ナタリー PowerPush - でんぱ組.inc

6人×2年間の集大成「WORLD WIDE DEMPA」

初めて自分のことで泣いたんです

──「W.W.D」やライブでの自分語りがエンタテインメントとして受け入れられたことで、何か変化したことはありましたか?

夢眠 お互いのダメなところやいいところについてちゃんと話せるようになったのは「W.W.D」以降ですね。それぞれ思ってたりするけど、恥ずかしくて褒められなかったり、言ったら傷付いちゃうんじゃないかっていう、そういう話ができるようになった。

成瀬 メンバーに言われたことなら、なんか素直に聞けるっていうか。

古川 そう考えると「W.W.D」ってすごいよね。

最上 すごいよ。人を変えたもん。ぼくのことで言えば、ライブに両親も妹も呼んでて、そこで親に対する気持ちとかを話して、やっとお礼が言えた、謝れたっていうのがすごいあって。それで心の整理ができたというか。それから両親と仲よくなりました(笑)。

藤咲 逆に私、仲が悪くなっちゃった。うちのお母さんと仲いいときは仲いいんだけど、悪いときは本当に仲悪くて。

夢眠 あはは(笑)。これ読んだらお母さんまた気にするんじゃないの?

藤咲 うーん、どうにか仲よくなりたいけどなあ。

相沢 いや、でもピンキーはしっかり成長してるし、いい子だから。お母さんもわかってくれるよ。

成瀬 うん、毎日がんばってるよね。

藤咲彩音

藤咲 ちゃんとライブを観に来てほしいと思う。まだ全然独り立ちとかできてないけど、でもがんばってるんだよっていうのをわかってほしいなって思ってて……。ずっと自分の中身は何もなくて、小さいときからお母さんの後ろについていくみたいな感じだったから、知らない間にそれに慣れちゃってたんだと思う。それでライブの独白の原稿作るときに、自分の言葉でしゃべれないっていうのに初めて気付いて。

最上 ピンキー、ギリギリまで白紙だったもんね。

藤咲 そこでほんとに自分ダメだと思って。自分のことですごい……自分はどうでもいいから人を楽しませたいっていう気持ちがずっと強かったから、なんか本当に初めて自分のことで泣いたんです。

夢眠 思春期ですね。

藤咲 あはは(笑)。

相沢 でもそこで私がピンキー偉いなって思ったのは、わからないことはちゃんとわからないって言うんですよ、この子は。それが本当に偉いなと思って。テストでわからないと0点になるけど、そこでわかるってウソをついちゃうとそれはマイナスだから。私はわからないって言えるようになるのにここまでかかったから(笑)。

まさかの続編「W.W.D II」

──そして2013年10月には、今回のアルバムにも収録されている「W.W.D II」がリリースされました。

夢眠 まさか続編ができると思ってなかったから……。

最上 「W.W.D II」っていう仮タイトルを見てギャグだと思ってたんですよ。

夢眠 仮じゃなかった(笑)。

──「W.W.D II」については発売のタイミングでインタビューをしていないので、改めて曲のことを聞きたいんですけど。

全員 ……。

夢眠 みんな急に口を閉ざし始める(笑)。

古川 たぶん「W.W.D II」の発売のときはスタッフさんがインタビューを受けないっていう方針で進めてくれたんだと思うんです。

──それはどうして?

古川 今のことだから。

──自分たちの現在の状況を前山田健一さんに話して、それが歌詞になったと聞きましたが。

最上 なんか「ノットボッチ…夏」のレコーディングでスタジオ行ったとき、前山田さんに「最近どう?」みたいなことを言われて1時間くらい話したんですよ。どうしたんだろう?って思いながら。それが「W.W.D II」の取材だったっていうのをあとから知りました。

古川 私もレコーディング中にさらっと「最近未鈴ちゃんセンターどうなの?」みたいなことを言われて、「いや、自信ないっすよ。超怒られるし……」みたいなことを話したんですけど。それがまさか……。

成瀬瑛美

藤咲 あのときはちょうど学校ですっごい嫌なことがあって。私も前山田さんに「今日これこれこんなことがあって……」って。もうずっと大泣きしながら「もうでんぱ組.incにいらないと思う、私……」みたいな感じでしたね(笑)。

