デノン「AH-C820W」×荒井岳史(the band apart)|Bluetoothイヤフォン初体験レポート、印象に残る“自然な音”

デノンの新製品、ネックバンド型ワイヤレス・インイヤー・イヤフォン「デノン AH-C820W」が1月下旬に発売される。本製品は低音再生の常識を覆した特許取得の新方式ドライバー「ダブル・エアーコンプレッション・ドライバー」を搭載したデノンのフラッグシップ機種。長時間のリスニングでもストレスを感じない人間工学に基づいたデザインが採用されたユーザーフレンドリーなモデルに仕上げられている。音楽ナタリーでは、ワイヤレスイヤフォンを初めて手にしたというthe band apartの荒井岳史(Vo, G)に「デノン AH-C820W」を試してもらい、その使い心地を聞いた。

取材・文 / 田中和宏 撮影 / 須田卓馬

AH-C820W オープン価格
デノン AH-C820W
  • 形式:ダイナミック型
  • ドライバー:11.5mm ダブル・エアーコンプレッション・ドライバー
  • 再生周波数帯域:4 - 22000Hz
  • 最大出力音圧レベル:100dBA
  • Bluetooth規格:Bluetooth Ver. 5.0
  • 連続再生時間:約10時間
  • 質量:72g
  • 付属品:かんたんスタートガイド、USB ケーブル(1.3 m)、シリコンイヤーチップ (S / M / L / Long S / Long M)、セミハード・キャリングケース

小さな音量でも音源の全体像がよくわかる

荒井岳史(the band apart)

──まず「デノン AH-C820W」を試していただいた感想を聞かせてください。

お恥ずかしい話なんですけど、Bluetoothのイヤフォンを使ったことがなくて、今回初めて手にしました。「設定とかが難しくて大変なのかな?」というイメージが少なからずあったんですけど、実際試してみたら煩わしさは全然なくて。セッティングが済めばすぐに使えるので、スマホを持っていればすぐ使えるなって。

──Bluetoothイヤフォン初体験とのことですが、サウンド面はいかがでしたか?

さすが最高峰のオーディオメーカーが作っただけあって、完成度の高いイヤフォンだと思いました。シチュエーションに合わせて音量を小さくしたり大きくしたりして使ってみたんですが、どちらでも音源の全体像がよくわかるなあと。

──ドライバーは11.5mm口径のダイナミック型ドライバーが向かい合わせに配置されています。音を伝える振動板の面積がコンパクトながらも広いのがこのモデルの特徴で、この構造によって音圧を稼げているとのことです。

荒井岳史(the band apart)

確かに小さい音でもレンジ感が損なわれていませんでしたね。低音もけっこうしっかり鳴ってるんですけど、とても自然なふくよかさというか。イヤフォンでもスピーカーでも音量を上げると、ある部分の帯域が耳に痛く感じたり、異常にローが出ていたりするものがあるんですけど、「デノン AH-C820W」に関してはそういったことが全然なかったので、それがこの製品の魅力なのかなと。音質をごまかすためにどこかの帯域を強調していると、それ以外の帯域が犠牲になるので、だんだん大げさな音になってくるみたいな。そういう誇張がなくて、レンジのバランス感が絶妙でした。

着けてることを忘れるほどフィットしたネックバンド

──「デノン AH-C820W」のデザインや、使い心地について聞かせてください。

長時間着けっぱなしで音楽を聴いたり、映画を観たりしてみたんですけど、全然疲れない。街中でネックバンド型のイヤフォンをしている方を見かけたとき、ネックバンドが重くて、使い心地がよくないんじゃないかと思っていたんです。だけど思っていた以上に装着感がなくて、言うならば着けてるのを忘れちゃうくらい。理にかなったデザインなんだと使ってみて知りました。

──具体的にはどういったシチュエーションで使いましたか?

荒井岳史(the band apart)

家で落ち着いてるときとか、電車に乗っているときとか。遮音性はイヤーチップにもよると思うんですが、本当に外の音がまったく聞こえないってこともなくて、ちょうどいい感じ。

──もともとイヤフォンへのこだわりはあるほうなんですか?

いや、けっこう無頓着なほうです(笑)。いくつか持ってますけど、普段使っているのはいわゆるスマートフォン付属の純正イヤフォンで。比べると自分が今まで使っていたのはけっこうドライ寄りだったり、ローが強めなことに気が付きました。で、「デノン AH-C820W」はダントツでナチュラルなのに決してローが弱いわけではないんですよね。音源に対しての再現度が高いのかな。聴いているうちに、作り手の意図を想像してしまうような瞬間もありました。

──最近はサブスクリプション型音楽配信サービスなどが普及してきていますが、荒井さんはアーティストとして、音源のフォーマットについて思うことはありますか?

「最高のオーディオ環境で聴いてほしい」みたいなこだわりはないですね。もちろん自宅でじっくり腰を据えてCDを聴いてくれる方も中にはいると思うんですけど、多くのリスナーはスマホで聴くことがほとんどだと思うので、むしろ作る側としての基準も大多数の再生環境に寄せたミックスになってきているような感じがします。僕もスマホとイヤフォンの組み合わせで、どう音源が響くかは気になることでもありますし。