えいたその演技は新人女優賞モノ

──皆さん終盤に進むにつれてどんどん迫真の演技に変わっていて、観てる側としてもとても惹き付けられました。

夢眠　うれしい。

──特にえいたそ（成瀬瑛美）はすごかったと思います。

夢眠　あれはもう新人女優賞モノだと思うんですよ。

最上　監督は苦労してましたけど（笑）。

夢眠　個性派すぎてね（笑）。

最上　えいちゃん、集中して役に入りすぎちゃうらしくて、監督が出す指示に対して「はい！」って言いながら全然違う動きをしていて（笑）。

相沢　「はい！」って言ってるのに、実は聞いてないんだよね。

夢眠　えいたそってほんとにいつでも明るく元気なんですけど、台本をもらったときに「私、すごい役もらっちゃった！ これをやりきったら、私は次のステップに進めると思う」みたいな、そういうスイッチが入っちゃったみたいで。あれからえいたその目の輝きが変わった気がするもん（笑）。でもほんとにすごかったんですよ、演技での豹変っぷりが。

──この映画がきっかけで、本当に何かつかんだのかもしれないですね。

夢眠　ねー。ここから女優になったら面白いのに（笑）。

相沢　でも本人は「バラエティに進出したい！」って言ってました（笑）。

夢眠　あれを経てバラエティに進みたいっていう着地点が……（笑）。

相沢　でも最初に台本を読んだとき、「もしかしたらえいちゃん、この役できないかも……」ってちょっと思った。えいちゃんって自分の中で守ってるものがすごくあると思うんですよ。

夢眠　アイドル像みたいな？

相沢　そう。アイドルとしてがんばらなくちゃみたいな、そういうものを守ってでんぱ組.incとしてやってきてたから、あの役は自分の殻をぶち破らないとできないんじゃないかと思ったんです。だけど台本をもらってから撮影までの短期間で、自分の中で何かが変わったんでしょうね。すごいなあって思いましたもん。

体を動かしながらしゃべると、セリフが出てくる

夢眠　あと私、もがちゃんがポロポロ泣けるのがすごいなと思って。私はもがちゃんと一緒のシーンが多かったんですけど、監督の「はい、泣いて！」っていう声に反応して、パーッと泣くんですよ。あれって、つらいことを思い出して泣くの？

最上　いや、台本にあるそのシーンのことを思い浮かべて。でもほんとに泣かなきゃいけないタイミングで泣くことって、すごく難しいんですよ。監督は「もがちゃんのスイッチが入ったタイミングで、OK出してくれたら始めるよ」って言ってくれるんですけど、逆に「あっ、みんなを待たせてるんだ」と思ったら焦っちゃって全然泣けなくて。あと泣けたとしても1回笑っちゃうと涙が止まって、もう泣くシーンに戻れなくなっちゃうんです。

相沢　休憩を挟んだり？

最上　そう。現実に戻るとダメなんで、泣くシーンはOKが出るまではずっと役に入り込んでなきゃと思って。

──でもそういうことって、実際に経験しないとわからないことですよね。

夢眠　ほんと、撮影全編通していろいろ勉強したなあ。

相沢　私、初日に撮ったのが菊田（自身が演じる菊田梨紗）の長ゼリフのシーンで。ほとんど私と杏ちゃん（小宮有紗が演じる三雲杏）がしゃべってるんですけど、緊張しすぎて撮影当日までセリフが頭に入ってなかったんです。でも、いざ本番になったらちゃんとセリフを全部言えて。「ああ、台本が体に入ってくるってこういうことなんだ」って初めて実感しました。

──台本を読んでると覚えられないのに、本番では覚えてたと？

相沢　実際に体を動かしながらしゃべると、セリフが出てくるんです。「杏ちゃんがこうしゃべってるから、次に私がこう言うんだ」とか。なんかビックリしました。

夢眠　みんな女優ですね（笑）。

最上　ぼくもセリフは絶対に覚えられないと思ってた。カンペとかあっても全然ダメなんですよ。コメント撮りとか短い文章でもまったく覚えられないくらいで。だからオーディションのときに「どういう役柄がいいですか？」って聞かれたときも、「主役は絶対無理です。だってセリフが覚えられません」って答えたんですけど、そうしたら台本を読んだら本当にセリフが少なくて、「もが：……。」ばかりでした（笑）。全体を通してだとセリフの数もけっこうあったんですけど、自分でも不思議なことにそのシーンになるとちゃんとセリフが言えるんですよね。たぶん梨紗ちゃんと一緒で、1回そのシーンに入り込むとセリフが出てくるというか。「ここは掛け合いだからこう返してて。で、相手は妹だからこういうふうに言ってるんだな」みたいに考えながら演じることも初めてだったのに、いつの間にか覚えてるんですよね。やってみてビックリしました。でもいまだにカンペは覚えられないですけど（笑）。

最終的に特撮が好きになってくれたらうれしい

──改めて、ちゃんとした演技が初めてだったにもかかわらず、皆さん素晴らしかったと思います。

全員　ありがとうございます！

──ストーリーも面白かったし、アクションもしっかりやってたし、映画として最後まで楽しめました。

相沢　ほんとですか？ それはすごくうれしい。

──アイドルが主演を務める映画とかちゃんとした演技も初めてとか、そういうことを忘れるくらいアクションシーンも面白かったですし。

夢眠　特撮映画として楽しめました？

──もちろん。

夢眠　あー、それはうれしいです！

相沢・最上　よかったあ！

──でんぱ組.incのファンに限らず、こういう作風の映画を好きな人はいると思うし、どれか1つでもひっかかる要素があると思うんです。で、この映画をきっかけに、でんぱ組.incにハマる人も増えるかもしれませんし。

夢眠　監督もおっしゃってたんですけど、アイドルファンがアイドル映画だと思って観て、最終的に特撮が好きになってくれたらうれしいなって。ほんとにいろんな要素が散りばめられてるので、海外ドラマの「glee/グリー」を好きな人が観てもよし（笑）。オタクの人だったら楽しめる要素満載なので、ぜひ一度観てほしいです。