音楽ナタリー Power Push - ドラマチックアラスカ「アンカレッジ・シティー・ポップ」特集 ヒジカタナオト(ドラマチックアラスカ)×橋本塁 対談

盟友カメラマンと語る“第2章の始まり”

積み重ねてきたものが開花したアルバム

──橋本さんが今回のアルバムを聴き始めたのは?

ドラマチックアラスカ

橋本 実は僕、楽曲ができあがるたびにほぼリアルタイムで携帯宛にデータを送ってもらってて。

ヒジカタ 僕らのマネージャーが逐一送ってたんです。

橋本 「この曲スゲーいいなー」って思った30分後にまた1曲上がってきて「こう来るかー」とか言ってた(笑)。

──アルバムを通して聴いてみていかがでしたか?

橋本 率直に、今まで2年間積み重ねてきたものが一気に開花したなって印象を強く受けました。音楽性も広がったし、演奏力やアレンジメント力も一気に上がってる。それに、これは僕が勝手に思ってることなんだけど、たぶんトバくんが活動を休止したことでメンタリティの変化もあったのかな? アルバムからバンドの覚悟のようなものを感じたので、単純にすごい作品だなって。

ヒジカタ メンバーが変わることで、「ここで折れちゃいけない」って決意して、バンドの結束が強まりました。あと僕らが高校生のときにヘッドフォンで聴いてたようなバンドの人たちと「SOUND SHOOTER」で競演してお酒も飲んでっていう機会があったことも自分の糧になっています。お会いした皆さんは人間力がすごくて、それはいろんな経験を経ているからこそ今こうなってるのかなって思えたので。そうやって感じたものや知ったことがバンドや作品に反映されてるんじゃないかなと。

「世界の始まり」は“バンドソング”

──「アンカレッジ・シティー・ポップ」は、資料でヒジカタさん自身が「バンドの第二章」とコメントしていた通りの内容になっていると感じました。特にオープニングナンバー「世界の始まり」はバンドの成長が如実に出た1曲で。

ヒジカタ この曲は“バンドソング”なんです。僕はthe pillowsがすごく好きで、その中でも彼らが自分たちのことを歌っている曲が好きなんです。そのときそのときのバンドの気持ち、(山中)さわおさんの気持ちっていうのが素直に出てる曲がすごくカッコいいといつも思ってて。だからドラマチックアラスカでも毎回そういう曲を書いてるんですね。

──ここで表現しているバンドの気持ちとは?

ヒジカタ 終わらせるんじゃなくて、始めるっていう。たとえメンバーが変わっても、それは新しいものをスタートさせることなんだって言い切りました。

橋本 うん。

ヒジカタ 僕はマイナスなことを口に出したくないんです。だから大変ではありましたけど、とにかく前を向きたかったので、終わるっていうことよりは始めるっていうことだけを考えて、曲のテーマを選びました。

──その新しいものとは具体的に何を指すのでしょう?

ドラマチックアラスカ

ヒジカタ 今まではドラマチックアラスカを象徴するものとして「ギターのリフと僕の声の2本柱」ってよく言われてて、僕自身それを自覚もしていました。そのギターがなくなったことで、僕の歌を立たせられるようになったっていうふうに考えたんです。「自分が歌えばドラマチックアラスカやな」って自信を持ち、これからホントに僕の歌で勝負していこうって覚悟して。それに付いてきてくれるメンバーがいさえすればバンドとして成立するっていう思いでした。このアルバムは「世界の始まり」を1曲目に持ってくることで「僕がまた先頭に立ってがんばります」というのを宣言する1枚になったって思ってます。

進化を示せた曲

──「世界の始まり」の歌詞はサビの「世界の終わり それは始まり」という歌詞をはじめ、バンドの心境を端的に言い表した内容だと感じました。作詞の面で成長できたという実感は?

ヒジカタ そうですね。アウトプットがうまくなってるんだなっていう自覚はありますね。

橋本 僕は昔からヒジカタくんの歌詞の言い回し、日本語のチョイスが好きだったんだけど「無理無理無理」のあたりからはストレートに感情や現状を表す言葉をどんどん持ってきてるように感じた。今回のアルバムで一気にギアが入ったのかなあと思って聴いてたなあ。

──3月にリリースされた先行シングル「無理無理無理」の歌詞は正直さに加え、シニカルな一面も一緒に入っている点が興味深いと思ってました。その後配信曲として「世界の始まり」というタイトルを見たときは「あれ、もしかしてここにも皮肉が?」って思っちゃいました。似た名前のバンドへのカウンター表明なのかな、というか。

