ナタリー PowerPush - 電気グルーヴ
アグレッシブに本格再始動 本人出演CMソング「SHAMEFUL」
電気グルーヴでしかできないことがある
──今回は久々のリリースですが、思えば2008~2009年には「J-POP」「YELLOW」「20」とオリジナルアルバム3枚をリリースして、精力的に活動していたんですよね。
卓球 うん、2年くらいの間に3枚出したんだから十分でしょ。
瀧 ずっとそのペースでいくわけがないじゃんっていう(笑)。3枚作ったし、ちょっとペース落とすかって言ってたら単純に3年くらい経ってたってだけの話で。
卓球 だから今回、そんな久々って意識もなかったんだけどね。
──そろそろ電気グルーヴでやろうか、という話はしていたんですか?
卓球 CMの話の前に電気の曲は作り始めてたからね。いくつか曲はあったんですよ。
──そもそも今年、電気グルーヴとしてがっつりやろう、ということになったのはどうしてなんでしょうか?
卓球 気分かなあ。そういう気分だったとしか言いようがないよね。まあきっかけはいくつかあるけど、やっぱり個人の仕事だけやってると、別のこともやりたくなって、空いた時間で歌モノ作ったりとか。それがいくつか貯まってきたときにぼちぼち電気やろうかみたいな感じになるのかな。
──なるほど。
卓球 それに電気グルーヴでしかできないことっていうのはあるからね。
瀧 電気グルーヴじゃないと成立しない規模の仕事とか。依頼する人が、電気グルーヴの名前が欲しいっていうのもあるんだろうしね。
「小売店スタイル」ではなく「工場スタイル」
──例えばファンに求められてるから活動しなきゃ、という意識もありますか?
卓球 ファンはあんまり関係ないかな。
──そういうものですか。
卓球 少なくともうちらはそういう感じじゃないよね。
瀧 ファンの人を意識して制作するのは「小売店スタイル」っていうか、目の前にお客さんがいて、その人に商品を手渡すみたいな感覚だと思うんだけど、電気グルーヴはもっと「工場スタイル」で。お客さんと対面してるっていうより、こっちが気に入った製品を出して「これどうかな?」っていう感じだから。
卓球 お客さんのムードに左右されたくないっていうのはあるね。
瀧 リリースしたものがお客さんに受け入れられることに越したことはないけども、受け入れられるためにうちらが変わる必要はないっていう。
卓球 こっちもそこまで器用じゃないからね。お客さんに求められてるものがわかってそれに応えてやったところで、そこに喜びを見出せない。
瀧 新しい発見は少なそうだよね。
卓球 お客さんたちに対しても「そんなんでいいの?」って思うしね(笑)。野放しにしといたほうがお互いのためですよって。
──確かにそうかもしれませんね。
瀧 元々特殊なバンドだからね。その特殊さが商品価値になってるんだから、お客さんに合わせた商品を作っても、っていう気がする。
電気グルーヴ(でんきぐるーぶ)
前身バンド・人生での活動を経て、石野卓球とピエール瀧を中心に1989年結成。テクノ、エレクトロを独特の感性で構成したトラックと、破天荒なパフォーマンスで話題になる。1991年にアルバム「FLASH PAPA」でメジャーデビューを果たし、同年に砂原良徳が加入(1998年に脱退)。1990年代の音楽リスナーに本格的なテクノを啓蒙する役割を担いつつ、1994年の「N.O.」や1997年の「Shangri-La」などではシングルヒットも記録する。2001年から2004年の活動休止期間を経て、2005年にはスチャダラパーとのユニット「電気グルーヴ×スチャダラパー」としても活動。その後、2008年にアルバム「J-POP」「YELLOW」、2009年に結成20周年記念アルバム「20」を立て続けにリリースし、その存在感を見せつけた。2011年4月にはベストアルバム「電気グルーヴのゴールデンヒッツ~Due to Contract」とPV集「電気グルーヴのゴールデンクリップス~Stocktaking」を同時リリース。2012年4月にニューシングル「SHAMEFUL」を発表した。