Miyako、Sacchan、SORAの「yourself: ATTITUDE」推し曲は?
──皆さんそれぞれ、今回のミニアルバムの制作を振り返っていかがですか?
Miyako プリプロのときに千秋くんから「もっとボーカルを聴いてアレンジして」というワードが出て。今まで聴いてなかったわけではないですけど、歌う人とギタリストでは観点が違うし、もしかしたら今までギターと歌が合ってないこともあったのかなと。今回のレコーディングを通して、そのあたりの向き合い方はかなり変わりましたね。千秋くんに言われないと気付けなかったこともあるし、今後の宝になるんじゃないかなと思える制作でした。
SORA さっき千秋が言ってましたが、みんなで曲を選んだのがまず面白かったですね。候補曲をExcelにまとめて、「〇」「×」を付けて。そういう決め方は初めてだったんですよ。どの曲もデモの段階でかなり完成度が高かったんですけど、そのあとは“これをバンドでやったらどうなるかゲーム”が始まり、僕なりにドラムのアレンジを考えていきました。自分はもともと歌を聴いて曲を覚えるタイプで、「ドラムがうるさいと歌が聞こえないからここは抑えよう」と考えることが多いんですけど、今回は千秋が「ここはガンガン叩いていいよ」みたいなことも言ってて。曲の選び方もそうですけど、よりバンド感を出そうとしたのかもしれないですね。……ただ、やっぱり難しいですね、バンドは。レコーディングのほかにもやんなきゃいけないこともあったし、制作だけやってればいいというわけではないので。
──まだまだ課題はある、と。そんなSORAさんの推し曲は?
SORA 僕は「真宵のメロディー」ですね。
──切ないメロディが印象的なミディアムチューンですね。イントロが長いのもカッコよくて。
千秋 イントロ、長いっすよね(笑)。間奏のギターソロも聴かれない時代に、イントロが1分以上って。
SORA (笑)。これくらいのテンポ感が一番感情が入りやすいんですよ。メロもいいし、千秋からデモをもらって「この曲、こういうアレンジにしたらどうかな」ってすぐに連絡した気がします。
Sacchan 僕はこのあとの47都道府県ツアーも絡めつつ、「たくさん曲を出していきたい」という話をしてたんですよ。もうちょっとフットワーク軽く制作するというか、千秋くんが作ったものが世に出るまでの流れをスムーズにしたくて、そのための方法論を見つけようとしてたところがありますね。新しいエンジニアさんと組んだり、ちょっと実験的な要素もあって。「ここから変わっていくための1枚目」という感じですね、今回のミニアルバムは。楽曲に関して僕は「アダム・ペインを探して」を推していて。ベースラインでも面白いことができたし、もちろんいい曲だなって思ってます。でも、一番思い入れがあるのは「真宵のメロディー」かな。メロディが強いし、グッと入ってくる歌詞がいくつもある。
Miyako 歌詞でいうと1曲目「『変身』」もすごくいいですね。武道館のあとに送られてきた歌詞なんですけど、すぐに共感できて。これは絶対入れるべきだなと思ってました。
──「『変身』」の「僕らはきっと試されてる どう明日を信じ切れるか」というラインはまさに、武道館後のDEZERTのモードそのものですよね。
千秋 それは諸説あって……。
Miyako・SORA・Sacchan (笑)。
千秋 「『変身』」は僕も大好きな曲なんですけど、もともとは「こういうの、みんな好きっしょ」みたいなテンションで作ったんですよ。ちょっと打算があるというか。なので、まずは音だけ送って、メンバーとスタッフの様子を見て。そこで「いいじゃん」となったので、歌詞を書き始めました。「『変身』」というタイトルは最初から決めてて、ちょっとエンタテインメント的な部分がある曲だけど、歌詞は攻撃的だったり言葉遊び的なものではなくて、今の俺の日記というか……。
──すごく率直ですよね。
千秋 核心を突くようなことも言っちゃってますからね。結果的にミニアルバムのリード曲っぽくなったので「だったらもっと違うサビのほうがよかったかな」と思いつつ、武道館のあとのリスタートがこの曲で始まるんだったら文句ねえだろうと。
──2曲目の「はい!少女」はアレンジがかなり独創的ですね。
千秋 去年、新しいプラグイン(ソフトウェア音源)を買って、それを使って曲を作ってみたんですよ。自分としては「この曲も選ばれるんだ?」という感じだったんだけど、みんな「いいじゃん」って言ってくれたのはうれしかったですね。
──ライブ映えもしそうだし、いろんな見せ方ができる曲じゃないですか?
