ナタリー PowerPush - でんぱ組.inc
6人×2年間の集大成「WORLD WIDE DEMPA」
古川未鈴「腹をくくってアイドルをやっていきたい」
──未鈴さんはどうですか?
古川 あの、超具体的で超些細なことなんですけど、私もふくちゃんとかにも「小物感がヤバい」とか「アイドルオーラがない」みたいなことをよく言われるんですよ。確かに私は自信がないままここまで来てて。ライブでも赤のサイリューム振ってくれてる人がまあちらほらいるわけじゃないですか。でもそういうときに「ああ、なんか推してくれてて申し訳ない」みたいに思ってしまって。すごくうれしいんですけど、なんか、なんていうか……。
──謙虚すぎます(笑)。
古川 そうなんです! で、よくよく考えると、例えば私が好きなアーティストさんのライブに行って、そんな自信なさ気なパフォーマンスを観るのはイヤだし、嘘でもいいからこっちを向いて手を振ってくれたらめっちゃうれしいなっていうのをふと思ったんですね。そして私は今それをできる立場にいるぞってハッと気付いて。だからせめてステージにいるときくらいは自分を応援してくれてる人を見たら自信を持って笑顔で返すとか手を振るとか、そういうことを積極的にしていきたいなと思ったのがつい最近。
──つい最近?
最上 あ、ぼくもそれつい最近です。同じ気持ちだった。
夢眠 未鈴ちゃんアイドル歴長いのに……。
古川 私、この話は載せられるかわかんないですけど、アイドル辞めたら死のうと思ってたんです、ずっと。本当に高校入った瞬間から「私はアイドルになる!」って思って、いろんなことを捨ててそれだけを考えてきたので、アイドル辞めたら何も残らないって思ってて。でもでんぱ組.incをやり始めてから、辞めるときのことはもう考えないで、しばらくは腹をくくってアイドルをやっていきたいって思ってます……。
相沢 なんか未鈴ちゃんが異常に恥ずかしがっててヘン……(笑)。
夢眠 未鈴ちゃんはファンの人の前でもそっけない態度だったりするんだけど、本当はめっちゃ照れてて。申し訳ないみたいな気持ちになってるだけなんだよね。
古川 そこでちゃんと堂々としてるのがアイドルとしてあるべき姿だなっていうのは、なんか今さらながらふと気付きました。
相沢 あー、この話を長年推してくれてる未鈴のファンに聞かせたい! だって「未鈴ちゃんはあんまりうれしそうじゃなかったけど、俺悪いことしちゃったかな?」とかそんな相談ばっかりですよ。「そんなことないよ! 未鈴ちゃんああ見えてすっごい喜んでるから」って。そんなやりとりを何年もしてきたんですから(笑)。
相沢梨紗「この6人は一生付き合っていきたい友達」
──続いて梨紗さんお願いします。
相沢 本当にこの1年くらいかな、すごく忙しくなって、9割方でんぱ組.incのことを考えるようになって。なんだろうな。そうやって余裕がなくなる中で、メンバーにけっこうつらく当たっちゃったりとか、そういうのを溜めてきちゃってるなってすごく思ってて……。私あんまり友達いないんですけど、でもケンカしてもでんぱ組.incと一生友達でいたいなって……。
全員 わあ……。
相沢 そんなことばっかり考えてて、今はすごい仲いいけど、いつかもしかしたらもっと忙しくなって、それぞれにマネージャーとかがついちゃってあんまり会えなくなったらって考えると……。
成瀬 やだ……。
相沢 (泣きながら)そんな余計な心配しちゃうくらい余裕がないときとかあって。つらい気持ちを家族にぶつけるようにメンバーにいろいろ言っちゃったりとか、こんなんじゃいけないってわかってるのに……。私、本音でぶつかったりできる友達があんまりいなかったんですよ。ちゃんとケンカして仲直りするようなのが友達だと思うんですけど、そういうのうまくできなくて。ちゃんと自分を変えなきゃいけないんだ、それででんぱ組.incのためにがんばらなきゃいけないんだっていうのを今年はすごく感じてました。私、今年の目標は「革命」って言ってたんです。もっと自分を変えなきゃいけないなと思って……。
──6人でがんばることで変われたんじゃないですか?
