私ともがちゃんは似てる
──最上もがさんは脱退発表時のブログで「どうしても心と身体のバランスが取れなくなり、このままでんぱ組.incとして活動していくことがとても難しくなりました」と書いていました。
もがちゃんってやっぱりすごく熱い人だなって思うんです。私にはない人間的な感情を持っている子で、例えば友達が悪く言われてたりしたらちゃんと怒るし全力で助けに行く。私そういうのが一切できないので「この人すごいな」って思うし、それが彼女の魅力だなって。だから今回の脱退はそういう人間的な部分がたくさん出た結果なのかなって思っていて。
──6人で過ごした5年間の印象が強いですけど、そもそも2011年に跡部みぅさんが脱退して、もがさんとピンキー(藤咲彩音)が新加入という流れでしたもんね。
そうなんですよね。実は今までも加入や卒業を繰り返してきたグループなので。
──もがさん脱退後、気持ちの整理はすぐできましたか?
そこはもうメンバーそれぞれなんですけど、私は正直「早く前に進まなきゃ! ファンの皆さんに忘れられちゃう前に!」っていう気持ちが強くって。もがちゃんのためにも止まっていられないって思ったし。で、その頃年末に大阪でライブやれるかもって話が出てきて「やりましょう!」ってことになったんです。
──みりんさんは常に「早くやらなきゃ」という感覚があるみたいですね。
「生き急いでるね」って言われます(笑)。私たぶん仕事が趣味で、どうやったらライブの動員が増えるか、どうやったらカッコいいライブができるかっていうのを話したり考えたりしてるのが一番好きなんです。それに生涯ずっとできるものでもないし「今やらなくていつやるの!」みたいなところがある。
──そういうところ、みりんさんともがさんは実は近い部分がある気がします。
うん、少し似てると思う。私ともがちゃん。
──ベクトルは少し違うけど、持っている熱量は同じと言うか。
よく言われます。私は彼女が考えてることがわかるし、「そうだよね」って思うこともたくさんあるし。ただその伝え方がたぶん違ってて、でも根本は似てると思います。
泣きながら過ごした夜もあった
──すごく大ざっぱな印象ですが、もがさんは感情をすごく大切にする人で、みりんさんは感情に振り回されない人というイメージがあります。
私、たぶんですけど、あんまり感情が動かないんですよね。「いいからとにかく仕事しましょう」「ヘコんでる暇があったら練習してください」みたいなタイプ。今の自分はなりたかった職業に就けて、本当に恵まれた環境にいるわけで、だったらやるしかないでしょって思ってるんです。
──じゃあなおさらライブができない状況はつらかったのでは?
「もしこのままライブができなかったらどうしよう」っていうのはすごく思ってました。先のビジョンが見えないのが一番不安なんですよね。だから実際この1年はすごく落ち込んで、泣きながら過ごした夜もあったし。「もう私には需要がないんだ」とか「でんぱが終わったら私は何をしていけばいいんだろう」みたいなことをけっこう本気で考えてました。
──その結果、引きこもり状態になってしまったと。
引きこもりましたねえ。部屋に足の踏み場がなくなって、カップラーメンの残骸がいっぱいあって、みかんの皮が落ちててみたいな。ホントにひどかった(笑)。絵に描いたような引きこもりの部屋みたいになって「このままじゃダメだ」と思いつつ、でも何も動けなくて。
──でもでんぱ組.incとしてのライブがない期間も、ファンクラブイベントやサンリオピューロランドとのコラボ企画など、ファンの前に出る機会はたくさんありましたよね。
うん、でもそういうのは全部でんぱ組.incのライブがあったうえで成り立つものだなって私は思ってて。ファンの皆さんは「楽しかったよ」って言ってくれるけど、みんな絶対「ライブが観たい」って思ってるのは間違いないから。ライブをやるのが大前提だし、その気持ちは痛いほどわかってたので。
──みりんさんは特にライブ至上主義と言うか、ステージありきという意識が強いですよね。
私、人に誇れることなんて何も持ってないけど、自分ができることで唯一自信が持てるのがでんぱ組.incのライブなんです。「ソロで歌います」とかだともう本当に死にそうになるんですけど、「でんぱ組.incがそろってライブをします」だったらマジでどんなアウェイでも絶対大丈夫だし、観てくれた人を絶対にファンにさせる自信がある。だから今ライブを止めちゃいけないなという気持ちは強かったです。
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新しいでんぱ組.incを観てほしい
ライブ情報
- JOYSOUND presents「ねぇもう一回きいて?宇宙を救うのはやっぱり、でんぱ組.inc!」
- 2017年12月30日(土)大阪府 大阪城ホール
- でんぱ組.inc(デンパグミインク)
- ディアステージ所属の女性アイドルユニット。メンバーはそれぞれアニメ、マンガ、ゲームなどに精通したオタクとしても知られ、“萌えキュンソング”と呼ばれるアッパーな楽曲と情感豊かなライブパフォーマンスで国内のみならず海外からも注目を集めている。2013年1月には、メンバー自身の暗い過去を歌ったシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」でオリコン週間ランキング10位を獲得。同年10月には主演映画「白魔女学園」の主題歌を収めた「W.W.D II」を発売し、12月に2ndアルバム「WORLD WIDE DEMPA」をリリースした。2014年5月には1万人を動員した初の東京・日本武道館単独ライブを成功させ、翌2015年2月には東京・国立代々木競技場第一体育館での2DAYSライブを実施し、夏には初のワールドツアーを開催した。2016年7月より2度目の対バンツアー「はやぶさかがやきツアー2016」を開催し、同年12月にグループ初のベストアルバム「WWDBEST ~電波良好!~」をリリース。2017年1月にはアリーナツアー「でんぱ組.inc 幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-Fi完備!」および追加公演「でんぱ組.inc 幕神アリーナツアー2017 in 日本武道館 ~またまたここから夢がはじまるよっ!~」を開催した。8月6日をもってメンバーの最上もがが脱退。現在は古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、藤咲彩音の5人体制で活動している。