千秋 そうだと思います。ただ、「絶対ライブで盛り上がるよね」と思ってた曲が案外そうでもなかったりするので。DEZERTには「『変態』」って曲があるんですけど、ライブに特化するつもりで作ったのに「意外とムズいな」みたいになって。
Miyako 最近あんまりやってないね(笑)。
千秋 そう(笑)。なので「『変身』」も実際にやってみないとわからないです。お客さんの反応が楽しみですけどね。
DEZERTのスタンスを刻んだタイトル
──「yourself: ATTITUDE」というタイトルはどうやって決めたんですか?
千秋 これも全員で決めましたね。「ATTITUDE(態度、姿勢)」は以前から存在していたテーマで。お互いに目標は共有しているんだけど、「そこに向かってお前は何をやるんだ?」という。大事なのはそこだけで、ほかのことには触れないほうが僕はバンドとしてうまくいくと思ってるんですよね。「なんで売れたいのか?」ということに対する答えもそう。「モテたい」みたいな年齢は過ぎたし(笑)、うまく言語化できないんだけど、「進んでいく中で答えが見えてきたらいい」というのも僕らの姿勢なんです。足並みをそろえるのではなくて、それぞれが答えを探して、考えながらやっていくのが楽しいよなと。
──なるほど。
千秋 “yourself”については、僕らのライブのスタンスとして、集団としての観客に対して演奏するんじゃなくて、たった1人に向けてやるというのがあって。武道館でも“あなた”に向けて歌うというテーマが自分の中にあったし、今回のミニアルバムにもそれを入れたかったんです。「Live Yourself」というタイトル案もあったけど、「自分自身を生きろ」ってサムいじゃないですか。DEZERTっぽくないし。なので「こういうイメージなんだけど、みんなで考えない?」と共有して、最終的に「yourself: ATTITUDE」になりました。
SORA 俺も1個タイトルの候補を言った気がするけど……忘れました。
千秋 SORAくんのは少年マンガみたいなタイトルだったんですよ(笑)。
SORA 思いついたことは言ったほうがいいなと。さっき千秋が「DEZERTっぽくないから」みたいなこと言ってましたけど、そういう概念は捨てたほうがいいと思ってるんですよね。
千秋 それ、ずっと言ってるよね。モテる男の言い分だと思うけどね、それは。
SORA よくわかんないけど(笑)。DEZERTらしくなかったとしても、「千秋が言ってるんだから、何か意味があるんだろう」とファンは思うはずなんですよ。まったくDEZERTを知らない人は何も思わないだろうし、だったら好きなようにやればよくない?って。千秋の言う「らしさを守りたい」というのもわかるし、そこはせめぎ合いですけどね。そういうことも、47都道府県ツアーの中で話し合っていけたらいいなと思ってます。
ワクワクできるのは“47”しかない
──ミニアルバムのリリース後は全国ツアー「DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR '25-'26 “あなたに会いに行くツアー”」がスタートします。初の47都道府県ツアーですね。
千秋 誰がやろうと言い出したのか、自然にそうなってしまったのか……ただ、「これしかないか」という感じだった気もしますね。僕はもともと「47都道府県ツアーはやりたくない」ってファンにも公言してたんですよ。そんなツアーをやったらプロモーションできなくなるし……。でも、制作スタッフから「47都道府県ツアーやりましょう」という意見が出て、SORAくんが「やりますか」って言っちゃった。で、僕、みーちゃん(Miyako)、Sacchanは頭を抱えるという(笑)。
SORA いや、どちらかというと俺が「やろう」って言ったんだよ。武道館のあとファンは次の発表を待ってるわけじゃないですか。ワクワクできるのは“47”しかないなと。で、千秋とも焼き肉屋で話して「やっぱりそれしかないか」ってなったじゃん。
千秋 そうだった。でも、Sacchanはまだ参加するか決めてないんでしょ?(笑)
Sacchan まだ始まってないから、なんとかなると思ってます。
千秋・Miyako・SORA ハハハハハ!
