ナタリー PowerPush - でんぱ組.inc
6人×2年間の集大成「WORLD WIDE DEMPA」
成瀬瑛美「メンバー1人ひとりを大好きになった2年間」
──では最後に、このアルバムができるまでの2年間を振り返って、今感じていることを1人ずつ聞かせてもらえますか? まずはえいたそから。
成瀬 そうですねー。私はこの2年間で、でんぱ組.incの1人ひとりのことが本当に好きになった。そういう時間だったんじゃないかなと思います。もう大人だし、そんなに自分をさらけ出して、人と深く付き合う必要もないだろうと思っていたんですけど、毎日毎日このメンバーで過ごしてると、本当にもう情が湧くというか。そういう時間がこれから先もどんどん続いていくし、続けていきたいって思うし。
──その大切な時間が1枚のアルバムとして実を結んだわけですよね。
成瀬 音楽と、それを聴いてたときの記憶って切り離せないものだと思うので、私が超おばあちゃんになって死ぬ間際とかになっても、このアルバムを聴いたら「ああ、いろんなことがあったなー」って思い出せる。人生にとって大事な曲たちで、大事な仲間で。ほんとにありがたいです(笑)。なんかごめんなさい。何も考えてなくて。
夢眠 いいコメントでしたよ。
相沢 もう、謝ることないのに。なんなのえいちゃん(笑)。
最上もが「ぼくはでんぱ組.incを売りたい」
──もがさんは?
最上 ぼくが発見したのは、実家から出て1人暮らしを始めて、最初は家事とかちゃんとできるのかなって恐怖だったんですけど、でも実際にやってみたら意外とできるものだったっていうことですね。これはでんぱ組.incに加入して学んだことで、やる前はなんか難しそうだなとか思ってても、絶対できないことってそもそもあんまりなかった。それは自分のやり方の問題だし、やる気の問題だなっていうふうにすごい思うようになった。もともとすごい真面目だって言われるんですけど、それがさらに強くなってきちゃって、今は責任感が出てきてるって思います。
──責任感というのは何に対して?
最上 ぼくはでんぱ組.incを売りたいんです、ちゃんと。そこが自分の使命だと思ってて。だって今の自分はでんぱ組.incに入ったからここにいるわけで。でんぱ組.incがなかったら“最上もが”なんて名前も付けてないし、そもそも表に出ることもなかったし。この世界に憧れてはいたけど、自分がやれる自信なんてまったくなくて、でも今こうやって入って、無理だと思ってたことが少しずつできてきて。失敗してもその先があるっていうことを学んだのもでんぱ組.incだし。あれ……なんで鼻水出てるんですかちょっと?
成瀬 だって……(鼻をすすりながら)。
夢眠 えいたそ泣いちゃった。
最上 でもなんて言うんだろう。ほんとにしっかりしなきゃなって思うし、でんぱ組.incをちゃんと育てて、ちゃんと売れたっていうところまで持ち上げなきゃっていう気持ちがある。それがやっぱり2年間一緒に過ごしてきたみんなへの恩返しというか……。だってメンバーもスタッフも2年っていう長い時間をでんぱ組.incに使ってて、それってすごいことだと思うから、だったらもうとことんまでやらないともったいないなって。今支えてくれてるファンの人には「自分が昔から応援してるでんぱ組.incはすごいだろ」みたいに思ってもらいたいし、新しく応援してくれてる人たちにも「今好きになってよかった」って思ってもらえるように。だからこのアルバムが、そこにつながる第一歩だなって思ってるんです。
──もがさんはでんぱ組.incを通して自立したんですね。
最上 ほんとにそう思ってます。感謝してますね(泣きながら)。
──そして自立した自分の力をでんぱ組.incのために使おうとしている。
最上 ……それしか考えられないんですよ。ずっとそうです。ソロの仕事とかみんなそれぞれやってるけど、そういう活動を通してどれだけの人がでんぱ組.incを知ってくれるかなって。それしか思えない。それはたぶんずっと変わらない感じですね。
藤咲彩音「最近はよく笑ってるねって言われる」
──ピンキーは?
藤咲 えーっと……なんだろうなあ。たぶんでんぱ組.incに入ってなかったら、本当に普通の高校生だったし、何も考えずにただバイトの面接に落ちながら……。
最上 落ちながら(笑)。受かってないんだ?