相沢 はい、「W.W.D II」とかを通して、なんかやっぱりこの6人じゃないとって思ったし、この6人で一緒にいたいなってすごく思えた。こんなふうに友達でいたい、一生付き合っていきたいっていう相手ができて、その過程をやっぱり私たちのことを好きだって言ってくれるファンの人たちに見てもらえてる。それはなんだかすごく、いい人生を送れてるんじゃないかなって思います。
夢眠 はい、これで6分の4が泣きました。
成瀬 私たちこのあと撮影できるのかな(笑)。
相沢 ほんとにありがとう。これからもよろしくお願いします。すいません……。
夢眠ねむ「今をがんばることで昔からの夢が叶ってる」
──最後にねむきゅんはどうですか?
夢眠 はい。私はこういうときには泣かないですよ(笑)。私が今でんぱ組.incにいて感じるのは、本当に人間の成長劇じゃないけど、普通は中高生のときにやってきたようなことを私たちは現在進行形でやってるんだなって。みんなクラスでも浮いてた子たちだと思うので。未鈴とかもちょっと達観してたりとか、えいたそもすごいおおらかだったりとか。
藤咲 オーラ?
夢眠 おおらかじゃん、なんか。
藤咲 ああ、おおらか(笑)。
夢眠 ほら、なんでも受け入れてくれる感じとか。梨紗とかもそういうところがあるんですけど、私とかもうギャーギャー言うタイプだから……。なんで笑うの。おかしい。私がこんなに話がまとまらないなんて!
相沢 がんばれー(笑)。
夢眠 なんていうのかな、でんぱ組.incをひたすらにがんばってやることで昔から描いてた夢が叶っていってる。私、学生時代にずっと芸術家になって世界進出したいって思ってたんですね。でも今は周りのクリエイターさんも面白いと思う人ばっかりで、一緒にトガったものが作れてると思うし、海外進出はナチュラルに実現できてるし。それってすごいことだなって。
──特にこの2年間は激動でしたもんね。
夢眠 濃厚だったし、自分に向き合う時間もすごく長かったし。辞めたいって思ったときもあったけど、それはでんぱ組.incがよくなるにはどうしたらいいのかって考えた末の究極の答えで自分が勝手に出しちゃったことだったりとか……。(目を潤ませながら)うわ、泣きたくねー(笑)。
全員 (笑)。
夢眠 私ほんとに集団行動がまったくできないタイプで、正直もともと自分のことにしか興味がなかったんですよね。でんぱ組.incに入るまでも入ってからも、夢眠ねむとして売れたいっていう気持ちがあったし、たぶん初期のメンバーはそれぞれそういう前提で集められたところもあったと思う。でもそれが今は、夢眠ねむよりでんぱ組.incを有名にしたいって言えるようになったから。仲間と一緒にやれて、自分が1つのピースになってるっていう意識が初めて持てた場所なので、ほんとに大事にしていきたいです。
心中する気でやり続けていく
──お話を聞いているとみんな自分のことで精一杯になりがちなタイプだと思うんですけど、それでも全員がでんぱ組.incのことをすごく好きで、自分の所属しているグループにそれぞれ誇りを持ってるんですよね。
夢眠 うん、アイドルって通過点の職業って思われがちだけど、でんぱ組.incはその先を考えずに、ここでもう心中するつもりでやってる感じはありますね。全員ここでしか生きれなかったというか、1人でやってもうまくいかなかったし、気付けなかっただろうし。
──6人だったらなんでもできる?