Sacchan いや、もちろんやりますけどね(笑)。
千秋 正直、心配もあったんですよ。行ったことがない場所もけっこうあるし、どれだけお客さんが来てくれるのかわからないので。でも、チケットの売れ行きがよくて、今までのツアーよりも動員が多いんですよ。「みんなも期待してるじゃん」って思ったし、モチベはかなり最高潮になってますね。最近のライブでもいろんなことを試しているし、歌の練習もしてて。1本1本いいライブを見せられる状態まで詰めていきたいし、リップサービスではなく、すごく楽しみです。
Miyako 僕は武道館以上に重きを置いている感じもあります。47都道府県ツアーは初めてだし、日によっては「出し切れなかったな」ということもあると思ってて。これまでもツアーのたびに成長できたと思っているし、今回も自分に向き合いながらやっていきたいですね。ライブハウスならではのぶつかり合い、熱量も見せたいし、気が引き締まる思いです。
Sacchan 今年はまだDEZERTのメインの活動に入れていないと思っていて。イベントのライブも全部本気でやってますけど、DEZERTの本質的な活動というか、「今年はこれです」というのはミニアルバムと47都道府県ツアーだと思ってるんです。ツアーの中で武道館の感想もまとまってくるだろうし、この先のことも見えてくるんじゃないかなと。そういう期待もありますね。
千秋 ……考え方が完全に部活なんですよ、ウチのバンドは。
──部活?
千秋 僕はバスケ部だったんですけど、公式戦だけじゃなくて、1本1本の練習試合も大事なんですよね。当たり前ですけど。武道館は言ってみたら初の全国大会だったんです。優勝なんて絶対ムリだけど、まずは全国大会まで行ったと。で、ここからさらにレベルを上げるためには練習するしかなくて。誤解を恐れずに言うと47都道府県ツアーは練習試合なんだけど、もちろん1公演も負けていいわけはなくて、1本1本全部本気でやらなくちゃいけない。そこはキャプテンとして「準備を怠るんじゃねえぞ」って引き締めていけたらなと。
SORA (笑)。
千秋 もちろんメンバーへの信頼もありますよ。俺が点を取らなくても、ほかのヤツらが取ってくれるという、赤木の気持ちです(笑)。
──「スラムダンク」の赤木剛憲ですね(笑)。しかも8月2日にはDEZERTの企画イベント「SUMMER PARTY ZOO 2025」もあって。こちらはSORAさんが中心となって進めてるんですか?
SORA はい。いろいろありますけど、楽しく準備してます。
千秋 もうフル稼働ですよ。
SORA “47”向けに会場限定CDも作りますからね。
千秋 意味わかんないっすよね。
SORA ミニアルバムに入らなかった曲なんですけど、あえて分けた意味もあるし、ちゃんと“額”に入れてお客さんに渡したほうが伝わるんじゃないかなと。曲の内容もそうだし、ジャケットも含めて、ライブに来てくれるファンには届くはずだと思ってます。さっき千秋が“練習試合”って言ってたけど、その成果がどれくらい出たのかを確かめたいし、どんどん経験値を積まないと。8月のイベントもしっかり楽しい場にしたいし。忙しいのはありがたい話ですね。あとはケガしないように。
千秋 そうね。4人いるから1人くらいは体調がよくなかったりするんだけど、大丈夫でしょ。まあ、がんばりますよ。
公演情報
DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR '25-'26 “あなたに会いに行くツアー”
- 2025年6月14日(土)千葉県 千葉LOOK
- 2025年6月15日(日)埼玉県 EASYGOINGS
- 2025年6月21日(土)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- 2025年6月22日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2025年6月28日(土)山口県 LIVE rise SHUNAN
- 2025年6月29日(日)広島県 Live space Reed
- 2025年7月2日(水)岡山県 PEPPERLAND
- 2025年7月3日(木)兵庫県 神戸VARIT.
