生涯えいたそを本気で続けるために

──ここで改めて卒業を決めた理由について話してもらえたらと思います。「一生でんぱ組.incでいたい」と言っていたえいたそに、どんな心境の変化があったんでしょうか？

成瀬　もちろんいろいろな要素があって決めたんですけど、まず一番は生涯えいたそを本気で続けるためにどうするか？ということですね。私は一生でんぱ組.incのメンバーでいようと思ってたし、これまでのインタビューとかでもそう言ってたと思うんですけど。

──「100歳になってもでんぱ組.incでいたい」と話してましたね。

成瀬　その頃はねむきゅんや（最上）もがちゃんもいて、そのままの形ででんぱ組.incが続いていくと思ってたんですよね。ちょっと頑固に考えてたところもあったかもしれない。でもそのうちグループの形が変わって、ぺろちゃん（鹿目凛）、ねもちゃん（根本凪）に出会ったりもして、新しい風が入ることで別の魅力が生まれたりするんだなって気付いたのが本当にこの3年くらい。だから何かこれだっていうきっかけがあったわけじゃないけど、徐々にそういう気持ちが積み重なって、変化するのもいいなと思うようになって。ソロでやってみたいという気持ちはもともとあったし、ソロとでんぱ組.incの兼任は私には無理だと思ってたので、成瀬瑛美としての活動に集中する未来のことを考えて、それで1年半前ぐらいにみんなに卒業の話をしました。説明へたくそだけど伝わるかな？（笑）

──よくわかります。みりんさんは卒業の話を聞いてどう思いましたか？

古川　出会った頃からソロでやりたいって話はよく聞いてたので特に驚きはしなかったですね。だから「絶対辞めないで」みたいな感じではなかったです。別にでんぱ組.incがイヤになったわけじゃないのもわかってたし、えいたそなりに未来のことをいろいろ考えた結果なんだろうと思ったので。

成瀬　うん、これからもでんぱ組.incと同じ事務所でやっていくし、いつでもでんぱ組.incの力になれるようにって考えてるからね。もしイベントとかで人数が必要になったら駆けつける！

──これまででんぱ組.incをやりながら声優や舞台などいろいろな活動をしてきましたが、今後ソロでやりたいことはありますか？

成瀬　けっこうなんでもやりたい派ですけど一番はやっぱりライブ。歌うことですね。

──それはアニソンシンガーとして？ それともいろんなジャンルで幅広くやっていくイメージでしょうか？

成瀬　幅広くやりたいですね！ ラップの番組（テレビ朝日系「フリースタイルティーチャー」）で優勝できたのでラッパーとしてもがんばりたいです。

──あの優勝はすごかったですね。

成瀬　奇跡ですよ奇跡！ 番組で「音楽的センスが抜群だ」みたいに褒めてもらえたんですけど、それはたぶんでんぱ組.incの楽曲を歌い続けてきたからだと思います。みりんちゃんもあれ出たらたぶんいけると思うんだよね！

古川　あ、私は大丈夫です！

成瀬　そんなー！（笑）

──あとは声優の仕事も増やしていきたいところですよね。

成瀬　はい、今は演技のレッスンを受けてます。今までやらせていただいた役はけっこう素に近いまま演じてたところがあったんですけど、もっといろんな人間を演じるならイチから演技を学んだほうがいいなと思って。声優の仕事は80歳、90歳になってもできると思うので、ここで地盤を固めて将来は野沢雅子さんくらい長く活動したいですね。

えいたそがいなければ「でんでんぱっしょん」はなかった

──これはみりんさんに聞きたいんですが、もしえいたそがでんぱ組.incに加入していなかったらどうなっていたでしょう？

古川　そうですね、楽曲の方向性はだいぶ違ってたんじゃないかな。やっぱりえいたその声が印象的な部分が多いので。それがなかったらたぶん「でんでんぱっしょん」みたいな曲は生まれてなかったかも。

成瀬　えいたそが入る前はもっと華麗な美少女ユニットというかさ、楽曲も「Mirror Magic?」とか「Kiss+kissでおわらない」みたいな感じだったもんね。

古川　それまでは「電波ソング」と言われてたけど、えいたそが入ったことで「でんぱ組.incの萌えキュンソング」という新しいカテゴリーができた気がしてて。それはえいたその声の強さのおかげですね。それがなかったらでんぱ組.incの歌は根底から違うものになってたと思います。やっぱりえいたそ、歌めっちゃうまいんですよ。

成瀬　うれしい！

──歌唱面以外ではポジティブなキャラクターの魅力も大きいですよね。

成瀬　もふくちゃんにスカウトされたときに「えいたその声とキャラはでんぱ組.incが売れるのに絶対必要だから入ってくれ」って言われたの覚えてます（笑）。

古川　そういう対外的なイメージももちろん大事なんですけど、私はえいたそがすごいのはグループ内でなんでも話を聞いてくれるところだと思ってて。

成瀬　聞くよー！（笑）

古川　あはは（笑）。本当にどんなしょうもない話でもたそちゃんは全部拾ってくれるんです。私だったら返事しないようなことでも「そうだね、そうだね！」みたいな感じでいつでもすごく優しくて。だからえいたそ＝明るいってイメージ持ってる人が多いと思うけど、この人は実はめっちゃ優しい。そういう面があることをここで声を大にして言っておきます！

──えいたそは確かにいつも明るくて、でんぱ組.incの太陽みたいに言われることが多いですが、世間で言ういわゆる“陽キャ”ではないですもんね。

成瀬　絶対に違いますね（笑）。

古川　やっぱり根っこがオタクですからね。

成瀬　自分自身しょうもない人間で常に社会の底辺だと思って生きてるから。

──だからこそ人に優しくできるのかもしれない。

成瀬　人の痛みを知ってる側、マイナス側の人間なので。そこはちょっとあるかもしれないですね。

アニサマで再会したい

──それにしてもこんなにハッピーな卒業も珍しいですよね。「寂しい」とか「辞めないで」とかなぜかそういう気持ちにならなくて。

成瀬　ファンの人からもほとんど言われなかったです（笑）。みんな「これからもがんばって！」って言ってくれて。

──別に引退するわけではないし、今後ソロでもっと大きいステージに立ったりするかもしれないですしね。

成瀬　そう！ ステージででんぱ組.incと再会したいんですよ！

古川　今の私たちの夢はえいたそがアニメの主演声優とオープニング曲を担当して、でんぱ組.incがエンディング曲を歌って「アニサマ」（世界最大級のアニメソングイベント「Animelo Summer Live」）でコラボするっていう。

──最高ですね（笑）。

古川　センターステージから出てきたえいたそと合流して、ちょっとでんぱ組.incの曲もやったりとかね。

成瀬　そうそう。

古川　っていう舞台上での再会を私は待ち望んでいます！

成瀬　超エモいね！

──「ポジティブ☆ストーリー」の「どの道も進んでりゃ 交わるから!!」という歌詞の通りですね。

成瀬　まさにそれです！

古川　アニサマっていうのがポイントですよね（笑）。