藤咲 1回も受かったことない。ほんとに10回連続で落ちてて(笑)。
夢眠 記録更新してるところだったね。
藤咲 うん、たぶんそれで部活とか真面目にやって、就職とかするんだろうなって感じだったんだけど、最近学校の友達に言われてびっくりしたことがあって、でんぱ組.incに入ってから私の印象が変わったって。カドがなくなって話しかけやすくなったって言われた。やっぱり社会に出ていろんな大人の人と仕事する中で、いろいろ経験を積んでそうなったのかなと思って。
──学校の友達はピンキーがでんぱ組.incをやってることについては、どういう反応なんですか?
藤咲 最初はみんな「アイドルやるんだ? へー、がんばって」くらいの感じだったんですよ。でも今は友達でアルバムを買ってくれた子もいるし、ライブ観に来てくれてる子もいて、それが本当にうれしくて。がんばってきてよかった。ちゃんと自分のことをわかろうとしてよかったなって思う。
──自分のことをわかろうとしてきた?
藤咲 うん、コスプレが好きなのも、そのキャラクターになりたくて、自分なんてどうでもいいって気持ちでやってたって思うんです。けど自分のことがちゃんとわかってないと、どうやったら自分をそのキャラクターに近付けられるのかがわからない。ファンの人を好きになろうとしても、たぶん自分のことを好きじゃないと歩み出せないと思うし……。(泣きながら)だから「W.W.D」のときの独白だったり、みんなと歩んできたこの2年間がなかったら、そういうことにも気付けなかったなって。親とケンカしたりするのも、まあイヤですけど、今が楽しいからよかったなって思います。最近はよく笑ってるねって言われる。
──でも芸能界に入ってツンツンし始める人もいるでしょうし、やっぱり今ピンキーが笑顔でいられるのは、でんぱ組.incだからこそな気がしますけど。
藤咲 かもしれないですね。でんぱ組.incはみんないろいろ挫折をして、あんまり素直になれない、うまく伝えられない人たちの集まりだから(笑)。だから自分も優しくなれたのかなって思います。
- ニューアルバム「WORLD WIDE DEMPA」 / 2013年12月11日発売 / MEME TOKYO
- 超豪華初回限定盤 [CD+Blu-ray+グッズ] / 10000円 / TFCC-86448
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3800円 / TFCC-86449
- 通常盤 [CD] / 2800円 / TFCC-86450
CD収録曲
- ハジマリ。~WORLD WIDE DEMPA~
- でんぱれーどJAPAN
- Future Diver
- VANDALISM
- Sabotage
- W.W.D
- ナゾカラ
- イツカ、ハルカカナタ
- キラキラチューン
- 冬へと走りだすお!
- なんてったってシャングリラ
- W.W.D II
- ORANGE RIUM
- 強い気持ち・強い愛
- でんでんぱっしょん
Blu-ray / DVD 収録内容
<Music Video>
※ メンバーによる副音声コメンタリー付き
- でんぱれーどJAPAN
- 強い気持ち・強い愛
- キラキラチューン
- W.W.D
- 冬へと走りだすお!
- でんでんぱっしょん
- ノットボッチ…夏
- W.W.D II
<LIVE映像>
- 「でんぱれーどJAPAN」2013.8.2 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
- 「Future Diver」2013.8.2 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
- 「でんでんぱっしょん」2013.8.11 SUMMER SONIC 2013
- 「IDOL」2013.10.13 BiS×でんぱ組.inc ツーマンライブ
- 夏のパッション!東西野音ツアー ライブDVD / 2013年12月18日発売 / MEME TOKYO
- 「夏のパッション!みんながいるし、仲間だもん! In 日比谷野外音楽堂」 / [DVD] 3800円 / TFBQ-18146
- 「夏のパッション!みんながおるし、仲間やで! In 大阪城野外音楽堂」/ [DVD] 3800円 / TFBQ-18147
- 「夏のパッション!東西野音ツアーBOXセット」 / [DVD2枚組] 7600円 / TFBQ-18148
でんぱ組.inc(でんぱぐみいんく)
古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音からなる6人組ユニット。東京・秋葉原のライブバー「ディアステージ」をホームグラウンドに2008年から活動を開始。2011年12月に1stアルバム「ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc!」をリリース。2013年1月にはいじめなど自己の暗い過去を歌ったシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」でオリコン週間ランキング10位を獲得。主演映画「白魔女学園」の主題歌として同年10月にリリースした「W.W.D II」も話題を集め、同年12月に2ndアルバム「WORLD WIDE DEMPA」をリリース。“萌えキュンソング”と呼ばれるアッパーな楽曲と情感豊かなライブパフォーマンスで国内のみならず海外からの支持も厚く、ジャカルタや台北などでのライブやファッションイベントにも出演。メンバーはそれぞれアニメ、マンガ、ゲームなどの趣味に精通したコアなオタクとしても知られている。