でんぱ組.inc|今だから歌える愛の形

でんぱ組.incがニューアルバム「愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ」を4月15日にリリースした。

このアルバムには前山田健一、浅野尚志、清竜人、Kai Takahashi(LUCKY TAPES)、の子(神聖かまってちゃん)、諭吉佳作/men、玉屋2060%(Wienners)といった作家陣が手がけた全14曲を収録。振り幅の広い楽曲群が彼女たちの新たな魅力を引き出している。

音楽ナタリーではメンバー全員へのインタビューを行い、グループがどん底から抜け出すきっかけとなった転機や、“戦友“から“家族“へと変化した6人の関係性についてじっくりと話を聞いた。

取材・文 / 大山卓也

ねもぺろ加入でどん底から脱出

──アルバムのタイトル曲「愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ」は、今のでんぱ組.incを象徴するポジティブな1曲になりましたね。グループが最高の状態なのが伝わってきます。

藤咲彩音 ありがとうございます。

成瀬瑛美 うれしい!

──この曲を歌う今のでんぱ組.incはとても力強く見えますが、でも思い返せば3年前はいわばどん底でした。

相沢梨紗

相沢梨紗 そうですね、確かに(笑)。

──2017年1月の武道館公演を最後にライブの予定がなくなり、未来が見えないあの状況からよくぞここまで立て直した、というのが率直な印象です。前向きになれたきっかけはなんだったんでしょうか?

古川未鈴 やっぱり大阪城ホールのライブが決まったときじゃないかな。ねもぺろちゃんが入って、またでんぱ組.incとして走り出せるぞって。

──2017年8月に最上もがさんが脱退し、その後、水面下でぺろりんさんとねもさんの加入が決定。12月の大阪城ホール公演でお披露目という流れでしたね。当時のインタビューでも「2人の加入が決まって、グループがやっと息を吹き返した」という話がありました(参照:でんぱ組.inc「おやすみポラリスさよならパラレルワールド / ギラメタスでんぱスターズ」メンバー全員インタビュー)。

成瀬 ちょうど休止中、ダンスレッスンのスタジオにヒャダイン(前山田健一)さんが来てくれて「これからどうする?」みたいな話をしてくれたんです。そのときに「でんぱ組.incは伝説の戦士みたいな人たちだから追加戦士が入ってまたさらに輝くんだよ!」ってキラキラした目で言ってくれて。そのとき「あ、マジか」と思って希望が見えてきた。そのあと「ギラメタスでんぱスターズ」をいただいて、めちゃくちゃテンションがアガった記憶がありますね。

──やはり2人の加入が大きかったんですね。

藤咲 大阪城ホールのライブでは「Dear☆Stageへようこそ♡」の途中から2人が登場するんですけど、その直前のパートを歌ったのが自分で。そこはもともと、もがちゃんのパートだったんですよ。だから自分の中でここで区切りという思いを込めて歌って、そこから2人を迎え入れて、あとはもう腹をくくるじゃないけど、すごくがんばっていかなきゃいけないって覚悟ができた。背中を押してもらえたなと思ってて、自分にとってはそこが今につながるきっかけなのかな。

相沢 大阪城ホールはうちらも正直不安だったけど、でもたぶん裏で待ってる2人はもっと不安だろうなとか、待っててくれたファンのみんなも不安だろうなとか、そんなふうに初めて自分じゃない誰かのことを考えてライブがやれたんですよね。そのとき「あ、こういう気持ちでやればいいんだ」と思って、すごいパワーを感じたのを覚えてます。

──ぺろりんさんとねもさんは、加入当時を思い返してどうですか?