夢眠 いや、それでもやっぱり壁にぶつかるんですよ。がんばってるつもりなのに空回りしてたりとかもあるし。でもそんなときにファンの方がいてくれて、全部許してくれるのが本当に大きいなって思う。
──でんぱ組.incのファンは優しいですよね。
夢眠 そうなんです。いじめられたり仲間に入れなかったり、私たちはずっと人に認めてもらえなかったから、やっぱり誰かに理解されるのが怖いし、理解されても「嘘でしょ?」みたいな気持ちがどこかにあったんですけど、でんぱ組.incのファンは本当に手放しで愛してくれる人たちで。それって今まで家族以外からはもらったことのない愛情で、本当にすごいことだと思うんです。
相沢 私、人に嫌われるのが本当につらくて、ずっとそうやって生きてきたんですけど、でもメンバーとファンの人が好きでいてくれたら、それだけで大丈夫かも、生きていけるかもって思えるようになったんですよ。
夢眠 アイドルがファンの人に救われましたとか、言葉にするときれいごとっぽいけど、ガチでそうだなって感じるんだよね。
──同じように、ファンもでんぱ組.incに救われてると思いますよ。
相沢 うん、でんぱ組.incのファンの人には幸せになってほしい。うちらのこと一生ずっと愛してくれなくても、いつかファンを辞めたとしても幸せでいてくれればいいし、もちろんずっと一緒にいてくれてもうれしいし。なんか変な気持ちだけど……。
夢眠 やっぱりそれが愛なのかなって。愛とか言うの恥ずかしいけど、もう目の当たりにしちゃってるから、ファンの人の愛を。だからうちらもそういうふうに、ファンの人たちに素直に愛を伝えたい。愛を伝えられてる気がしてます。
- ニューアルバム「WORLD WIDE DEMPA」 / 2013年12月11日発売 / MEME TOKYO
- 超豪華初回限定盤 [CD+Blu-ray+グッズ] / 10000円 / TFCC-86448
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3800円 / TFCC-86449
- 通常盤 [CD] / 2800円 / TFCC-86450
CD収録曲
- ハジマリ。~WORLD WIDE DEMPA~
- でんぱれーどJAPAN
- Future Diver
- VANDALISM
- Sabotage
- W.W.D
- ナゾカラ
- イツカ、ハルカカナタ
- キラキラチューン
- 冬へと走りだすお!
- なんてったってシャングリラ
- W.W.D II
- ORANGE RIUM
- 強い気持ち・強い愛
- でんでんぱっしょん
Blu-ray / DVD 収録内容
<Music Video>
※ メンバーによる副音声コメンタリー付き
- でんぱれーどJAPAN
- 強い気持ち・強い愛
- キラキラチューン
- W.W.D
- 冬へと走りだすお!
- でんでんぱっしょん
- ノットボッチ…夏
- W.W.D II
<LIVE映像>
- 「でんぱれーどJAPAN」2013.8.2 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
- 「Future Diver」2013.8.2 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
- 「でんでんぱっしょん」2013.8.11 SUMMER SONIC 2013
- 「IDOL」2013.10.13 BiS×でんぱ組.inc ツーマンライブ
- 夏のパッション!東西野音ツアー ライブDVD / 2013年12月18日発売 / MEME TOKYO
- 「夏のパッション!みんながいるし、仲間だもん! In 日比谷野外音楽堂」 / [DVD] 3800円 / TFBQ-18146
- 「夏のパッション!みんながおるし、仲間やで! In 大阪城野外音楽堂」/ [DVD] 3800円 / TFBQ-18147
- 「夏のパッション!東西野音ツアーBOXセット」 / [DVD2枚組] 7600円 / TFBQ-18148
でんぱ組.inc(でんぱぐみいんく)
古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音からなる6人組ユニット。東京・秋葉原のライブバー「ディアステージ」をホームグラウンドに2008年から活動を開始。2011年12月に1stアルバム「ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc!」をリリース。2013年1月にはいじめなど自己の暗い過去を歌ったシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」でオリコン週間ランキング10位を獲得。主演映画「白魔女学園」の主題歌として同年10月にリリースした「W.W.D II」も話題を集め、同年12月に2ndアルバム「WORLD WIDE DEMPA」をリリース。“萌えキュンソング”と呼ばれるアッパーな楽曲と情感豊かなライブパフォーマンスで国内のみならず海外からの支持も厚く、ジャカルタや台北などでのライブやファッションイベントにも出演。メンバーはそれぞれアニメ、マンガ、ゲームなどの趣味に精通したコアなオタクとしても知られている。