ヒジカタ ちょっとありますけどね(笑)。ざわつかせたいというか。そういう意味では「アンカレッジ・シティー・ポップ」って、シティポップってタイトルに書きながら1曲目に2ビートっていう“大嘘”みたいな小ネタも仕込めたなと思ってます。

橋本 この曲のドラム、すごいよね(笑)。

ロマンチック☆安田(爆弾ジョニー)

ヒジカタ はい、ニシバタ(アツシ)くんはホント曲芸かってくらいのレベルに技術を上げてて。これはサポートギタリストとして参加しているロマンチック☆安田くん(爆弾ジョニー)によってバンド全体の技術が上がったというのがあって。

橋本 うん。

ヒジカタ 彼、めちゃめちゃ練習する人なんです。キーボーディストが本職なのにギタリストとして、他人のバンドにも入れるっていう(笑)。そんな彼を見て僕らも「これ練習しないといけないな」って。

橋本 いい刺激になるよね、絶対ね。

ヒジカタ はい。それにめっちゃ仲いいんですよね、ニシバタくんと安田くん。打ち上げとかでも、みんなと仲よくなればいいのに2人で固まって「今日のライブどうだった?」って話してる(笑)。技術的にはあの2人がバンドを引っ張ってくれてます。「世界の始まり」に関してはそういう意味での進化を示せてますね。

ドラマチックアラスカ ミニアルバム「アンカレッジ・シティー・ポップ」 / 2015年7月8日発売 / LD&K Records
「アンカレッジ・シティー・ポップ」
初回限定盤 [CD+DVD] 3024円 / LDCD-50118
通常盤 [CD] 2160円 / LDCD-50119
CD収録曲
  1. 世界の始まり
  2. 無理無理無理
  3. スタートライン
  4. アンハッピーバースデー
  5. フレームアウト
  6. ともだちのうた
  7. マイヒーロー
-bonus track-
  1. 無理無理無理 feat. 岡崎体育 ~BASIN TECHNO ver.~(※通常盤のみ収録)
初回限定盤DVD収録内容

「ドキュメンタリームービー ~ドラマチックアラスカの始まり~」

  • メンバーインタビュー
  • スタッフインタビュー
  • 「世界の始まり」MV
  • 「無理無理無理」MV
  • 「ともだちのうた」MV
アラスカナイズワンマンツアー 2015
「シティーポップをはじめよう」
  • 2015年9月21日(月・祝)
    東京都 渋谷CLUB QUATTRO
  • 2015年9月26日(土)
    愛知県 池下CLUB UPSET
  • 2015年10月3日(土)
    大阪府 梅田CLUB QUATTRO
ドラマチックアラスカ
ドラマチックアラスカ

同じ高校に通っていたヒジカタナオト(Vo, G)、マルオカケンジ(B)、ニシバタアツシ(Dr)、トバナオヤ(G)の4人で2010年に結成されたギターロックバンド。神戸を中心に活動を開始し、2013年6月に1stミニアルバム「ドラマチックアラスカ」をリリース。その後、大型ライブイベントへの出演を経て11月に2ndミニアルバム「オーロラを待っている」を発表した。2015年1月にトバが学業への専念を理由にバンド活動を休止。バンドにはサポートメンバーとして爆弾ジョニーのキーボーディスト・ロマンチック☆安田がギタリストとして加入した。5、6月にはフレデリック、夜の本気ダンスとのジョイントツアー「ALA-UMI-DOSS TOUR 2015」を企画し、全国7公演をすべてソールドアウトさせる。そして7月に4枚目のミニアルバム「アンカレッジ・シティー・ポップ」をリリース。9月には東名阪ツアーを実施する。

橋本塁(ハシモトルイ)

1976年生まれのカメラマン。ファッション雑誌「ollie magazine」の社員カメラマンを経て2005年に独立し、1月に初の写真集「LOVE」を制作。ストレイテナー、the band apart、HAWAIIAN6、the HIATUS、THE BACK HORN、THE BAWDIES、9mm Parabellum Bullet、ONE OK ROCK、androp、ドラマチックアラスカなど数々のアーティストのライブフォトやアーティスト写真を撮影している。2006年には写真展とライブの複合イベント「SOUND SHOOTER」をスタートさせ、2010年10月には福岡晃子(チャットモンチー)、古川太一(KONCOS、ex. Riddim Saunter)とともにアパレルブランド・STINGRAYを立ち上げた。2015年3月には東京・新木場STUDIO COASTにて10回目の「SOUND SHOOTER」を3日間にわたり開催した。