ナタリー PowerPush - DOPING PANDA

ドーパン覚醒。バンド史上最大の変化を解き明かす

今までのドーパンは音楽的じゃなかった

──じゃあ今回は音響的にも満足行く仕上がりになったということですね。

いや、今回が100%満足かって言えば、時間もなかったし、稚拙なところもあるし、取って付けたようなアレンジも確かにあるんです。エンジニアとして、もしかしたら180度間違ったことをやってるパターンもあるかもしんないです。でも、ただひとつ言えるのは、自分の耳を信じて作ると、やっぱりここまでドキドキするものになるんだってことですね。

──そういう話を聞くと、今回の音像の変化はすごく納得できますね。極端に言ってしまうと今まで世間で認識されていた“ドーパンらしさ”っていうのは、音の塊が団子になってガーっと飛んできて、四つ打ちで派手なサウンドが鳴ってるっていう、そういうイメージがあったと思うし、そこが支持されてる部分でもあったと思うんです。でもFurukawaさんが本当にやりたかったことはそれじゃない、ということですよね。

インタビュー写真

そうです。もうはっきり書いてもらっていいです。今までは音楽的じゃなかったんですよ。僕はもっと音楽的な音楽をやりたいと思ってた。音圧とか派手さとかはどうでもいいんです。主旋律をどんだけ派手に聴かせるかっていうだけの作業は、僕が思ってる音楽ではないから。

──ここに来て、やっとそれに気づいて実践することができたと。

遅いですよね。でも遅すぎはしないと思うんで。

──でもこれは仮の話ですけど、もしかしたら、これまでドーパンを支持してくれたファンの中には「いや、私はそういう派手なドーパンが好きだったのに」っていう人もいるかもしれないですよね。

「そういうドーパン」っていうのがもう全然ピンとこないっていうか。だって作ってる本人がやりたがってるものじゃないのに「そういうドーパンが好き」って言われても難しいですよね、なんて言えばいいのか。「ドーパンの良さってメロディだよね」とかって言われ続けてきたけど、「ていうか、そこしか聴こえねえからじゃん」って俺はずっと思ってたんで。コード進行とメロディしか聴こえないから、そこがいいって言ってるだけでしょって。今回はもしかするとメロディがドーンって飛んでくる部分は少ないのかもしれないけど……、どうなんでしょうね。いや、でも僕今すごくポジティブなんでね。楽しいことしかない。音楽に関してはもう楽しいことしかやるつもりないんで。

なんか大丈夫だって思ってます

──最初に聴いたときは正直この変化に驚いた部分もあるんですが、何度も聴いているとどんどん心地良くなってくるんですよね。

そう言ってもらえるとうれしいです。今回も足りないところいっぱいあるし、4曲目の「lady」とかは本当に時間もなくて、マスタリングの1時間前まで作業やってたくらいで。だから本当は完成度的には僕のアレンジとしてはあり得ないんですよ。ただそれでも今までよりちゃんと聴こえてるし、今までのどの楽曲より納得して出せてる。最低の楽曲なんだけど一番満足してますね。前回は最高傑作だけど不満が多いって言ってたから。

──インタビューでこんなポジティブなFurukawaさんに会うのは初めてです(笑)。

でしょ? みんなに言われますよ(笑)。ロジック的には、世の中に対する不満が解消される要素は一切ないんですけどね。でもなんでかちょっと不満は薄らぎましたね。だからメロディに関しては確かに前作より地味かもしれないし、音圧もないです。でもなんか大丈夫だって思ってます。自分がこのやり方で、自分が聴きたかったこの音像感で、例えば「MIRACLE」だとか「Crazy」だとかそういった楽曲にまたガーンってぶつかったら、さらにものすごいもんが作れる自信が今はあるんで。

──この作品はバンドとしてはすごく大きな転換点だと思うんですけど、それが音像の変化によってもたらされたというのは興味深いですね。

でも逆に言うと、この楽曲を以前の環境で録ってたら誰も変わったと思わなかったかもしれないです。「ちょっとオリエンティックな曲書いたね」「ちょっと地味目だけど、まあドーパンらしいですね」っていうニュアンスで皆さん終わってたんじゃないかなって。

5曲じゃないとミニアルバムにならない

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──そう考えると、この「anthem」っていうタイトルはすごく象徴的ですね。

結果そうなりましたね。ただ、いつも僕あんまりネーミングに重い気持ちがないので。仮でなんとなくつけたタイトルなんですけど、でも結果的にすごく今回を象徴する1曲になって、おそらくこの後のツアーでもこの「anthem」ってタイトルがすごく意味を持ってくるんじゃないかなって。

──そうだ、これは聞かなきゃと思ってたんですけど、どうしてこのタイミングで「the mugendai dance time」(ライブでの定番コーナー「無限大ダンスタイム」の導入曲)が入ってるんですか?

んー、なんでだったかな? 「mugendai~」をここに入れた意味は特にないですね。1曲足りないから5曲にしなきゃっていうだけで。

──そうなんですか(笑)。

5曲じゃないとミニアルバムにならないんですよ。それで「じゃあ1曲インスト入れますよ」って。でもこの曲のシンベの音とドラムの音はすごく時間かけて作りました。だからなんかこうカラダに来るビートっていうか、大きな音で聴くとすごいですよ。日本人のトラックメーカーにはなかなか作れない音になってると思う。それは自信あります。

ミニアルバム『anthem』 / 2009年11月4日発売 / 1980円(税込) / gr8!records / SRCL-7143~4

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CD収録曲
  1. anthem
  2. the mugendai dance time
  3. I said enough for one night
  4. lady
  5. music you like
DVD収録内容
  • ライブ映像60分+ミュージックビデオ1曲収録
DOPING PANDA(どーぴんぐぱんだ)

Yutaka Furukawa(Vo,G)、Taro Houjou(B,Cho)、Hayato(Dr,Cho)から成る3ピースバンド。1997年の結成当初は主にパンク/メロコアシーン界隈で活動していたが、生来のダンスミュージック好きが独自の発展を見せ、後にエレクトロとロックのハイブリッドな融合を担う存在に。インディーズでのブレイクを受けて、 2005年にミニアルバム「High Fidelity」でメジャーデビュー。時代の空気を反映させたサウンドとエンタテインメント性抜群のライブパフォーマンスで、幅広いリスナーからの支持を獲得した。全国各地でツアーやライブ出演を精力的に展開し、ロックフェスティバルでは入場規制を頻発させている。2008年にはイギリスで初の海外公演に挑戦。ワールドワイドな活動にも注目が集まっている。