DEZERT|バンドとしての“正解”を探して 現状打破したい4人の葛藤

レコーディングどころではなかった

──SORAさんとSacchanさんの音がDEZERTサウンドのベースを作ってる部分はあると思いますけどね。「Stranger」はメロディも上モノもキレイだけど、このリズム隊がいるからこそ独特な“ワルい空気”が出てる。

千秋 ハードコアな雰囲気なんだよね。

SORA 本当にそうなんですよ。僕も最近、聴く音楽が変わってきてるんですけど、心はハードコアのままで。

──Sacchanさんはレコーディングで意識したことはありましたか?

Sacchan えっと、個人的にベースのレコーディングどころではなくて……。

──え?

Sacchan このバンドは今、配信を始めたことでたくさんの人に聴いてもらえるようになったわけで。そういう人たちにきちんと自分たちの音楽を伝えるためには、まずはレコーディングに関わってる人たち全員に伝えられないといけねえなと最近思い始めて、そこをクリアするためにはどうしたらいいんだろうと考え出したら……それどころではなくて。さーせん(笑)。

──あはは!(笑)

Sacchan 演奏のボトムを支えるよりも、人間関係のボトムを支えるにはどうしたらいいのかっていうのが先にきちゃったんです。

2月13日に東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催された「『study』#6」の様子。

考えて考えてカッコよくなりたい

──表には出ないですけど、バンドを運営するのは大変ですよね。

Sacchan 最終的には芸術になるので、作ってる過程が見えない人たちにとっては感性とかセンスの部分が見えるんだろうけど、そこに至る過程はけっこう緻密というか。さっき言ってた数学的なこともそうだし、根本には対人関係があって。例えば、レコーディングに関わる人たちが朝起きたときのコンディションによってその日の音が左右されるところもあるので、今言ったようなことがすべてうまくハマったときに初めて純粋な音楽になるんだというところに僕の中で落ち着いちゃって。だから、できあがりのイメージと実際に完成したものがブレないためにはどうしたらいいのかを突き詰めるのが今後のテーマですね。

──ということは、今後のDEZERTは自分たちをもっと追い込んで、新たな“公式”を探してから次へ臨むという感じですか?

千秋 その通りです。そのうえでどうなりたいかという具体的な答えは出てないけど……カッコよくなりたい。自己満じゃなくて、客観的に見てカッコよくなりたい。自分たちに対して常に客観的でいたいんです。

──それは難しいですね。

千秋 難しいですよ。例えば、昔の自分の歌い方ってネチネチしてて鼻につくんですよ。当時は最強だと思ってたけど、客観的に聴くと最強ではない。「TODAY」も今、客観的に聴くとツッコミどころがいっぱいあるけど、作ってるときは主観的だから気付かなかった。だから客観的な視点を持ちたいんです。それがのちに自分たちのアイデンティティになり、センスにもつながると信じてるので。感覚だけでパッと作れる人もいるだろうけど、俺らにそれはできないから、考えて考えてカッコよくなりたい。ライブ、音源、アートワーク、すべてにおいて。今もそういう方向には向かってると思うけど、まだすごく時間がかかると思うので、これを読んだ人は長い目で見守ってほしいです。

──DEZERTって一筋縄でいかないバンドですよね。

Sacchan(B)

千秋 うちらはある意味、ドキュメンタリーだもんね。

SORA バンドとして素敵なんですよ。俺、いつも調子がいいバンドよりも、めっちゃストーリー性のあるバンドのほうが好きなんですよね……って「ボヘミアン・ラプソディ」を観て思いました。

千秋 単純だな(笑)。全世界の人がそう思ってるよ。うちのメイクさんも同じこと言ってたよ!

SORA いやいや、俺はそのことを再確認したんだよ。Queenは映画になったことでたくさんの人にその魅力がわかりやすく伝わったけど、DEZERTは見てればすぐわかると思うから。もちろん、「俺らはいつでも最強」みたいなバンドを見るのが好きな人もいるだろうけど、そういうのをつまらなく感じる人もいるのかなって。

千秋 ほら、映画に出てくるヒーローって、最強だけどちょっと弱いところがあったりするじゃん。

SORA そう。ゲームも同じだと思うんですけど、マリオが最初から無敵状態だったら面白くないじゃないですか。だからバンドに限らず、感動できるものにはそういう要素が必要なのかなと思ってて。実際、俺はライブをやってるとテンションの上がり下がりがすごくあるんだけど、「今はそういう時期なんだろうな」と客観的に見られるようになったんですよね。そう思うようになってからは音楽を学ぶことがより楽しくなったし、DEZERTのドラマーとしてこれからももっとがんばりたいと思うようになりました。

──バンドの生き様を見てるのは面白いですよね。

SORA そうなんです。もし、DEZERTを知ってる人が「SORAくんってどんな人?」と聞かれたときに、「あいつのドラムは、パーンドーンボーン!って感じで半端ねえぞ」と説明してもらってもいいんですけど、実際の俺はそれだけではないから。そのことをもっと説得力のある形で伝えられるようになりたいです。

千秋 俺も人に聞かれたことあるよ、「SORAくんってどんな人?」って。なんて答えたと思う?

SORA え、わかんない。何?

千秋 インスタグラマー。

SORA ああ……最近、インスタにハマってまして(参照:DEZERT SORA (@dezert_sora)|Instagram)。まずはメンバーにドラマーと認識してもらえるようにがんばります(笑)。

ライブ情報

DEZERT 2019 TOUR “血液がない!”
  • 2019年4月19日(金)東京都 日本橋三井ホール
  • 2019年5月3日(金・祝)北海道 札幌サンプラザ
  • 2019年5月6日(月・祝)新潟県 新潟市音楽文化会館
  • 2019年5月8日(水)宮城県 仙台銀行ホール イズミティ21 小ホール
  • 2019年5月10日(金)愛知県 名古屋市芸術創造センター
  • 2019年5月11日(土)大阪府 エル・シアター
  • 2019年6月1日(土)岡山県 さん太ホール
  • 2019年6月2日(日)福岡県 都久志会館
  • 2019年6月22日(土)東京都 日本橋三井ホール