音楽ナタリー Power Push - ドラマチックアラスカ
関西バンドシーンを担うための一歩
伝えたいことを曲にしたらいいんやな
──そういうところも含めて、いろいろと自信もついてきたのでは?
そうですね。今はすごい自信はあります。今回作詞曲を全部僕1人でやっているっていうのもあるし……。昔は「何しゃべろう?」ってすごい考えてたMCも、最近はしゃべり過ぎて時間が足りないときもあって。だからもう、MCだけじゃ伝えきれない感じになってきているんですよね。で、その伝えたいことを曲にしたらいいんやなって思えるようになってきたんです。一時期は「俺らなんて……」っていう感じだったんですけど。
──あ、そうなんですか?
シュンとなっちゃって……。そこから一歩ずつ積み重ねてきて、今につながったというか。
──こうして話を聞いていると、今回の作品はさまざま結果が積み重なってできた作品になってますよね。
そうなんですよね。一応「河原町駅」がリード曲っていうことになるんですけど、どの収録曲がリード曲になってもおかしくない。今回のミニアルバムはバンドとしての心情を歌った楽曲が1つもないんですよね。「河原町駅」はもっと個人的な歌だし……。どの曲も個性が強い曲になったと思います。
──ちなみにこの「アラスカ・ベリーズ」っていうタイトルには、どんな意味が込められているのですか?
7曲出そろったときに、いろんな料理が並んでるイメージが浮かんだんですよね。それでアラスカの調理文化を調べたんですけど、周りが大自然なので、乾燥肉とかそういうものばっかりで。で、そういう中で出てきたのが、「アラスカ・ベリーズ」っていうベリーの実の総称で。今回のこのラインナップにピッタリだなと思ったんですよね。
──ベリーのように、さまざまな曲がそろっていると。
リスナーの人たちがどんな反応をしてくれるのか、めちゃめちゃ楽しみですね。「河原町駅」から入る人も多いと思うんですけど、そういう人たちが「ニホンノカブキ」や「人間ロック」を聴いてどう思うか楽しみやし、逆に「人間ロック」が好きな人が「河原町駅」を聴いてどう思うのかも楽しみ。きっと「おっ」って思いながらも気に入ってもらえると思いますね。
KANA-BOON以降の流れを作りたい
──「河原町駅」はギターのトーンからして、今までの曲と全然違いますよね。
あの曲シンセは入ってなくて、ロマンチック☆安田くんがEbowっていう、ギターにかざしたら音が鳴り続けるヘンな楽器を使ったんです。サポートではあるんですけど、全曲安田くんがリードギターを弾いてくれて。大活躍してます。
──安田くんがサポートで入ってから1年ぐらい経つけど、それはバンドにかなりいい効果をもたらせているんじゃないですか?
そうですね。彼のおかげでこの1年間、いろいろ上がってこれたので大きいですね。メンバー間やスタッフ間の会話も増えたし。
──確かにバンドが明るくなった気が。
安田くんってとぼけているようでいて、ホントはすごい賢い人なんですよね。彼はいろんな音楽を知っているから、いろいろ勉強もさせてもらっているし。ギターが辞めて煮詰まっていたかもしれない時期に安田くんが参加してくれたのはすごいよかったと思います。
──安田くんの活躍を聞くと、今年はいろいろ勝負できる年になりそうですね。
これを引っさげて、6月からは最多公演、最大規模のワンマンツアーも決まっているので。毎年勝負やなって言いながらやっているんですけど(笑)、勝負じゃなくなったら逆に終わりかなっていうのもあるので。だから今年はもう、やれるだけのことをやりながら……。
──でも、やるべきことはなんとなく定まったんじゃないですか。余計な悩みが減ったというか。
そうですね。ワンマンをずっとやってほしいと言われてたところにもやっと行くことができるので。東京もLIQUIDROOMでやれることになったし、このワンマンツアーが今年の山場かなって思っています。これを乗り越えた先に、またいろいろあるんかな。
──そろそろ、若手ではなくなってきているでしょうしね。
どんどん新しいバンドが出てきている中、僕らも常に新しいこととか、時代がどういうふうに流れていっているのかを考えないといけないですよね。でもそこに媚びるわけではなく、自分たちが一番信じているロックっていうところとのせめぎ合いで戦っていきたいとは思っています。
──なるほど。
あとシーン的なことで言ったら、ちょっと前まで「関西バンドすごいね」っていう流れがあったと思うんですけど、それが一旦落ち着いてきているような自覚はあって……。
──というと?
それはやっぱり、KANA-BOONが作ってくれた轍を、みんな踏み終わったような気がしているんです。で、KANA-BOONのように夢を見させてくれるバンドがいなくなってるなっていうのはすごい感じていて。それで僕らはKANA-BOONが関西シーンで活躍していた年齢に差し掛かろうとしているんですよね。だから僕らがまた新しい流れを作らないと、下の世代のバンドも出てくることができない。新しい流れを切り開いていきたいので、そういうところを見てもらえたらなって思います。
収録曲
- ニホンノカブキ
- 人間ロック
- なんでもないうた
- Aのテーマ
- ずるい
- 河原町駅
- 忘れないでね
アラスカナイズワンマンツアー2016 ~摘みたてベリーおすそわけツアー~
- 2016年6月11日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2016年6月12日(日)岡山県 IMAGE
- 2016年6月18日(土)北海道 CLUB DUCE
- 2016年6月25日(土)広島県 SECOND CRUTCH
- 2016年7月9日(土)香川県 DIME
- 2016年7月10日(日)福岡県 LIVE HOUSE CB
- 2016年7月16日(土)愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2016年7月18日(月・祝)石川県 vanvanV4
- 2016年8月11日(木・祝)東京都 LIQUIDROOM
- 2016年8月23日(火)宮城県 仙台MACANA
- 2016年8月24日(水)新潟県 CLUB RIVERST
- 2016年9月10日(土)大阪府 なんばHatch
ドラマチックアラスカ
同じ高校に通っていたヒジカタナオト(Vo, G)、マルオカケンジ(B)、ニシバタアツシ(Dr)によって、2010年に結成されたギターロックバンド。神戸を中心に活動し、2013年6月に1stミニアルバム「ドラマチックアラスカ」、同年11月に2ndミニアルバム「オーロラを待っている」をリリースした。2015年1月に新体制となり、サポートメンバーとして爆弾ジョニーのキーボーディスト、ロマンチック☆安田がギタリストとして加入。7月に4枚目のミニアルバム「アンカレッジ・シティー・ポップ」を発売し、2016年2月にシングル「人間ロック」、4月に5枚目のミニアルバム「アラスカ・ベリーズ」を発表した。