鹿目凛 当時はもう目の前のことで精一杯すぎて、先のことは考えられなかったです。ただアイドルとして、でんぱ組.incのメンバーとして強くならなきゃいけない、変わりたいというのは思ってました。

根本凪 私めちゃくちゃ人見知りなんですけど、先輩方がちゃんと声をかけてくれて、これが人間の優しさなんだなって(笑)。

藤咲 それまでどんなだったの(笑)。

根本 おかげさまで今すごくいい状態で、ありがたいです。

──先輩もどちらかというと人見知りタイプなのに。

成瀬 陽キャの人に話しかけるのは臆してしまうんですど、ねもぺろちゃんは2人とも同じ血筋を持ったオタクだからいけたってところがあります(笑)。

昔はギラついてた

──以前はメンバー同士「戦友」だと語っていたでんぱ組.incですが、今は「家族」「ファミリー」と呼べる関係性になりました。そんなふうに変われたのはなぜなんでしょうか?(参照:でんぱ組.incインタビュー|新体制でライブ再始動、古川未鈴が胸中語る

成瀬 うーん、なんでだろうね。

藤咲 たぶんですけど前の6人時代は先輩後輩の関係をあんまり意識してなくて、でも今はねもぺろがいるからそこが違うのかな。あといろいろ仕切ってくれてた(夢眠)ねむさんがいなくなって、助け合っていかないとヤバい!っていうのもある。

古川 長いことやってるといろんなことが起きるんですよね。ずっとお世話になっていたスタッフさんが亡くなったこともあるし、もがちゃん、ねむさんが抜けたことも大きいし。そのときはもちろんキツいんですけど、そういう経験を重ねることで感情が増えるというか。そのおかげで今ねもぺろちゃんを大切にできてるのかもしれない。

相沢 あの頃、当時の6人時代はやっぱりギラついてたと思うんですよね。

古川 わかる。全員ぶっ殺す!っていう気持ちでやってたからね(笑)。

藤咲 昔は負けたくないって気持ちが強かったな。

相沢 それぞれ自分との闘いもあるし、メンバー同士いい意味でライバル意識もあって、だから戦友って言ってたんだと思う。でもねもぺろちゃんを迎えたときから、自然とそういう感じじゃなくなってきて(笑)。

──わかる気がします。あの頃は「売れたい」「有名になりたい」という思いがグループの原動力だったと思うんですが、それはつまり「認められたい」「愛されたい」ということで。

相沢 そうですね。

──そんなでんぱ組.incが今は自分から「愛してる」と言えるようになった。この変化は大きいですね。

成瀬 うんうん、そう言われるとちょっと恥ずかしいけどねー(笑)。

でんぱ組.inc「アイノカタチ」ミュージックビデオ収録現場より。

歌ってきた曲が自分を変えてくれた

古川 でも今は愛だ地球だファミリーだとか言ってますけど、とはいえうちらの性格が180°ガラッと変わったわけではないと思うんですよ。たぶん3°変わったくらい(笑)。

藤咲 3°って(笑)。

相沢 30°ぐらいはあるのでは(笑)。

──まあ角度はともかく(笑)、そういう小さな変化の積み重ねで今がある。

古川未鈴

古川 うん、そしてその変化がどうして起きたかというと、やっぱり曲を作ってくれる皆さんが変えてくれたんだと思ってて。例えば私は「愛っていう言葉は嫌いなんで」みたいに言ってたんですけど、でも愛についての歌をもらったら、言い方は悪いけど半ば強制的に歌うことになるじゃないですか。今までも恥ずかしくて言えないような目標やムカつく気持ちさえも全部ヒャダインさんや畑亜貴さんが歌に書いてくれて、それを歌うことによって自分たちも変わってきた。だから我々が変わったんだとしたら、今まで歌ってきた曲たちのおかげだと思います。

成瀬 でも過去にも「愛してるよ」とかって歌詞はあったんですよ。

古川 たまに歌ってたよね。

成瀬 そのときは100%の気持ちで「愛してるよ」と歌ってたつもりですけど、今思うと昔の自分はペラかったかもしれない。「この宇宙のみんなを救いたいよ!」とか10年前からずっと言ってるけど、今思い返すと若すぎて(笑)。今はちゃんと大人になって心から言えてる感じがするし、説得力が増してるんじゃないかな。

古川 歌詞になってれば前向きなこと言えるけど、そうじゃなかったら私「死にたい」しか言わないから。

成瀬 やめて(笑)。

藤咲 生きてくれ!

成瀬 でもホントに音楽はすごいですよ。マジ死ぬほど落ち込んだときはパッとカラオケ行って、1、2時間歌うと「わーい! やっぱりがんばるぞ!」ってなれるので。

相沢 えいたそはすごいな。

成瀬 本当は8時間行きたい。

鹿目 喉がすごい。