音楽ナタリー Power Push - ドラマチックアラスカ「アンカレッジ・シティー・ポップ」特集 ヒジカタナオト(ドラマチックアラスカ)×橋本塁 対談

盟友カメラマンと語る“第2章の始まり”

イメージの脱却とリピート

──今作を通じてバンドの音楽性は確実に広がりましたよね。今まではソリッドで疾走感のあるギターロックを全面に出して「ドラマチックアラスカでござい」ってことをCD1枚まるまる使って伝えてきたように思うんですが、今作は中盤にミドルテンポの楽曲が入ってるとか、曲調に起伏があって1枚を通して楽しめる作品になっています。

橋本 僕もそう思います。ヒジカタくんはこの曲数でこのバラエティ豊かな内容にしようって意識してた?

ヒジカタ そうしよう、というよりは今回はずっとやってみたかったことをいろいろ散りばめることができたって感じです。例えばパワーポップ的な3曲目とか、the pillowsみたいなビートの4曲目「アンハッピーバースデー」とかって僕がもともと聴いてた音楽やったんです。そういう音を今になって「こういうのできるタイミングが来たかな」って思えたんですよね。僕らの音を聴いてもらえる人が増えた今なら受け入れられるんじゃないかなって。

左から橋本塁、ヒジカタナオト。

橋本 ああ。バンドってよくも悪くもイメージを背負っちゃうもんね、「このバンドはこう」みたいなイメージ付けっていうか。もちろんRamonesみたいに初志貫徹っていうのもすごいと思うけど、やっぱりバンドは生き物だからどんどん音楽性が変わっていくのに。

ヒジカタ はい。すごくいいタイミングでこういうことができたなあと思います。バンドのイメージが固まりすぎたらあとで変えられなくなるじゃないですか。だから「こういうこともできます」っていうのを今の段階で提示することができてよかった。

──前ギタリストのトバさんが作った7曲目の「マイヒーロー」は、いわゆる“今までのドラマチックアラスカ”な1曲ですね。この曲を最後に入れていることに理由はあるのでしょうか?

ヒジカタ はい。「世界の始まり」でアルバムがスタートして、トバくんが最後に残した曲で終わるっていう流れをどうしても作りたかったんです。サウンド的にもエンディングっぽいですし。アルバムを作るって考えたときに「この流れしかないな」って思ったんです。進化したドラマチックアラスカを1曲目で示し、今までのバンドっぽいサウンドで締めると、リピートしたときにその2曲がつながるんですよね。新しい自分たちを示すだけじゃなくて、「終わって始まる」っていう流れも作れる。今回で一番大事にしたのはその流れでした。

まっとうな評価を受けて大きくなってほしい

──ドラマチックアラスカはもともとヒジカタさんの「ステージの上に立ちたい」という憧れから始まったバンドです。今作のように明確なアティチュードを持った作品を誕生させた今も、ヒジカタさんの気持ちは始めた当時と同じですか?

ヒジカタナオト

ヒジカタ 変わりつつあります。自分のためにやってたというか、ステージに立ってライブしたいなっていうだけだったのが、いつの間にか自分たちを認めて、共感してくれる人ができて今は「ああ、同じ気持ちの人もいるんだな」って思いながらバンドを続けさせてもらってるような感覚があって。もちろん結局は自分がやりたくてバンドやってるので、ファンの人たちに寄り添いすぎることはないんですけどね。自分のために始めた音楽が誰かのためになってるっていう実感があります。

橋本 今日までの2年のように、ホントにまっとうな評価のされ方をしながら成長していってほしい。初めてデモを聴いたときにthe pillowsみたいに普遍性のあるロックバンドだなって感じて、それ以来ドラマチックアラスカの5年後ぐらいを考えるとすごく楽しみになるんだよね。この先さらに売れるタイミングがあると思ってて、そのきっかけはタイアップなのかフェスに出るのかわかんないけど、そこで消費されずじわじわ好きな人が増えていってほしい。バンドの状況は僕が初ワンマンとかそのあたりからずっと撮ってるONE OK ROCKやandropなんかと似てるって感覚もあるし。

ヒジカタ がんばります。僕らは「今年は勝負だね」って言ってるんですけど、結局次の年も同じで毎年勝負だって言ってるんです。勝負じゃなくなったときは終わりやなって思ってますし。

橋本 うん。ヒジカタくんというかドラマチックアラスカは貪欲だよね。だからずっとバンドとして生き生きして、みずみずしさを保っていられるんだと思う。僕も「そんなにライブ写真撮って、飽きない?」ってたまに友達から言われるんですけど。それはバンドといっしょで飽きないし、逆にもっともっと撮りたい。ヒジカタくんが言った「勝負じゃなくなったら終わり」っていうのは僕も思う。モチベーションが続く限りはずーっと生きているものだと思うので。

第2章の続きはどうなる?

──今作が完成した今、ヒジカタさんはどんな心境ですか? 今後も自分たちが成長できるような伸びしろを感じていますか?

ヒジカタ めちゃめちゃ感じてます。今回は安田くんが「世界の始まり」と5曲目「フレームアウト」の2曲しか携わってないですし。

橋本 うんうん。

ヒジカタ 彼は未知数なんですよ。日々成長しまくってるし。それに僕らも彼から刺激をもらってるんです。彼はめちゃめちゃ音楽を知ってるので、CDをたくさん貸してもらっていろいろ教わってるし。それによって僕の引き出しも今めっちゃ増えてるから、次のアルバムもどうなるか楽しみですね。

ドラマチックアラスカ

橋本 安田くんすごいね。

ヒジカタ はい。彼が参加してくれてよかったなと思ってます……本当は爆弾ジョニーのキーボーディストなのに。

橋本 あはは(笑)。

ヒジカタ トバくんが抜けてメンバー3人になってるんですけど、気持ち的にはもう安田くんも新メンバーっていう気持ちで4人でやってます。だから今回のアルバムはまずこれまでのことを乗り越えましたって証明するための作品なのかなって思います。

モチベーションの種類が増えていく

──橋本さんから見て、ドラマチックアラスカには今後どうなってほしいっていうのはありますか?

