)愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2016年7月18日(月・祝)石川県 vanvanV4
- 2016年8月11日(木・祝)東京都 LIQUIDROOM
- 2016年8月23日(火)宮城県 仙台MACANA
- 2016年8月24日(水)新潟県 CLUB RIVERST
- 2016年9月10日(土)大阪府 なんばHatch
ドラマチックアラスカ
同じ高校に通っていたヒジカタナオト(Vo, G)、マルオカケンジ(B)、ニシバタアツシ(Dr)によって、2010年に結成されたギターロックバンド。神戸を中心に活動し、2013年6月に1stミニアルバム「ドラマチックアラスカ」、同年11月に2ndミニアルバム「オーロラを待っている」をリリースした。2015年1月に新体制となり、サポートメンバーとして爆弾ジョニーのキーボーディスト、ロマンチック☆安田がギタリストとして加入。7月に4枚目のミニアルバム「アンカレッジ・シティー・ポップ」を発売し、2016年2月にシングル「人間ロック」、4月に5枚目のミニアルバム「アラスカ・ベリーズ」を発表した。