- 2025年7月5日(土)徳島県 club GRINDHOUSE
- 2025年7月6日(日)香川県 高松MONSTER
- 2025年7月12日(土)佐賀県 SAGA GEILS
- 2025年7月13日(日)長崎県 DRUM Be-7
- 2025年7月19日(土)山形県 山形ミュージック昭和Session
- 2025年7月20日(日)宮城県 darwin
- 2025年7月26日(土)富山県 Soul Power
- 2025年7月27日(日)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2025年9月7日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2025年9月12日(金)北海道 SPiCE
- 2025年9月13日(土)北海道 SPiCE
- 2025年9月15日(月・祝)青森県 青森Quarter
- 2025年9月20日(土)福岡県 DRUM Be-1
- 2025年9月21日(日)熊本県 熊本B.9 V2
- 2025年9月23日(火・祝)大分県 DRUM Be-0
- 2025年9月27日(土)滋賀県 滋賀U★STONE
- 2025年9月28日(日)京都府 磔磔
- 2025年10月4日(土)秋田県 Club SWINDLE
- 2025年10月5日(日)岩手県 Club Change WAVE
- 2025年10月11日(土)高知県 X-pt.
- 2025年10月12日(日)愛媛県 松山サロンキティ
- 2025年10月18日(土)三重県 CLUB ROOTS
- 2025年10月19日(日)岐阜県 岐阜club-G
- 2025年10月25日(土)新潟県 studio NEXS
- 2025年10月26日(日)群馬県 前橋DYVER
- 2025年11月22日(土)奈良県 奈良NEVER LAND
- 2025年11月23日(日・祝)和歌山県 和歌山CLUB GATE
- 2025年12月6日(土)山梨県 KAZOO HALL
- 2025年12月13日(土)宮崎県 LAZARUS
- 2025年12月14日(日)鹿児島県 SR HALL
- 2026年1月5日(月)東京都 新宿LOFT
- 2026年1月6日(火)東京都 新宿LOFT
- 2026年1月10日(土)福井県 福井CHOP
- 2026年1月11日(日)石川県 Kanazawa AZ
- 2026年1月17日(土)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
- 2026年1月18日(日)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2026年1月24日(土)島根県 松江AZTiC canova
- 2026年1月25日(日)鳥取県 米子AZTiC laughs
- 2026年1月31日(土)静岡県 LIVE ROXY SHIZUOKA
- 2026年2月1日(日)神奈川県 新横浜 NEW SIDE BEACH!!
- 2026年2月14日(土)沖縄県 桜坂セントラル
DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2025
2025年8月2日(土)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
<出演者>
MUCC / AKi / DEZERT / 野薔薇団-今宵は乱れ咲け!- / VISUAL杉並~So...90s あの頃の僕らは~ / SONIC DIVE / YOSHIAKI with Friends~そして輝くウルトラサマーセッション~ / Kenにまつわるエトセトラ~シーズン2~
プロフィール
DEZERT(デザート)
2011年に結成された千秋(Vo)、Miyako(G)、Sacchan(B)、SORA(Dr)による4人組ロックバンド。2012年に音源を発表し始め、2013年8月に1stアルバム「特製・脳味噌絶倫スープ~生クリーム仕立て~」をリリースした。2013年にはhideのトリビュートアルバム「hide TRIBUTE III -Visual SPIRITS-」で「D.O.D.(DRINK OR DIE)」をカバー。2017年にはMUCC、D'ERLANGERのトリビュートアルバムに参加している。2018年8月にMAVERICK DC GROUPのレーベル・MAVERICKよりアルバム「TODAY」を、2021年7月にアルバム「RAINBOW」をリリースした。2022年6月には初の東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)単独公演を実施。2024年1月にアルバム「The Heart Tree」で日本クラウンからメジャーデビューを果たし、同年12月に初の東京・日本武道館単独公演を開催した。2025年6月にミニアルバム「yourself: ATTITUDE」をリリース。同月より初の47都道府県ツアーを行う。
※本文中の「『変身』」「『変態』」「DEZERT SPECIAL ONEMAN LIVE at NIPPON BUDOKAN『君の心臓を触る』」の『』は一重カッコが正式表記。