橋本 僕の印象としては、これまで彼らはバンドとして正しい成長の仕方をして来たと思ってます。ずっと見てきて、バンドが今ものすごくいい状態にあると思うし、これからさらによくなっていくだろうなっていうのも感じています。ライブ写真もバンドも同じだと思うんですけど、場数というか経験を積まないとよくならないと思ってるので。そういう意味ではこのまま、どんどん曲も演奏も正しくよくなっていってほしいなと。ものすごく楽しみですね。

ヒジカタ ありがとうございます。

左からヒジカタナオト、橋本塁。

橋本 あとヒジカタくんは人間として初めて出会ったときの感じから1ミリも変わってなくて。僕はバンドであっても結局は人間性に一番惹かれるんです。最後は人だと思うんで。その点で言えば最初会ったイメージから、マルケン(マルオカケン)もあっちゃん(ニシバタアツシ)もまったく変わってない。

ヒジカタ ふふふ(笑)。

橋本 だからそこはそのままで、だんだん環境を変えてきて、集まる人も純粋に増やしていってほしい。大きいところでできるようになってきたら、さっきヒジカタくんが言ってたみたいな「ライブやりたい」っていう単純なモチベーションとはまた違うものがどんどん増えてくると思う。僕もバンドを撮ってメンバーから「この写真いいね」と言ってくれるのが最初のモチベーションだったんだけど、いつからかそこに、写真展に来た人から「写真カッコいいですね」って言われることなんかも加わってきて。今じゃ「その写真見てカメラはじめました」とか「カメラマンになりました」って言われることもあって、それがすごくうれしい。あと2、3年したら「ドラマチックアラスカがきっかけでバンド組みました」っていうバンドもいっぱい出てくると思うよ。メンバーがこんだけ人間的に変わらない、いい子たちだったら絶対ブレないと思う。そんなバンドを撮りながら、僕はそのままバンドとの関係が変わらず、クビにならないことを祈るばかりです(笑)。

ヒジカタ いやいやいや。そんなこと言わないです(笑)。

ドラマチックアラスカ ミニアルバム「アンカレッジ・シティー・ポップ」 / 2015年7月8日発売 / LD&K Records
「アンカレッジ・シティー・ポップ」
初回限定盤 [CD+DVD] 3024円 / LDCD-50118
通常盤 [CD] 2160円 / LDCD-50119
CD収録曲
  1. 世界の始まり
  2. 無理無理無理
  3. スタートライン
  4. アンハッピーバースデー
  5. フレームアウト
  6. ともだちのうた
  7. マイヒーロー
-bonus track-
  1. 無理無理無理 feat. 岡崎体育 ~BASIN TECHNO ver.~(※通常盤のみ収録)
初回限定盤DVD収録内容

「ドキュメンタリームービー ~ドラマチックアラスカの始まり~」

  • メンバーインタビュー
  • スタッフインタビュー
  • 「世界の始まり」MV
  • 「無理無理無理」MV
  • 「ともだちのうた」MV
アラスカナイズワンマンツアー 2015
「シティーポップをはじめよう」
  • 2015年9月21日(月・祝)
    東京都 渋谷CLUB QUATTRO
  • 2015年9月26日(土)
    愛知県 池下CLUB UPSET
  • 2015年10月3日(土)
    大阪府 梅田CLUB QUATTRO
ドラマチックアラスカ
ドラマチックアラスカ

同じ高校に通っていたヒジカタナオト(Vo, G)、マルオカケンジ(B)、ニシバタアツシ(Dr)、トバナオヤ(G)の4人で2010年に結成されたギターロックバンド。神戸を中心に活動を開始し、2013年6月に1stミニアルバム「ドラマチックアラスカ」をリリース。その後、大型ライブイベントへの出演を経て11月に2ndミニアルバム「オーロラを待っている」を発表した。2015年1月にトバが学業への専念を理由にバンド活動を休止。バンドにはサポートメンバーとして爆弾ジョニーのキーボーディスト・ロマンチック☆安田がギタリストとして加入した。5、6月にはフレデリック、夜の本気ダンスとのジョイントツアー「ALA-UMI-DOSS TOUR 2015」を企画し、全国7公演をすべてソールドアウトさせる。そして7月に4枚目のミニアルバム「アンカレッジ・シティー・ポップ」をリリース。9月には東名阪ツアーを実施する。

橋本塁(ハシモトルイ)

1976年生まれのカメラマン。ファッション雑誌「ollie magazine」の社員カメラマンを経て2005年に独立し、1月に初の写真集「LOVE」を制作。ストレイテナー、the band apart、HAWAIIAN6、the HIATUS、THE BACK HORN、THE BAWDIES、9mm Parabellum Bullet、ONE OK ROCK、androp、ドラマチックアラスカなど数々のアーティストのライブフォトやアーティスト写真を撮影している。2006年には写真展とライブの複合イベント「SOUND SHOOTER」をスタートさせ、2010年10月には福岡晃子(チャットモンチー)、古川太一(KONCOS、ex. Riddim Saunter)とともにアパレルブランド・STINGRAYを立ち上げた。2015年3月には東京・新木場STUDIO COASTにて10回目の「SOUND SHOOTER」を3日間にわたり開催した。