でんぱ組.inc|すべては愛だよ! 新生でんぱが伝える「いのちのよろこび」

映像が付いた瞬間に微熱になる

──そしてカップリングの「形而上学的、魔法」も、これまでのでんぱ組.incにはなかったタイプの楽曲ですね。皆さんのボーカルスタイルも普段とはかなり違います。

成瀬瑛美

成瀬 この曲はかなり素の自分で歌った感じ。ちょっと恥ずかしさもあったりする。

古川 私は“みりん節”を封印されて「もっとフラットに歌ってください」って言われました。けっこう挑戦だったけど、いつもと違うことができて面白かった。

根本 私は今まで歌ってきた歌の中で、お世辞抜きで一番好きかもってくらいこの曲が大好きで……。この曲を作った諭吉佳作/menさんが、確か高1とかなんですよね。ボカロ世代だからなのか、そういうエッセンスが共鳴するのかもしれない。この曲を聴いて新たにでんぱ組.incを好きになる人も増えるんじゃないかな。最高……!

古川 15歳の子がこんな詞と曲を書くってホントにすごいですよね。しかもiPhoneで打ち込みで作ったとか言ってて。この前ライブに来てくれて会ったんですけど、そしたら本当に華奢なお嬢さんで、こんなに小さい身体から才能があふれ出てるのかと。

成瀬 新時代だよね!

──ミュージックビデオも異色の内容で、スタイリッシュなダンスが印象的です。

古川 今までのでんぱ組.incとはだいぶ違う。

相沢 うん、撮影しながら自分の中にあるダークな部分に気付いたりして、無表情で踊ってるんですけどなんか泣きそうになっちゃいましたね。曲だけだと体温35℃くらいなのが、映像が付いた瞬間に微熱くらいになる。

──ほぼワンカットでの撮影はどうでしたか?

藤咲 裏はぐちゃぐちゃでした。映っちゃいけないところで映り込んじゃったり、転びそうになったり(笑)。

成瀬 暗い中で光をバンバン焚いて撮ってたから、蛾がいっぱい飛んできて大変だったしね。

鹿目 途中の走るシーンは、私の走り方がカッコよくないから、スタッフさんに走り方のフォームを教えてもらいました。肘を引くのがコツでした(笑)。

相沢 メンバーも、カメラさんも、スタッフさんも、集中して一緒にその時間を作る!っていう空気が写ってるかも。

古川 一発撮りならではの緊張感があって。計10回くらいはやったんじゃない? 本当は3、4テイクって話だったんですけど、「もう1回だけやろう」とか言い続けて。

相沢 リハーサルも入れたら20回くらいはやってるかも。

古川 やるたびにだんだんよくなっていって、結局最後のテイクが採用された気がします。

早口ゾーンは3桁練習

──そして「いのちのよろこび」「形而上学的、魔法」に先駆けて、清竜人さんが手がけた「子♡丑♡寅♡卯♡辰♡巳♡」も5月にリリースされています。皆さん、この曲で早口ボーカルの記録を更新したのでは?

藤咲 レコーディングで「無理です」って言ったの初めて(笑)。でも終わるまで帰れないから結局「がんばります……!」って。

相沢 ピンちゃんレコーディングのとき涙目だったもんね。

成瀬 誇張なしで早口ゾーンは3桁練習してるよね。

──かわいらしい曲調の奥に、にじみ出る狂気を感じますね。

藤咲彩音

相沢 そうなんです。そこがいいんですよね。

──皆さんはこの曲をどういう気持ちで歌ってるんでしょうか?

成瀬 「まもなく、でんぱ組.incが離陸致します♡」まではいかないにしても、けっこうヤンデレ的な気持ちかなあ。

藤咲 「あなたのことを背後からずっと見てるよ……」っていう感覚で歌ってる。

古川 怖っ!(笑)

根本 王道のかわいい曲もいいけど、こういうちょっと毒の入った曲がでんぱ組.incには一番似合う気がする。

鹿目 確かに。ぶりっ子でかわいい系だけど、目に光が少ない。

根本 わかる。ハイライトが入ってない感じ。

鹿目 そういう、女の子が普段秘めてる部分もこの曲では出せたかなって思います。

答えが1つなわけがない

──そして同じく清竜人さん作の「秋の葉の原っぱで」は、ピアノとストリングスによるスローバラードですね。

相沢 私これ大好きなんです。

古川 りさちゃん、レコーディングのときもライブ初披露のときも全部泣いてたんですよ。ずっとボロボロ泣いてる(笑)。

相沢 だってこの曲、本当に死にそうっていうか、歌ってると夕焼けに照らされた、何もない滅亡した世界が見えるんです。それぞれみんな戦ってきたよね、みたいな。なんだか終わりを感じさせる雰囲気がある。

成瀬 私は夕陽に照らされる総武線が見える(笑)。歌詞の「あなた」=秋葉原の街のことかなと思ったりもして。

相沢 この曲は、聴く人の年齢によって聞こえ方が全然違う気がするんですよね。学生さんだったら卒業ソングに聞こえるかもしれないし、大人になったら恋愛の歌になるかもしれない。今の時代は1つの答えを求められがちだけど、答えが1つなわけがないし、そういう曲がすごく好きなんです。

古川 でんぱ組.incがただバラードを歌っただけではないんだよ、というのは声を大にして言いたいですね。