──じゃあ皆さん曲になるとは思わずに素直な気持ちを伝えたと。

成瀬 そうなんです。あと、あの曲の間奏のところでザワザワした声入ってるじゃないですか。あれもレコーディングのときに合間でしゃべってたの知らないうちに録られてて。私すっごいオタクっぽいしゃべり方で……。あとから聴いて「まさかこれ録ってたの!」ってなりました(笑)。

レコーディングは歌い出し30秒で号泣

古川 でも今だから笑えるけど、初めて「W.W.D II」を聴いたときはなんか……。これこそ本当にエンタメになるのかなって。これはさすがに……。

夢眠 逆効果じゃないかって言ってたよね。

相沢 私レコーディングのとき、歌い出し30秒で泣いちゃって歌えなくなっちゃって。レギュラーの番組のカメラも入ってたんですけど、撮られてるのもつらくなって「今日は撮らないでください」って言ったりして。けっこう究極な感じでしたね。

最上 レコーディング泣いたなあ。

相沢 キツかったよね。レコーディング終わって「うえっうえっ……」ってスタジオ出たらもがちゃんも泣いてて。

夢眠 しんどかった記憶しかないよね。

古川 私はもうこの曲で「でんでんぱっしょん」よりもオリコン上位に行けるのかどうかっていうことをずっと考えてて。

最上 ああ、すごい考えた。

古川 やっぱり1個でも順位を上げなきゃダメだと思ってたから。でもそのときに前山田さんがとあるインタビューで「この曲で順位が下がってもそれはもうしょうがない。それでもでんぱ組.incが今歌わなきゃいけない曲だ」って言ってくれてて。私はそれですべてを納得して、じゃあやろうと思ったんです。

最上 ぼくブログに書けなかったです。デイリーの順位とかは書いてたんですけど……。でも今考えると逆にこの曲がトップ5とかに入ってたら世の中マズいでしょって(笑)。それくらい暗い曲だから。

夢眠 確かに、逆にイヤかも。

最上 だからブログは書かなかったけど(笑)、自分で納得できたし、あの曲を出したことは失敗ではなかったと思う。

ニューアルバム「WORLD WIDE DEMPA」 / 2013年12月11日発売 / MEME TOKYO
超豪華初回限定盤 [CD+Blu-ray+グッズ] / 10000円 / TFCC-86448
初回限定盤 [CD+DVD] / 3800円 / TFCC-86449
通常盤 [CD] / 2800円 / TFCC-86450
CD収録曲
  1. ハジマリ。~WORLD WIDE DEMPA~
  2. でんぱれーどJAPAN
  3. Future Diver
  4. VANDALISM
  5. Sabotage
  6. W.W.D
  7. ナゾカラ
  8. イツカ、ハルカカナタ
  9. キラキラチューン
  10. 冬へと走りだすお!
  11. なんてったってシャングリラ
  12. W.W.D II
  13. ORANGE RIUM
  14. 強い気持ち・強い愛
  15. でんでんぱっしょん
Blu-ray / DVD 収録内容

<Music Video>
※ メンバーによる副音声コメンタリー付き

  • でんぱれーどJAPAN
  • 強い気持ち・強い愛
  • キラキラチューン
  • W.W.D
  • 冬へと走りだすお!
  • でんでんぱっしょん
  • ノットボッチ…夏
  • W.W.D II

<LIVE映像>

  • 「でんぱれーどJAPAN」2013.8.2 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
  • 「Future Diver」2013.8.2 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
  • 「でんでんぱっしょん」2013.8.11 SUMMER SONIC 2013
  • 「IDOL」2013.10.13 BiS×でんぱ組.inc ツーマンライブ
でんぱ組.inc(でんぱぐみいんく)

でんぱ組.inc

古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音からなる6人組ユニット。東京・秋葉原のライブバー「ディアステージ」をホームグラウンドに2008年から活動を開始。2011年12月に1stアルバム「ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc!」をリリース。2013年1月にはいじめなど自己の暗い過去を歌ったシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」でオリコン週間ランキング10位を獲得。主演映画「白魔女学園」の主題歌として同年10月にリリースした「W.W.D II」も話題を集め、同年12月に2ndアルバム「WORLD WIDE DEMPA」をリリース。“萌えキュンソング”と呼ばれるアッパーな楽曲と情感豊かなライブパフォーマンスで国内のみならず海外からの支持も厚く、ジャカルタや台北などでのライブやファッションイベントにも出演。メンバーはそれぞれアニメ、マンガ、ゲームなどの趣味に精通したコアなオタクとしても知られている。