Technics×「レコードの日」 PR

デジナタ連載 Technics×「レコードの日」|折坂悠太が語るアナログレコードで聴く音楽の味わい

今年も「レコードの日」がやってくる。「レコードの日」は日本レコード協会が1957年に制定した記念日で、当日の11月3日にはさまざまな場所でイベントが開催される。さらに今年は100タイトルを超えるアナログレコードがリリースされる予定だ。

そんな「レコードの日」、今年のイメージキャラクターを務めているのが折坂悠太だ。昨年発表したアルバム「平成」が各メディアで高く評価された平成元年生まれのシンガーソングライターは、アナログレコードというメディアにどのような思いを持っているのだろうか。その思いを探るべく、今回は折坂がセレクトしたお気に入りのアナログレコード3枚および昨年アナログ化された折坂の「平成」を本人と聴くことに。場所はTechnicsのリスニングルーム東京。ここはTechnicsの創始者の1人であり、室内音響の権威であるエンジニア・石井伸一郎の思想を一部反映したリスニングルームで、予約するとオーディオアドバイザー付きのリスニング体験ができる。

なお、この日使用したターンテーブルはTechnicsのSL-1000R。総重量40kgを超えるこの最高級ターンテーブルで、折坂セレクトのレコードに耳を傾けてみよう。

取材・文 / 大石始 撮影 / 濱田晋

Technics「SL-1000R」

Technics「SL-1000R」

アナログレコード再生の楽しみを音楽ファンに届けることをコンセプトにした、Technicsのダイレクトドライブターンテーブルシステム。ダブルコイル構成のコアレスダイレクトドライブ・モーターを搭載し、3層構造の重量級プラッターなどにより、正確で滑らかな回転を追求している。SP-10Rシリーズの性能を引き出すハイエンドターンテーブルシステムで、最新の技術で磨き上げられたダイレクトドライブ方式の新たな音を堪能できる。

レコードの日

「レコードの日」ロゴ

毎年11月3日に開催されるアナログレコードの祭典。アナログレコードの魅力を伝えることを目的として、アナログレコードプレスメーカーの東洋化成が主催、Technicsが協賛している。イベント当日は全国各地のレコード店でさまざまなイベントが行われるほか、この日のために用意された豊富なラインナップのアナログ作品が販売される。

アナログで聴くキース・ジャレット、ヴァン・モリソン、トム・ウェイツの醍醐味

──今回3枚のアナログレコードをお持ちいただきましたが、まず1枚目がキース・ジャレットの「The Melody At Night, With You」(1999年リリース)。これは今年に入ってアナログ化されたものですね。このレコードを選んだ理由は?

キース・ジャレット「The Melody At Night, With You」のアナログレコードを手にする折坂悠太。

これはこの間、韓国に行ったときに買いました。もともとCDで持っていて、以前肺の手術をしたとき手術中にかけてもらったんですよ。おそらく音圧をほとんど上げていないと思うんですけど、その分すごく音が詰まっているんですよね。いい意味で装飾がなくて、意図していないであろう音が入っている。そういう録音そのものも好きなアルバムです。楽器が鳴っている部屋の大きさが如実にわかるんじゃないかと思って今日持ってきました。

──今回はB面の「Shenandoah」を聴いてたわけですが、いかがでした?

誰かに聴かせようという明確な意思を持つ音じゃないんですよね。部屋の奥の方でピアニストが練習しているところを覗いちゃった感じというか。その感覚って、やっぱり音が出ている楽器とリスナーの距離感だと思うんですよ。こうやってレコードで聴いてみると、録音時に意図していただろう奥行きがCD以上に表現されますよね。それと、すごく柔らかい感じがする。デジタルの明瞭さというより、楽器そのもの、モノが鳴ってるという感覚。(音に耳を傾けながら)……ああ、違う曲みたいに聞こえますね。

──2枚目がヴァン・モリソンの「Live At The Grand Opera House Belfast」(1984年リリース)です。かけていただいたのは「Into The Mystic (Instrumental) / Inarticulate Speech Of The Heart」です。

ヴァン・モリソン「Live At The Grand Opera House Belfast」のアナログレコードを手にする折坂悠太。

中間の音や、実音と残響がちゃんと分かれて聞こえる感じがしましたね。ドラムのアタック音や反響が空間で鳴ってる感じがちゃんとわかるというか。これも最近手に入れたレコードなんですけど、ヴァン・モリソンは昔から大好きで、特にライブ盤をよく聴いています。このアルバムは1984年録音ということもあって、リバーブの使い方も80年代っぽいんですよね。そういう残響の処理やライブハウスの空間性がよりはっきり伝わってきました。あと、楽器の自然な鳴りが手に取るようにわかる。

──さっきのキース・ジャレットとはだいぶ違いますよね。あちらは楽器はピアノ1台だけで、音の隙間の気配まで伝わってくるような作品でしたけど、こちらは観客の歓声も入っていて、情報量がすごく多い。

そうですね。あとどちらも生楽器特有の鳴りがありました。楽器の音が空気に触れ、レコードに刻み込まれている感じがする。その点ではキース・ジャレットのレコードと同じ感覚があって、生楽器1台か生楽器の集合体か、その違いでしかないという。あと、バンドの音は時代性もあるし、録音の流行りもあるけど、ヴァン・モリソンはどういうバンドで歌ってもヴァン・モリソン。声が聞こえた瞬間にそのことを実感します。

──3枚目はトム・ウェイツの「Closing Time」(1973年リリース)です。これも昔からの愛聴盤ですか?

トム・ウェイツ「Closing Time」のアナログレコードを手にする折坂悠太。

もともとCDで持ってたんですけど、鳥取の母の実家にレコードがあって、それをもらってきました。これはいま聴いてみて、ちょっと意外な感じがしました。

──意外?

「Closing Time」ってこうやって挙げるのも恥ずかしいぐらいの名盤中の名盤じゃないですか。バーに行ったらだいたい飾ってあるような(笑)。だから、再生したらどんな場所でもこのジャケットのバーのような空間になるんじゃないかと思ってたんですよ。バーの片隅でトム・ウェイツが歌っているイメージというか。でも、聴いてみたら案外ちゃんとした録音物でした。ちゃんとしたプレイヤーがちゃんとした場所で録っているというか。これはCDで聴いていたときにはわからなかった感覚ですね。

──今まで耳がいかなかったところに耳がいったからこそ得られた感覚?

そうですね。音の距離感、空間性が把握できたからこそわかった感覚なんでしょうね。