ナタリー PowerPush - 電気グルーヴ
アグレッシブに本格再始動 本人出演CMソング「SHAMEFUL」
ネットの声に建設的な意見はほとんどない
──ファンが電気グルーヴに求めているものも、人によってずいぶん違うでしょうしね。
卓球 そこはいろいろあるよね。見当違いなものも含めて。
瀧 それこそ「昔の3人いた頃の電気が最高です」っていう人もいるだろうし「レイヴっぽい感じの電気が最高です」っていう人もいるだろうし。こんだけ長くやってると、そこにマッチするものを考えても無駄っていうか。
卓球 「とにかくめちゃくちゃやってくれ」っていう人もいるしね。「テレビに出たらおちんちんくらい出せよ」とかっていう。
──あはははは(笑)。
瀧 「なんだおちんちん出さねえのか」みたいな。
卓球 「守りに入りやがって」って(笑)。
瀧 いるよね、そういう素朴な人(笑)。「最近丸くなったな」だって。
卓球 しかも昔と違って今はネットがあるからお客さんの声も結構こっちに入ってくるでしょ。Twitterとかやってるとバカな意見もたくさんあって(笑)、「バカだなーこいつ」ってガンガンブロックするんだけど。そしたら別のアカウントから「なんでブロックしたんですか」って来るんだよ。
──あはは(笑)。
卓球 そんなんだからブロックするんだっつーの。
──ネットの意見にいちいち左右されても仕方ないですしね。
卓球 建設的な意見はほぼないよね。
瀧 「瀧さん、今度城下町探訪の番組をやるらしいじゃないですか。甲冑にフルチンで歩いてくれますよね!」って。
──無理ですよね(笑)。
瀧 それで「なんだ普通に出てる」「丸くなりやがった」って言われるんだから。そんなファンキーな番組ないっつーの。
卓球 あったら観るけどね。
──でもファンの声は気にしないと言いつつも、電気グルーヴは自分がやりたいことしかやらない孤高のアーティスト、という感じでもないですよね。
卓球 その中間ですよね。
瀧 ファンを完全に置き去りってわけでもなく。例えばフェスに出たときにマニアックな曲とか新曲ばっかりやっててもしょうがないし、そこは臨機応変に、相手が求めてるものがあって、電気グルーヴとして応えられるものがあれば応えるっていう感じだと思いますけど。
電気グルーヴが自分の仕事
──ところで電気グルーヴ以外の場所での瀧さんの活動が、電気グルーヴに還元される部分っていうのはどのくらいあるんですか?
瀧 まあゼロってこともないかな(笑)。
卓球 逆に瀧が外で痛い目に遭えば遭うほど、電気のほうにエネルギーが回ってくるっていうかね(笑)。そっちで満足しちゃうとあんまりこっちに回ってこないんで。
──「やっぱり電気はいいな」って感じます?
瀧 難しいこと言わないしね。
──瀧さん、先日は「anan」のインタビューも受けてましたね。
卓球 「anan」のインタビューとか出てるの? やりたい放題だなおまえ(笑)。
瀧 やりたい放題だね。
卓球 「anan」の読者がおまえの話を読みたがってるとも思わないんだけど。
瀧 そんなの俺が一番わかってるよ。どうかしてんな「anan」っていう(笑)。
──最近は瀧さんを俳優として認識している人も多いでしょうしね。
瀧 別にそんな役者になろうと思ってるわけでもないですけどね。ただ電気が稼働してないときに暇だから。
──あはは(笑)。
瀧 暇なときにちょうど依頼があるから「じゃあやります」っていうくらいなんですけどね。
卓球 役者の人に失礼だよね。
瀧 俺もほんとそう思う。
──でも連続ドラマへの出演は単純に時間も取られるし、役作りなどたいへんなところもあると思うんですが。
瀧 まあでもレコーディングに比べれば忙しくないしね。スケジュールが空いてるからやるっていう。で、聞いたらお金くれるっていうじゃない。
──まあ、くれるでしょうね(笑)。
卓球 「そこに山があるから」みたいな感じだ。「そこにスケジュールの空きがあるから」(笑)。
──逆に卓球さんは電気グルーヴで音楽制作をする際に、瀧さんの個人活動からインスパイアされる部分もありますか?
卓球 ないですね。あっちゃ困る(笑)。
瀧 電気グルーヴでしか味わえないことってのがやっぱりあるしね。
──瀧さんの中では、やはりどこまでいっても電気グルーヴがメインであると。
瀧 まあ役者だテレビだっていう仕事は、極端に言うと自分の仕事じゃないっていうか、ほかの人が編集したりして、最終的な形には自分で責任持てないですからね。その点、電気グルーヴはね、自分の仕事というか自分のものだっていう意識がある。そこは全然違いますよね。
電気グルーヴ(でんきぐるーぶ)
前身バンド・人生での活動を経て、石野卓球とピエール瀧を中心に1989年結成。テクノ、エレクトロを独特の感性で構成したトラックと、破天荒なパフォーマンスで話題になる。1991年にアルバム「FLASH PAPA」でメジャーデビューを果たし、同年に砂原良徳が加入(1998年に脱退)。1990年代の音楽リスナーに本格的なテクノを啓蒙する役割を担いつつ、1994年の「N.O.」や1997年の「Shangri-La」などではシングルヒットも記録する。2001年から2004年の活動休止期間を経て、2005年にはスチャダラパーとのユニット「電気グルーヴ×スチャダラパー」としても活動。その後、2008年にアルバム「J-POP」「YELLOW」、2009年に結成20周年記念アルバム「20」を立て続けにリリースし、その存在感を見せつけた。2011年4月にはベストアルバム「電気グルーヴのゴールデンヒッツ~Due to Contract」とPV集「電気グルーヴのゴールデンクリップス~Stocktaking」を同時リリース。2012年4月にニューシングル「SHAMEFUL」を発表した。